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4章
38.五番目の兄弟
しおりを挟む俺とユディはフリージア様との距離を縮めて歩く事にした。
当然だけど、俺にはその「ラブ」って悪魔の気配は全く分からなかった。リアルの話だと五番目の兄弟だったよね?
「ねぇ、ラブってどんな子ー?」
「ウザい奴」
「それ誰にでも言いそうだよな」
「いつもぬいぐるみ持ってて、自分の事をラブたんって呼んでて、誰にでも構って構ってうるせぇ奴だよ。さっきも言ったけど、すげぇ弱いから安心しな。エリム、お前でも勝てるぜ」
「いつもぬいぐるみ持ってるとか可愛いな!よーし、ラブたんね!仲良くなれそうな気がするよ!」
「絶対仲良くなれるぜ。てかラブは誰かに嫌われるのを恐れてんだ。悪魔の癖に群れたがってんだ。俺には理解出来ねぇけどな」
「嫌われるのを恐るのって普通じゃないか?俺だって嫌だよ」
「嫌われる事を恐れてたら魔界じゃやってけねぇよ。ラブは魔王の子供だからやってけてるけど、一般の悪魔だったらとっくに食われちまってるだろうな」
「食べられちゃうだなんて……決めた!俺ラブと友達になるよ!」
話を聞いていたらラブって悪魔は俺達天使達と考えが似てるんじゃないかと思えたんだ。
だから友達にもなれるよね!そしてもしラブたんが食べられそうになったら助けてあげるんだ。
俺が心の中で意気込んでいると、フリージア様とユディが笑っていて、それを見たリアルがうんざりした顔していた。
「おいおい、エリムがまた変な事考えてんのか?二人も人の心読んで楽しむとか悪趣味だよな~」
「変な事なんて考えてないさ♪俺はみんな仲良く楽しく出来たらいいなって考えてるだけ~♪」
「お前も大概悪趣味な奴だぜ」
そこからリアルは視線を前に戻して歩みを進めた。
結構谷の奥まで進んで来ると、ユディにも気配が分かって来たようで俺に近付いて来た。
「やっと感じ取れたよ」
「本当!?じゃあ全く分からなくなった訳じゃないんだね♪」
「能力の質が落ちたようですね。ユディのこれからの向き方次第でまた能力の質も広がるでしょう」
「はい!精進します。それにしてもまた禍々しい気配ですね。リアルが言うように弱いとは思えない程の気配です」
「そうですね。違う種族の気配だからでしょう。感じ慣れない物だから相手の力量も計り知れないと言った所でしょうか」
「安心しろ。ラブはマジで戦力になんねぇから」
リアルが言うラブの情報とは違って二人はとても大きな気配を感じているようだ。
俺も感じ取れるようになれたら三人の言ってる事が分かるんだけどな。
でも、それを感じ取れなくてもいいとか思ってる自分もいるんだ。だって、どこかに誰かがいるって分かっちゃったらかくれぼする時に楽しめないだろ?
それに、相手の事はちゃんと顔を合わせてから話せばいい。俺はそう思うから、別にこのままでもいいとか思っていた。
そこから程なくしてから先頭を歩いていたフリージア様が立ち止まった。そのすぐ後ろにいたリアルも大人しく止まる。
その後すぐに大きな岩場の上から綺麗な歌声が聞こえて来た。
「~♪~♪~♪」
「呑気な野郎だぜ」
「綺麗な歌声……」
やれやれと言う顔をして大きな岩を見上げるリアル。それに釣られて俺も見上げると、大きな岩のてっぺんに誰かが膝を立てて座って体を左右に揺らしながら歌っている姿が見えた。
肩まである濃いピンクの髪をした青年で、その歌声はとても楽しそうで聞いているこちらまでワクワクして来るようなものだった。
そして俺達がいる事に気付いたのか、そのピンク色の髪の青年はクルッと振り向いてニッコリ笑った。
綺麗な顔をしていて目が大きくて、右目の下のほっぺのとこにはピンクのハートのタトゥーが入っていた。その笑った顔はなんとも愛らしくて、俺よりも年上に見えるのに可愛いと思ってしまった。
ここである事に気付く。男は両腕に熊のぬいぐるみを抱いていたんだ。
この人がリアルが言ってたラブたんだ!そして悪魔なんだ!
「あー♡アルだー♡」
「ケッ」
ラブたんはリアルを見るや否や、背中に生えたコウモリのような羽根を羽ばたかせてフワリとリアルの側に降りて来た。
そして熊のぬいぐるみごとリアルに抱き付く。
リアルは案の定嫌な顔をして剥がそうとしていた。
「アル~♡会いたかった~♡」
「そうかよ!俺はそうでもねぇけどな!」
リアルが誰かと仲良くしてる姿を見るのは不思議な物で、それも二人は兄弟だ。こうして兄弟が並んだ姿を見るのは何とも言えない気持ちだった。
いや、羨ましいとか思っていた。だって、とても仲良さそうなんだもん!
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