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4章
39.ラブたん
しおりを挟む俺は居ても立っても居られず、二人に駆け寄って仲間に入れてもらおうと試みた。
「リアル!その人がラブたんなんだよね?俺にも紹介してよ♪」
「そうだよ。この変態がラブだよ。おいラブ、テメェで挨拶しろ」
嫌がるリアルに張り付いていたラブたんは、俺を見てリアルをパッと離してニコ~っと笑って俺に近寄って来た。
そして持っていた熊のぬいぐるみをギューっと抱き締めて満面の笑みを浮かべた。
「初めまして♪ラブたんだよ~♡君は天使さんかなぁ?白い翼可愛いね♪ラブたんと仲良くしてね♡」
「か、か、可愛い~♡」
何て可愛い自己紹介なんだ!
てか雰囲気も見た目も表情も、コウモリのような羽根がなければ天使だって言われても分からないよ!
本当に悪魔なのって疑いたくなるぐらい愛くるしい笑顔だ。
「えへへ♪君の名前はなぁに?」
「あ、俺はエリム♪よろしくね♪」
「エリムたんも可愛いよぉ♡ねぇねぇギュウってしていい?」
「勿論だよ~♪」
「あ!エリム!」
ラブたんと挨拶をしながらリクエストに応えようと両手を広げて迎えようとすると、ユディが駆け寄って来て止めた。
ダメと言われてラブたんも不思議そうな顔をしてユディを見ていた。
「一応悪魔だから無闇に接触するのは控えた方がいいよ」
「えー、こんなに可愛いのに大丈夫だよ~。ねぇ?ラブたん?」
「うーん、君はだぁれ?エリムたんのなぁに?」
ラブたんは口元に指を当ててユディに訊ねた。
俺がユディを見ると、気まずそうに挨拶をした。
「名前はユディだよ。俺はエリムの友達だよ」
「エリムたんのお友達なの?それならユディもラブたんのお友達だね~♪よろしくね~♪」
「おいラブ、その辺にしとけ。天使共が困ってるだろうが」
「アルってばこんなに可愛い子達と一緒にいるなんてズルいじゃないか。それにしても君が誰かと行動を共にするなんて……」
「あ?」
「とうとう愛に目覚めたのー?ラブたん嬉しい~♡」
「テメェ!いちいち引っ付くな!」
ラブたんはニヤリと笑った後、またリアルに気付いた。
俺へのハグはお預けか~。
でも、ラブたんとは仲良くなれそうだから嬉しいな♪
「そうだ!ラブたん、こちらのお方はフリージア様だよ。俺とユディの師匠なの!とーっても強くて優しいんだよ~♪」
「初めまして。フリージアと申します」
「綺麗なお姉さんだね♪うんうん♪よろしくね~♪」
「貴方もアスをお探しなのですか?」
フリージア様が聞くと、ラブたんは思い付いたような顔をして頷いた。
「そうだよー♪アスはラブたんの可愛い弟だから迎えに来たんだ」
「それなら一緒に行こうよ♪俺達もアスを迎えに行く所なんだよ」
「ふざけんな。エリム、お前らは俺様と手を組んだんだろうが。初めに言ったよな?他の悪魔には手を貸すなって」
俺がラブたんを誘うと、リアルが怒ったようにそう言った。
でも、同じ目的を持ってるんだし仲間も多い方が良いと思うんだけどな。
あ、そっか、リアル達は王位争いしてるんだっけ。誰がアスを見付けて連れ戻せるか勝負してるんだよね。
「なるほどね!アルは一人じゃアスを探せないから天使さん達に助けてもらってるんだ」
「あ?言い方に気を付けろ。俺がこいつらを利用してるだけだっての」
「それなら納得~。アルが誰かと仲良くなんてする訳ないもんね」
「ふん、分かったらさっさと魔界へ帰れ。それとも俺様とやり合うか?」
「アルとやり合うだって?そんな無謀な事はしないよ。俺は天界に来たかっただけ♪ドリー兄さんと一緒だったんだけど、はぐれちゃったんだ。一人で寂しかったからアルと会えて本当に嬉しい~♡」
「それじゃお前は不戦敗って事でオーケー?」
「いいよ♪その代わりアスを必ず見付けて連れ戻してよね?きっとアスは一人で寂しい思いをしてるだろうから」
「言われなくてもやるっての。なぁ、ドリーはどっちへ向かった?」
「えっとね、あっちの方だよ」
ラブたんは谷の奥を指差した。
するとフリージア様は目を細めて言った。
「祝福の塔がある方角ですね……」
「それって、初めに俺達が向かっていた所ですか?」
「ええ、恐らくアスはそこにいると思います」
「それなら早く行こうぜ~。ドリーは弱いけど厄介な事出来るから相手したくねぇんだ」
「ドリーと言う方にどんな力があるのか分かりませんが、祝福の塔を護る守護隊も先鋭だらけです。私クラスの上位天使達が大勢待ち受けていると思って下さい。それに立ち向かうには準備が必要なのですよ」
「フリージア様が大勢……それじゃリアルでも敵わないね!」
「テメェは俺の事舐めすぎだコラ」
だってフリージア様はアンビシャス様も認めたお方だもん。俺もすぐにでもアスがいると言う祝福の塔へ行きたいけど、フリージア様の言う事を聞かなきゃ。
リアルに小突かれて「えへへ」と笑っていると、それを見ていたラブたんが不思議そうな顔をしていた。
目が合うと、俺にこう言った。
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