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2章 2回戦目
27.2つの理由
しおりを挟む結局俺はタイガーと一緒にまたベッドの上にいた。
そろそろ終電だ。もう面倒だからタクシーでいいやとか思っていた。
怒り疲れた俺に対してタイガーは、とても機嫌良さそうに俺の目の前に胡座をかいて座っていた。
「伊吹♡だーいすき♡」
「口説くんじゃねぇ」
「口が悪いところも好き♡」
「次好きって言ったら口聞かねぇぞ」
「じゃあ愛してるー♡」
両手を広げて俺に抱きつこうとするタイガー。
っぶねぇ!間一髪後ろにのけ反って、回避成功!
またあんな力で抱かれたらマジで吐くぞ!
「すぐに抱きつこうとするの辞めろって、お前誰にでもそうなの?」
「伊吹にだけだよ♡」
「あっそ」
さて、落ち着いた所で本題に入ろう。
何故帰ろうとしていた俺がまだ貧乏大学生とラブホのベッドの上にいるか気になるだろう。
理由は2つ。まず今回のホテル代の請求だ。もちろんすぐに払ってもらえないのは分かる。分割するにしても、どうやって取り立てるか考えものだ。
俺はタイガーに連絡先を教える気はない。だからと言って大学にまで押しかけるのも目立つし何となく嫌だ。そもそも不真面目なタイガーが学校にいるのかも分からないからな。
それだとやっぱりああするしかねぇか。
「なぁタイガー、次の給料日いつ?まともなバイトの方な」
「来月だよ」
「その日にお前んち行くから、ホテル代半分用意しておけ」
「マジ!?♡伊吹来てくれんの!?」
「金を回収しに行くだけだ!今免許証の住所に住んでるか?写メるぞー」
「そこに住んでるよん♪わーい♪楽しみだなぁ♪」
そしてもう1つの理由。それはタイガーが危ない事をして稼ぐ事だ。それも俺に予約を入れる為に。
それを今一度しっかり話して辞めさせたかった。
認めたくないけど、俺はタイガーの事をそこまで嫌いじゃないらしい。ムカつくけど、嫌いじゃない。だから心配なんだ。
「あとさ、もう俺に予約入れんなよ。他探してくれ」
「やだ」
「即答すんな。ブルータイガーをNGにしてもらうぞコラ」
「それもやだ。なぁ、もうおっさんとかで稼ごうとしないからさ~、予約は入れてもいいだろ?じゃないと伊吹に会えないじゃん」
「それじゃあ予約は月一な。給料日に予約しろ。じゃないとお前金無いから俺が損する」
「月一はキツいって!毎日でも会いたいのにそれは無理」
「交渉決裂。ブルータイガーNG客決定~」
「分かった!分かりましたよ!!」
「よし♪約束な♪」
俺の勝ち~♪
やっとタイガーに話しが通じた気がして俺はホッとしてバタンとベッドに仰向けに寝転がる。
あー、何か疲れたなぁ、このまま寝ちゃいたいけどそう言う訳にはいかないんだよなぁ。
「伊吹、帰んの?」
「帰るー」
「寂しいな~」
「…………」
「あ、ホテル代の分もマッサージするよ♪」
「いらねぇ。てかそれでチャラにならないからな!」
「まぁそう言わずに~♪俺って結構上手なのよ?」
タイガーは近くに寄って来て俺の手を取り、揉み揉みし始めた。
うっ、これ気持ち良いなぁ!
てか触られてるだけでも落ち着くって言うか、やべ、ヨダレでそう。
「あー、そのまま上もやって?そうそう、腕全体に……はぁ~♪気持ち~♪」
「伊吹って細ぇよな、ちゃんと食ってんの?」
「太れない体質ってやつだよ」
「へー、なぁ、伊吹の好きな物って何?」
「好きな物?うーん、何だろ?」
これと言って趣味なんかないし、別にパッと出て来ないよな~。あ、あったわ。
「あったわ。俺の好きな物は金だよ」
「金ぇ?マネー?」
「そ!だからこの仕事してるってのもあるな。俺の取り柄ってこの顔だけだから」
「そうかぁ?伊吹は顔だけじゃなくて他にもたくさんいい所あるぜ?」
「ほう、俺の事を知ってる口だな?それなら言って見ろよ」
「俺の事心配してくれる所。一生懸命止めてくれて嬉しかったよ」
「……そんなの誰でも止めるだろ」
「そうでもねぇよ?友達とかまた馬鹿やってら~ぐらいにしか思わねぇんじゃん?伊吹ぐらいだよ、俺に本気で向き合ってくれんのは」
「俺も本気で向き合ってねぇけど?」
タイガーが言う事を素直に認めたくなくて、捻くれた事を言うと、「うつ伏せになって」と言われたからゴロンと寝返りを打つと、今度は肩ら辺を揉み始めた。
ヤバい、寝ちゃいそうだぁ♪
「……ぶき……るの?」
「ん……」
タイガーが何か言ってるけど、もう分からないや。
目を閉じたらもう意識は無くなった。
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