28 / 72
2章 2回戦目
27.2つの理由
しおりを挟む結局俺はタイガーと一緒にまたベッドの上にいた。
そろそろ終電だ。もう面倒だからタクシーでいいやとか思っていた。
怒り疲れた俺に対してタイガーは、とても機嫌良さそうに俺の目の前に胡座をかいて座っていた。
「伊吹♡だーいすき♡」
「口説くんじゃねぇ」
「口が悪いところも好き♡」
「次好きって言ったら口聞かねぇぞ」
「じゃあ愛してるー♡」
両手を広げて俺に抱きつこうとするタイガー。
っぶねぇ!間一髪後ろにのけ反って、回避成功!
またあんな力で抱かれたらマジで吐くぞ!
「すぐに抱きつこうとするの辞めろって、お前誰にでもそうなの?」
「伊吹にだけだよ♡」
「あっそ」
さて、落ち着いた所で本題に入ろう。
何故帰ろうとしていた俺がまだ貧乏大学生とラブホのベッドの上にいるか気になるだろう。
理由は2つ。まず今回のホテル代の請求だ。もちろんすぐに払ってもらえないのは分かる。分割するにしても、どうやって取り立てるか考えものだ。
俺はタイガーに連絡先を教える気はない。だからと言って大学にまで押しかけるのも目立つし何となく嫌だ。そもそも不真面目なタイガーが学校にいるのかも分からないからな。
それだとやっぱりああするしかねぇか。
「なぁタイガー、次の給料日いつ?まともなバイトの方な」
「来月だよ」
「その日にお前んち行くから、ホテル代半分用意しておけ」
「マジ!?♡伊吹来てくれんの!?」
「金を回収しに行くだけだ!今免許証の住所に住んでるか?写メるぞー」
「そこに住んでるよん♪わーい♪楽しみだなぁ♪」
そしてもう1つの理由。それはタイガーが危ない事をして稼ぐ事だ。それも俺に予約を入れる為に。
それを今一度しっかり話して辞めさせたかった。
認めたくないけど、俺はタイガーの事をそこまで嫌いじゃないらしい。ムカつくけど、嫌いじゃない。だから心配なんだ。
「あとさ、もう俺に予約入れんなよ。他探してくれ」
「やだ」
「即答すんな。ブルータイガーをNGにしてもらうぞコラ」
「それもやだ。なぁ、もうおっさんとかで稼ごうとしないからさ~、予約は入れてもいいだろ?じゃないと伊吹に会えないじゃん」
「それじゃあ予約は月一な。給料日に予約しろ。じゃないとお前金無いから俺が損する」
「月一はキツいって!毎日でも会いたいのにそれは無理」
「交渉決裂。ブルータイガーNG客決定~」
「分かった!分かりましたよ!!」
「よし♪約束な♪」
俺の勝ち~♪
やっとタイガーに話しが通じた気がして俺はホッとしてバタンとベッドに仰向けに寝転がる。
あー、何か疲れたなぁ、このまま寝ちゃいたいけどそう言う訳にはいかないんだよなぁ。
「伊吹、帰んの?」
「帰るー」
「寂しいな~」
「…………」
「あ、ホテル代の分もマッサージするよ♪」
「いらねぇ。てかそれでチャラにならないからな!」
「まぁそう言わずに~♪俺って結構上手なのよ?」
タイガーは近くに寄って来て俺の手を取り、揉み揉みし始めた。
うっ、これ気持ち良いなぁ!
てか触られてるだけでも落ち着くって言うか、やべ、ヨダレでそう。
「あー、そのまま上もやって?そうそう、腕全体に……はぁ~♪気持ち~♪」
「伊吹って細ぇよな、ちゃんと食ってんの?」
「太れない体質ってやつだよ」
「へー、なぁ、伊吹の好きな物って何?」
「好きな物?うーん、何だろ?」
これと言って趣味なんかないし、別にパッと出て来ないよな~。あ、あったわ。
「あったわ。俺の好きな物は金だよ」
「金ぇ?マネー?」
「そ!だからこの仕事してるってのもあるな。俺の取り柄ってこの顔だけだから」
「そうかぁ?伊吹は顔だけじゃなくて他にもたくさんいい所あるぜ?」
「ほう、俺の事を知ってる口だな?それなら言って見ろよ」
「俺の事心配してくれる所。一生懸命止めてくれて嬉しかったよ」
「……そんなの誰でも止めるだろ」
「そうでもねぇよ?友達とかまた馬鹿やってら~ぐらいにしか思わねぇんじゃん?伊吹ぐらいだよ、俺に本気で向き合ってくれんのは」
「俺も本気で向き合ってねぇけど?」
タイガーが言う事を素直に認めたくなくて、捻くれた事を言うと、「うつ伏せになって」と言われたからゴロンと寝返りを打つと、今度は肩ら辺を揉み始めた。
ヤバい、寝ちゃいそうだぁ♪
「……ぶき……るの?」
「ん……」
タイガーが何か言ってるけど、もう分からないや。
目を閉じたらもう意識は無くなった。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】魔王の腹心と厄介な男!
