【完結】君が教えてくれたモノ

２章 ご対面

１１．二人を会わせるには

　次の日、俺はハラリと朝ごはんを食べてゆっくり過ごしていた。少ししたら買い物に行こう。ハラリが着ていた服はボロボロになっちゃったから代わりの服を買いにね。俺の服のサイズは合わないみたいで、少し大きめのTシャツがちょうど良いぐらいなんだ。高い物は買えないけど、洗い替え分ぐらいは揃えてあげたいな。

　それと今日の夕方からバイトがある。その間はハラリにどこにいてもらうかなんだよな。この部屋にいたら一人になっちゃうし、絶対人がいるような場所にいてもらわないとだよな。


「ハラリ、今日の夕方からなんだけど、友達の家にいてよ。俺から紹介しておくから。そしたら一人にならなくて済むだろ？」

「おっ、それならあいつがいいな」

「あいつ？誰か紹介したっけ？」

「お前会った時に俺の事ガン見してただろ。似てる奴が知り合いにいるって」

「ああ、飯野さんの事か」

「その飯野さんってのに会ってみてぇんだ♪」

「俺はいいけど、飯野さん迷惑がりそうだな～。でも聞くだけ聞いてみるな」


　飯野さんなら今の時間は家で寝てるかな？
　でも飯野さんと話したいから電話しちゃお～♪

　俺がスマホをいじってると、ハラリがニヤニヤしながら見てるのに気付いた。


「何見てんだよー？ニヤけ過ぎ～」

「嬉しそうに笑うなぁって♪飯野ってお前にとってどんな奴なの？」

「バイト先の先輩なんだけど、今ハマってるんだよね！ちょー冷たいんだけど、実は優しい所もあってさ～♪」

「ふーん。仲良いんだな」

「俺は仲良いと思ってるよ♪ハラリと見た目は激似なんだけど、飯野さんは笑わないんだ。だからいつか笑わせてみたいなぁって思ってる」


　今目の前にいるハラリを見て思う。ハラリのように笑ってくれたらきっともっと仲良くなれると思うんだ。あの飯野さんが笑うのとか想像出来ないけど、多分ハラリみたいに笑うんだろうな。
　切れ長の目を細めて、口角上げて笑う姿見たら俺、惚れちゃうかも！なんつって？
　んでも、ハラリもだけど、飯野さんはそれぐらいかっこいいんだ。男の俺でも認めるよ。


「そっか！きっと奏多なら笑わせられるだろ。飯野に会うのが楽しみだぜ」

「俺も二人が一緒にいるとこ見るの楽しみ！今聞いてみるな？」


　多分だけど、飯野さんは断ると思う。だから本当の理由は隠して会わせようと思ってるんだ。会ってしまえばこっちのもの。事情を話してゴネまくって無理矢理押し付けてしまえと思っている。
　飯野さんってなんだかんだ優しいから引き受けてくれるんじゃねぇの？

　ただ不器用なだけ。俺は勝手にそう思ってるだけだけど、本当の所は分からねぇ。
　何にせよ会って話さなきゃ何も分からねぇもんな。