黄金の鍵と曖昧な君

pino

文字の大きさ
39 / 48
4章

38.五番目の兄弟

しおりを挟む

 俺とユディはフリージア様との距離を縮めて歩く事にした。
 当然だけど、俺にはその「ラブ」って悪魔の気配は全く分からなかった。リアルの話だと五番目の兄弟だったよね?


「ねぇ、ラブってどんな子ー?」

「ウザい奴」

「それ誰にでも言いそうだよな」

「いつもぬいぐるみ持ってて、自分の事をラブたんって呼んでて、誰にでも構って構ってうるせぇ奴だよ。さっきも言ったけど、すげぇ弱いから安心しな。エリム、お前でも勝てるぜ」

「いつもぬいぐるみ持ってるとか可愛いな!よーし、ラブたんね!仲良くなれそうな気がするよ!」

「絶対仲良くなれるぜ。てかラブは誰かに嫌われるのを恐れてんだ。悪魔の癖に群れたがってんだ。俺には理解出来ねぇけどな」

「嫌われるのを恐るのって普通じゃないか?俺だって嫌だよ」

「嫌われる事を恐れてたら魔界じゃやってけねぇよ。ラブは魔王の子供だからやってけてるけど、一般の悪魔だったらとっくに食われちまってるだろうな」

「食べられちゃうだなんて……決めた!俺ラブと友達になるよ!」


 話を聞いていたらラブって悪魔は俺達天使達と考えが似てるんじゃないかと思えたんだ。 
 だから友達にもなれるよね!そしてもしラブたんが食べられそうになったら助けてあげるんだ。
 
 俺が心の中で意気込んでいると、フリージア様とユディが笑っていて、それを見たリアルがうんざりした顔していた。


「おいおい、エリムがまた変な事考えてんのか?二人も人の心読んで楽しむとか悪趣味だよな~」
 
「変な事なんて考えてないさ♪俺はみんな仲良く楽しく出来たらいいなって考えてるだけ~♪」

「お前も大概悪趣味な奴だぜ」


 そこからリアルは視線を前に戻して歩みを進めた。

 結構谷の奥まで進んで来ると、ユディにも気配が分かって来たようで俺に近付いて来た。


「やっと感じ取れたよ」

「本当!?じゃあ全く分からなくなった訳じゃないんだね♪」

「能力の質が落ちたようですね。ユディのこれからの向き方次第でまた能力の質も広がるでしょう」

「はい!精進します。それにしてもまた禍々しい気配ですね。リアルが言うように弱いとは思えない程の気配です」

「そうですね。違う種族の気配だからでしょう。感じ慣れない物だから相手の力量も計り知れないと言った所でしょうか」

「安心しろ。ラブはマジで戦力になんねぇから」


 リアルが言うラブの情報とは違って二人はとても大きな気配を感じているようだ。
 俺も感じ取れるようになれたら三人の言ってる事が分かるんだけどな。
 でも、それを感じ取れなくてもいいとか思ってる自分もいるんだ。だって、どこかに誰かがいるって分かっちゃったらかくれぼする時に楽しめないだろ?
 それに、相手の事はちゃんと顔を合わせてから話せばいい。俺はそう思うから、別にこのままでもいいとか思っていた。

 そこから程なくしてから先頭を歩いていたフリージア様が立ち止まった。そのすぐ後ろにいたリアルも大人しく止まる。

 その後すぐに大きな岩場の上から綺麗な歌声が聞こえて来た。


「~♪~♪~♪」

「呑気な野郎だぜ」

「綺麗な歌声……」


 やれやれと言う顔をして大きな岩を見上げるリアル。それに釣られて俺も見上げると、大きな岩のてっぺんに誰かが膝を立てて座って体を左右に揺らしながら歌っている姿が見えた。

 肩まである濃いピンクの髪をした青年で、その歌声はとても楽しそうで聞いているこちらまでワクワクして来るようなものだった。

 そして俺達がいる事に気付いたのか、そのピンク色の髪の青年はクルッと振り向いてニッコリ笑った。
 綺麗な顔をしていて目が大きくて、右目の下のほっぺのとこにはピンクのハートのタトゥーが入っていた。その笑った顔はなんとも愛らしくて、俺よりも年上に見えるのに可愛いと思ってしまった。
 ここである事に気付く。男は両腕に熊のぬいぐるみを抱いていたんだ。

 この人がリアルが言ってたラブたんだ!そして悪魔なんだ!


「あー♡アルだー♡」

「ケッ」


 ラブたんはリアルを見るや否や、背中に生えたコウモリのような羽根を羽ばたかせてフワリとリアルの側に降りて来た。
 そして熊のぬいぐるみごとリアルに抱き付く。

 リアルは案の定嫌な顔をして剥がそうとしていた。


「アル~♡会いたかった~♡」

「そうかよ!俺はそうでもねぇけどな!」


 リアルが誰かと仲良くしてる姿を見るのは不思議な物で、それも二人は兄弟だ。こうして兄弟が並んだ姿を見るのは何とも言えない気持ちだった。
 いや、羨ましいとか思っていた。だって、とても仲良さそうなんだもん!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

うちの魔王様が過保護すぎる

秋山龍央
BL
主人公・折本修司(オリモトシュウジ)は転生恩恵女神様ガチャにはずれて異世界に転生して早々、つんでいた。 「異世界で言葉が分かるようにしてくれ」と頼んだところ、相手の言葉は分かるが自分は異世界の言葉は喋れない状態となり、 「平和な国に転生したい」と頼んだところ、平和で治安のいい国に転生をすることはできたものの、そこは人間のいない魔族だけの国だったのである。 困っていた主人公の元に、異世界の"魔王"である紅の髪と角を持つ男があらわれて―― 「まさか――そっくりだとは思ってたけれど、お前、本当にシュウなのか?」 異世界転生魔王様×異世界転生主人公 幼馴染年下攻めだけど年上攻めです

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

壁乳

リリーブルー
BL
ご来店ありがとうございます。ここは、壁越しに、触れ合える店。 最初は乳首から。指名を繰り返すと、徐々に、エリアが拡大していきます。 俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 じれじれラブコメディー。 4年ぶりに続きを書きました!更新していくのでよろしくお願いします。 (挿絵byリリーブルー)

処理中です...