花より団子よりもお茶が好き。(応募用)
BL
【これだから……これだから嫌いなんですよ……!】
魔王の腹心であるシュケルは、魔王のもっとも信頼のおける部下だ。
ある日の朝、魔族領に異変を感じとった魔王の命で、シュケルは姿を消した。
だがそれから一月(ひとつき)近く及んでもシュケルは帰って来ない。
それに疑念を抱いた魔王のもう一人の腹心、カボチャが痺れを切らし城の回廊を歩いていると、魔王の恋人カイン(人間)がシュケルを探してやって来た。
二人で姿の見えないシュケルを心配していると、突如として城の壁が破壊され「ワタシの名はマハル。シュケルの〝夫〟になる男」などとのたまう変態、もとい青年が現れる。
彼は風の力を操り一度は帰って来たシュケルをあっという間に拐ってしまい――。
「なんて厄介な奴なんだ!」
〝初恋〟という名の思い込みと執着が物語とカボチャの心をかき乱す。
だけど一番厄介なのは――結局は〝あの男〟。
異界のストーカー王子VS魔王の腹心カボチャ
腹心×腹心(シュケル×カボチャ)
ライトBLラブコメファンタジー。
果たしてカボチャは、シュケルを取り戻すことが出来るのか。
*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*
■特別編:魔王とカインの紙ひこうき!~少年と物語のはじまり~
【それってつまり、セオドアは神様から俺への贈り物ってことだな!】
これは本編から「十年前」のお話。
カインという少年が勇者になると宣言し魔王城を目指していた。
ここまでは普通の話である。だが少年と魔王はなんと紙ひこうきで文通をする仲なのだ。
おまけに魔王は国際会議中だから相手出来ないと断って来て――?
そもそもカインは本当に魔王を倒すつもりがあるのか?カインの本当の目的とは?
カボチャは相変わらず怒っていて、シュケルは相変わらず静かに微笑み、魔王も相変わらず絶妙にそこにいます。
■番外編:Happy Birthday to You
【……俺、寂しくなんかなかったんだ】
突然現れたカインの旧友ユメハ。
彼女は別世界と別世界を行き来する妖精だ。
そんな、彼女がなぜカインの前に現れたかというと……なんと、彼女は大事な大事な誕生日プレゼントを三つ、この世界に落としてしまったのだ。
ことのしだいを知ったカインはカボチャとシュケルと城の皆を巻き込んで、プレゼントを探すのだが……。
ブラック企業の寮で、同期とだけは恋に落ちないと決めていた~同室生活・過労案件・限界メンタル―それでも、唯一の味方が、隣にいる。
中岡 始
BL
「限界社畜、恋に落ちたら終わりだと思ってた――でも、一緒に辞めて起業しました。」
ブラック企業で出会った新卒ふたり。
職場は地獄、寮は同室、心は限界寸前。
“ちゃんとした社会人”を目指す白井と、マイペースに生き延びる藤宮。
恋なんてしない、期待なんてしない――そう思ってたはずなのに、
「お前がいたから、ここまで来られた」
気づけば手を取り、会社を辞め、仲間たちと“理不尽の外側”へと走り出す。
すれ違い、涙、ほうじ茶プリンとキスの夜。
これは、仕事と恋に潰れかけたふたりが、
一緒に人生を立て直していく、再起系BLラブコメディ!
【完結】口遊むのはいつもブルージー 〜双子の兄に惚れている後輩から、弟の俺が迫られています〜
星寝むぎ
BL
お気に入りやハートを押してくださって本当にありがとうございます! 心から嬉しいです( ; ; )
――ただ幸せを願うことが美しい愛なら、これはみっともない恋だ――
“隠しごとありの年下イケメン攻め×双子の兄に劣等感を持つ年上受け”
音楽が好きで、SNSにひっそりと歌ってみた動画を投稿している桃輔。ある日、新入生から唐突な告白を受ける。学校説明会の時に一目惚れされたらしいが、出席した覚えはない。なるほど双子の兄のことか。人違いだと一蹴したが、その新入生・瀬名はめげずに毎日桃輔の元へやってくる。
イタズラ心で兄のことを隠した桃輔は、次第に瀬名と過ごす時間が楽しくなっていく――
恭介&圭吾シリーズ
芹澤柚衣
BL
高校二年の土屋恭介は、お祓い屋を生業として生活をたてていた。相棒の物の怪犬神と、二歳年下で有能アルバイトの圭吾にフォローしてもらい、どうにか依頼をこなす毎日を送っている。こっそり圭吾に片想いしながら平穏な毎日を過ごしていた恭介だったが、彼には誰にも話せない秘密があった。
過去のやらかしと野営飯
琉斗六
BL
◎あらすじ
かつて「指導官ランスロット」は、冒険者見習いだった少年に言った。
「一級になったら、また一緒に冒険しような」
──その約束を、九年後に本当に果たしに来るやつがいるとは思わなかった。
美形・高スペック・最強格の一級冒険者ユーリイは、かつて教えを受けたランスに執着し、今や完全に「推しのために人生を捧げるモード」突入済み。
それなのに、肝心のランスは四十目前のとほほおっさん。
昔より体力も腰もガタガタで、今は新人指導や野営飯を作る生活に満足していたのに──。
「討伐依頼? サポート指名? 俺、三級なんだが??」
寝床、飯、パンツ、ついでに心まで脱がされる、
執着わんこ攻め × おっさん受けの野営BLファンタジー!
◎その他
この物語は、複数のサイトに投稿されています。
完結|好きから一番遠いはずだった
七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。
しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。
なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。
…はずだった。
旦那様と僕
三冬月マヨ
BL
旦那様と奉公人(の、つもり)の、のんびりとした話。
縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲む感じで、のほほんとして頂けたら幸いです。
本編完結済。
『向日葵の庭で』は、残酷と云うか、覚悟が必要かな? と思いまして注意喚起の為『※』を付けています。
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる