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2章 2回戦目
28.やっちまった朝帰り
しおりを挟む朝目覚めると、隣にあったペンギンのぬいぐるみが目に入り、ぎゅーっと抱きしめる。
こいつ想像以上に柔らかくて触ってると気持ち良いんだよなぁ♪
んー、今日もこの青いボディがモサモサしてて……ちょっと硬い?
「何で硬いんだ?」
いつもと違う肌触りに不快感を覚えて、良く見ると、それはペンギンのぬいぐるみなんかじゃなくて、青い髪のタイガーの頭だった!
「ギャー!!何でお前がっ!?」
「んー、伊吹うるさい……」
「ハッ!俺こいつとラブホにいたんだ!」
終電終わっちゃったからタクシーで帰ろうと思ってゆっくりしてたら、タイガーがマッサージ始めて、それが思いの外気持ち良くって……
ヤバい!!今何時だ!?
俺はバタバタとベッドから転げ落ちつつテーブルに置いておいたスマホを開く。
じゅ、10時だと!?ヤバい!今日の予約11時からだ!俺は急いで荷物をまとめてホテルを出ようした。
「おい!タイガー!帰るぞ!いつまで寝てんだ!!」
「……もう少し寝るし~」
「もう知らねぇぞ!宿泊の分までの金は置いていくけど、延長した分は自分で払えよな!」
俺が財布から昨日確認した金額を用意しようとしてると、いつの間にベッドから抜け出したのか、さっきまで寝ていた筈のタイガーが後ろから抱きしめて来た。
ってかこいつ何で上裸なの!?
「伊吹おはよう♡ここ土日の宿泊は11時までだから慌てる事ないって♡」
「予定があるって言っただろ!風呂も入ってないし、帰って準備して間に合うのかぁ!?」
仕事で遅刻なんかした事がないからかなり焦っていた。とりあえず出来る限りは急ぐけど、ここからタクシー使っても家まで20分は掛かるだろ。そして尚輝くんとの待ち合わせ場所まではそこもタクシー使っても20分ぐらい……あーくそ!何で寝ちまったんだ俺ぇ!!
「予定ね~、確か11時だっけ?そっから夜までみっちり予約入れやがって。太客ってやつぅ?俺は邪魔出来てラッキー♡」
「ふざけんな!俺は生活掛かってんだよ!誰かのせいで三万も飛んでんだよ!!」
「ごめんって♡お仕事頑張ってハニー♡」
フワフワフヨフヨしたような事抜かすからイラッとして振り向いて睨み付けると、タイガーは嬉しそうに言ってほっぺにキスをして来た。
こいつ!手を出さないって約束破りやがった!!
ああもう!こんな事してる場合じゃない!
とにかく急いで帰らないと!
俺はこのままタイガーを部屋に残して何かあっても面倒だったので、タイガーの分のタクシー代も出してやると言って無理矢理ホテルから連れ出し、無事外へ出る事に成功した。
それからタクシーを2台呼び、先に来た方にタイガーを押し込みさっさと帰らせる。
この時既に10時半……絶対に間に合わない。
終わった。俺のデートクラブ人生初の遅刻。歳も歳だし若者開拓すっか~とか抜かしてた自分が恥ずかしい。
それよりも生活態度を改めろと言われても何も言えねぇ。
畜生!こうなったらこのまま行っちまうか!?
幸いデートの相手は俺にゾッコンの尚輝くんだ!尚輝くんなら遅刻ぐらいニコニコ笑って許してくれそうだけど、店に遅刻の電話するのもだし、給料が減るのが嫌だ!
でも俺昨日から風呂入ってねぇよ?今さっき起きたばっかで顔も洗ってなければ髪も寝癖付いててセットしてない。服だってそのまま寝ちまったからシワだらけだ。
誰がこんなキャストが来て喜びますか?
100%客舐めてるだろ。
「はぁ、仕方ない。店に電話するか~」
すぐに冷静になって俺は遅刻を選んだ。
やっぱり身だしなみはしっかりしときたい。
俺が客だったら、高い金払って楽しみにしてるデートに、前の客との余韻を残したような舐め腐った格好した奴来たら金返せってなるもん。
俺はタクシーの中で店に「すみません、寝坊しました。1時間遅れます」と正直な理由を添えて電話をするのであった。
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