プラヴィテル・ヴレーメニ〜異世界召喚された俺は時を支配して神を超える〜

401

文字の大きさ
21 / 26
第一章三部〜アークダム王国アレッシオ編〜

第二十一話 召集

しおりを挟む
 とりあえず席に座り、周りを確認してみる。
 というかルージス以外誰も知らないんですけど…。
 楕円形の机を囲むように椅子が並べられ、俺達は窓側の扉とは対角線上の位置に座っている。
 廊下側の中央の席だけ空いていることから、きっとそこはエルシアの席だろうと予測する。
 ああ、帰りたいな……
 なんか今から会議みたいなのが始まるみたいだし。俺等、昨日冒険者になったばかりなんですけど……。
 俺がうなだれていると、ギルドマスターのエルシアが入ってきた。

「お待たせしてごめんなさいね。皆知っていると思うけど、今日集まって貰ったのは、今発令されている緊急クエストについてよ」

 エルシアは机の上に大きな地図を広げさせ、その上に本部からの通達を知らせる書類を見せた。
 え?何?緊急クエスト?
 どうやらこの場でそのことを知らないのは俺達二人だけらしい。

「ん?そういえば君達にはまだ伝えていなかったか?まあいい、それも含めて説明しよう」

 エルシアがキョトンとした顔の俺達を見て、丁寧に説明を始めた。

「昨夜、本部から緊急クエストの通達が届いたわ。内容は魔の森周辺の魔素溜まりの浄化。これはウチと本部の合同調査により発覚したわ。そして領主殿も懸念を示している。魔の森内部の魔素溜まりは気にすることはないけど、その周辺となれば話は別となる。迅速に対応しなければならないわね。そしてその規模なんだけど……これが厄介な事にSクラスだというわ」

 その言葉に俺等以外の一同は過剰な反応を示す。

「S級を相手にするなら本部からの支援を待つ必要があるのでは?正直な話、我々だけでは厳しいのが現実だ」

 そうルージスは意見を述べた。

「ええ、そうね。これは本部のAランク冒険者を数十名用意して初めて成功するかしないかに至る高難易度依頼クエストよ。でもね、そうは言ってられないのが現実でもあるわ」

 エルシアは険しい表情で資料を指した。

「これを見てちょうだい」

「ーーなっ!?」
「マジかよ?」
「うそ……」

 各々が驚愕しているのは、エルシアが指した魔素溜まりからモンスターが発生するまでの期間を推定した数値だった。

「なるほど……これはまずいわね」

 するとレベッカという女性魔導士が話し始めた。

「発生までおよそ22時間……明日の昼前にはS級が暴れ出すってわけね」

「S級なんてAランクのルージス達はともかく、Bランクの俺達が群がったところでたかが知れている筈だ。俺達に犬死にしろって云うのか?」

 そうエルシアに抗議するのは、Bランク冒険者で『鬼武者』というパーティのリーダーをしているラオだ。
 ラオは腰に短剣を下げ、背中には金属でできた棒を背負っており、少しチャラそうな雰囲気の男だった。

「いいえ、そのような事は作戦に一つも入ってないわ。貴方達誰一人欠ける事なくクリアするつもりよ」

 そうエルシアは言い、最後彼女の視線は俺と白の方に向いていた。
 ーーで、俺達の出番ね。
 今の話からいくと俺達以外のメンバーだけでS級を相手にするのは非常に困難、寧ろ壊滅にまで発展する可能性が高いという事。
そして、本部の支援は期待できないという事。
 本部から見放されたか、それとも別の何かがあるのかは分からないが、現場は最悪の状況に陥りかけているというわけか。
 多分エルシアがを出せばどうにでもなることなのだろうが、彼女には別の役割がある。
 彼女も魂一つ、身一つのエルフだ。出来ないこともあるか。
 エルシアはルージスの顔をチラリと見る。 そして何かを通じ合ったのか、頷くとその作戦内容を説明し始めた。

 それから作戦会議は進み、明日の朝方に城門集合が決まった。
 会議が終わると明日に備えて皆帰宅の準備をし始めた。
 俺と白も帰ろうと立ち上がると、ルージス達が声をかけてきた。

「帰るのか?」

「ああ、ここにいてもしょうがないだろう?それに白の腹を満たしてやらないといけないからな」

「ははっ、たしかにな。ああそうだ。これを渡しておく」

 ルージスから渡されたのは箇条書きで人物名が書かれた書類だった。

「これは?」

「ああ、そこには明日のレイドパーティのメンバー全員の名前とタイプ、そして所属が書かれている。一度目を通しておくといいってギルマスからだ」

「なるほど……ありがたく受け取っておくよ」

 緊急だったから自己紹介は省略されていたしな。

 俺は貰った書類に目を通す。
 参加メンバーにはエルシア、ルージス、レベッカ、ヨット、アイラ、カラード、メイ、キイド、ウーゴゥ、キョウスケと書かれている。
 リーダーはエルシア、立場と実力を考えても当然だろう。
 サブリーダーにルージスか。ルージスはこの中でトップのパーティランクを持つ実力者だしな。
 レベッカとヨットはルージスと同じパーティの『ガロウ』に所属している。全員Aランク冒険者だ。
 そしてアイラをリーダーにしたカラード、メイから成るBランクパーティの『グレン』、キイドをリーダーにした同Bランクパーティの『アイント』の二つ。

 あまりにも無謀な作戦だ。今日見ただけでもわかる。全員エルシアの足元にも及ばない実力だ。
 まぁ俺と白がいればなんとかなるだろうが、気になるのは本部の意向だ。
 本気で見捨てているのか、それとも………。

「アイツがいればな……」

 小声で呟くルージス。
 それを俺は聞き逃さない。

「アイツ?」

「ん?ああ、悪い。声に出てたか。気にしないでくれ」

 そう言ってルージスは去って行った。
 そういえば他のメンバーもどこか浮かない顔つきだった。
 死を覚悟、とまでは行けないのだろう。

 冒険者という職種は極めて特殊だ。
 常に身の危険と隣り合わせにしながら生計を立てている。
 そのためギルドという形で擁護するシステムが組まれた。
 冒険者は一攫千金を狙える夢のある職業だ。
 しかし、そのリスクはとても大きい。

 まぁ俺達もこれが初依頼だからな。
 緊張感は持ち合わせた方がいいだろう。

 そんな俺とは裏腹に、隣に座る白は、どこでも貰ってきたのかわからないが甘そうなお菓子を美味しそうに頬張っていた。

 その夜、俺は一人、俺達が出てきた魔の森の奥に来ていた。
 ちなみに白は明日に備えて寝るそうだ。
 
 俺がここへ来たのは色々と確認するためだ。
 ゼロが分け与えてくれた力、不思議なくらいに馴染んでいた。

 俺はまず、神力を可視化させる。
 すると、俺を包むような翠色の気が見えるようになった。
 ゼロの神力は温かく、優しかった。

「時と空間の神、お前の魂は俺が受け継ぐ」

 その日はまだ月が欠けていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

処理中です...