黄金の鍵と曖昧な君

pino

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4章

41.ユディの決断

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 その後、ラブたんはアスを助けに行く前にもう少し天界を満喫すると言って谷の出口の方へ行った。
 焦っていない様子からどうやらラブたんは王位争いには興味がないみたいだ。

 それから俺達は更に歩き続けてとても険しい岩場まで辿り着いた。


「ここからは飛ばないと行けませんね。ユディ、体は大丈夫ですか?」

「はい。問題ありません」


 アルに力を奪われてからフリージア様はちょくちょくユディの体を心配していた。
 一緒にいる感じはいつもと変わらないけど、心配だよね。

 ユディの返事を聞いて先にフリージア様が綺麗な翼を広げて飛び立つ。それに続くように俺、ユディの順で翼を広げて飛び立つ。
 アルは最後になった。

 俺はフワリと浮いてから少ししてユディの様子がおかしい事に気付いた。
 一緒に飛び立った筈なのに隣に来ないからだ。


「ユディ?」


 どうしたのかと振り返ると、そこにはまだ地面に足を付けて立っているユディとアルがいた。
 最後に飛び立とうとしていたアルもユディの様子が変な事に気付いて訝しげに見ていた。

 俺は慌てて先に行ったフリージア様を呼び止める。


「待って下さい!フリージア様!ユディの様子がおかしいです!」

「?」


 俺の声にフリージア様は浮いたままこちらを向いて俺の側まで来てくれた。
 そして二人揃って再び地上に降りる。

 その時見たユディの顔は青ざめていた。


「どうしたの?何かあったの?」

「何か知らねぇけど、こいつが飛ばねぇんだ」

「……べないんだ」

「ユディ、もう一度教えて下さい」


 アルの言葉を返すようにユディが小さな声で何かを訴えていた。聞き取れなかったからフリージア様がもう一度聞き返すと、ユディは悔しそうにこう言った。


「飛ぼうとしても、飛べないんです」

「!?」

「マジかよ」

「ふむ、恐らくリアルに吸収されてしまった可能性が高いですね」

「そんな!飛べなくなるなんてっ!」


 まさかの信じられない事態に、俺もユディも動揺が隠せなかった。ユディは相変わらず顔色を悪くしてずっと下を向いていた。

 周りに人がいる気配を感じる事が出来なくなった他にも支障があったなんて……それに、空を飛べないのは翼を持っている俺達にしたらかなりの痛手だ。まだ上手く飛べない子達はいるけど、ユディのように飛べなくなってしまったなんて話は聞いた事がないよ。
 
 とにかくユディを元気付けなくちゃ!


「大丈夫だよ!きっとまた飛べるようになるからっ」

「エリム……でも、どう思い描いても浮く事すら出来ないんだ……」

「今はまだ本調子じゃないからだよ!そうですよね!?フリージア様!ユディはまた飛べるようになりますよね!?」


 俺だけでは説得力が無いと見て、フリージア様に同意を求めるけど、すぐには頷いてはくれなかった。
 落ち込むユディを見た後に、ゆっくりとアルに視線を向けた。


「リアル、今一度お尋ねします。ユディの力を吸ったのはほんの少しなのですよね?」

「そうだぜ?深呼吸するみてぇに思い切り吸った訳じゃねぇからまたいつかは元に戻るだろうよ。まぁユディの努力次第じゃん?」

「先程リアルから持っている能力についてお聞きしたのです。相手の力を吸収する能力は相手に触れている時にしか発動する事が出来ず、吸収した力は自身の力に出来るそうです。ほんの少し吸ったと言ってますが、リアルの力は想像を遥かに超える程の物なんでしょう。リアルにとってはほんの少しでも、ユディにとっては大分吸われてしまったようですね」

「天使様がこんなにひ弱だとは思わなくてよ。でもまだ立ってられるからいいんじゃん?」

「そ、そうだよね!今は飛べなくても足があるから歩けばいいよ!俺、一緒に歩くから!」

「……フリージア様」

「はい、何でしょう?」


 一生懸命にユディを励ますけど、それはユディに響いてる様子はなかった。
 暗い顔をしたユディはフリージア様の名前を呼んで少しだけ顔を上げた。

 そして下唇を噛んで悔しそうにこう言った。


「このままでは俺は足手まといになります」

「…………」

「何言ってるのユディ!足手まといだなんて思ってないよ!」

「エリム、誓いを立てたのに側にいられなくてごめんね。俺は街へ帰るよ」

「ユディ!」

「ユディ、それでよろしいのですか?」

「はい。エリムの事をよろしくお願いします」


 フリージア様に向かって深々と頭を下げるユディは少し震えていた。
 そんなユディを見ていたらとても悲しくなって来た。だって、誰よりも強くて優しいユディのそんな姿、俺まで悔しくて仕方ないよ。
 ユディはこれからもどんどん強くなって立派な大天使になるのに、こんな所で折れちゃうなんてあんまりだよ。

 俺はユディにしがみ付いて泣いてしまった。

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