【完結】君が教えてくれたモノ

pino

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2章 ご対面

12.お願い

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 昼過ぎ、俺とハラリは駅前のカフェでお茶をしていた。
 俺はカフェラテ。ハラリはアイスコーヒー。
 少し買い物した後だったからここでたわいない話をして過ごしていた。

 そして少ししてから一人の男が店に入って来て俺達のテーブルにやって来た。
 店内にいた誰もが振り向く程存在感たっぷりで、スラッとした長身に長い手足。顔は小さく清潔感のある黒髪。切れ長の目がとても似合う飯野さんだ。


「飯野さん~♪お疲れっす~♪」

「おっ噂の飯野来たな?」

「…………」


 テンション高めの俺とハラリに対して飯野さんは見て分かるぐらいに不機嫌そうに怒っていた。
 俺からしたらいつもの飯野さんなんだけど、これじゃイケメンが台無しだ。

 でも俺には飯野さんが怒ってる理由が分かる。
 実は飯野さんとこのカフェで待ち合わせをしてたんだけど、俺は嘘をついて誘き出したんだ。
 その嘘ってのは「バイトの事で悩んでる事があるから話を聞いて欲しい」と言うもの。勿論悩みなんか無いし、ハラリがいる事も言ってない。
 だから飯野さんは怒ってるんだと思う。


「あ、飯野さん何飲みますー?注文取りますよ♪」

「おい」

「はい?あ、とりあえず座って下さい♪ささ、俺の隣でもハラリの隣でもお好きな方に♪」


 俺は敢えて怒ってる事には触れずに普通にしようと思った。
 それにしても飯野さんとハラリだけど、こうして二人がいるのを見るとまるで双子みたいだな。歳も同じぐらいだし、ただ表情が違うだけ。
 さっきから周りの視線が凄いけど、本当に二人は目立つ。


の隣座れよ♪」

「帰る」


 ハラリがそう言うと、飯野さんはハラリを見る事もなく俺を睨んでから立ち去ろうとした。
 俺は慌てて飯野さんの腕を掴んで逃すまいと駄々をこねる作戦に出る。


「待って下さい!ハラリがいる事を伝えなかったのは謝ります。でも俺の話聞いてくれようとして来てくれたんでしょ?少しでもいいので聞いて下さい」

「……悩んでるってのは本当なのか?」

「はい!もうめちゃくちゃ悩んでて辞めようかどうか悩んでるぐらいです!」

「それならさっさと辞めればいい」

「即答!?いやいや、少しぐらい聞いて下さいって~!」

「あはは、飯野気に入った♪なぁ座れよ。俺はハラリ!奏多と俺はそういう仲じゃないから安心しろ♪」

「はい?別に相馬と貴方がどんな関係でもいいし、気にならないから」

「飯野さんってば落ち着いて?立ったままじゃ店に迷惑になりますから、とりあえず座りましょう?」

「だから帰るって。もう二度と連絡してくるな」

「なっ!そこまで言わなくてもいいでしょ!?」


 ハラリが挑発的な言い方したのが気に入らないのか、飯野さんはハラリを睨んでいた。
 あちゃー、やっぱり嘘は良く無かったか。
 これじゃハラリを預けるどころじゃねぇな。
 とりあえずお願いだけしてみっか!


「あのー、飯野さん?悩みと言うかお願いがあるんです」

「お願い?」

「今日俺のバイト終わるまでハラリの面倒見てやってくれませんか?飯野さんしか頼れる人がいないんですよ~」

「それ、俺が引き受けると思うのか?」

「ですよねー!今度好きなご飯奢ります!あ、お部屋の掃除でも何でもしますよ♪お願いです。飯野さんしか頼れる人いないんですよ~」


 俺が適当な事を言ってなんとか飯野さんに頼み込もうとすると、ハラリはクスクス笑っていた。
 それを見て飯野さんはため息をついて俺の隣に座った。

 やった!座ってくれた♪
 話は聞いてくれるって事だよな!?


「面倒を見るってどういう事だ?」

「実はですね、ハラリは……」

「俺は奏多の親戚で、田舎から遊びに来てんだ♪奏多が今日バイトあるっつーから、一番仲が良くて信頼出来る男を紹介してくれるってなったんだ♪奏多の言ってた通りかなりの男前だ♪是非飯野に街案内でもしてもらいたいね」


 ハラリが即興で作った話だと思うけど、見た目だけだと俺と親戚ってよりは飯野さんと親戚って言った方がしっくり来るような?ってそんなのは今はいい。確かにその方が自然だし、飯野さんも引き受けやすいよな♪
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