転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

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　なおこれは、小説のストーリーを改変してやろうとか、特別に意識した上でとった行動ではない。

　ただ純粋に、自分の領地にある村が貧困に喘ぐのは見ていられないと思ったからだ。私が動くことでなんとかなるものなら、力を惜しむつもりは更々無い。

　ブルーローズ村を困窮から救うことが出来たら、もしかするとマルガリータが村の期待を背負う形で王立学園を受験することはなくなるかも知れない。

　だが私は、そうなったら今度は違う形でマルガリータは王立学園を受験するような気がしている。つまり、受験するに至る理由が変わるだけで、結局のところマルガリータが王立学園にやって来るという流れは変わらないと思うのだ。

　これは、ストーリーの強制力のようなものが働くんではないかと思っている。どうあってもマルガリータとアレクサンドル王子は出会い、結ばれる運命にあるんだとそう信じている...というか、そうであって欲しいと切に願っている。

　アレクサンドル王子を託せるのはマルガリータしか居ないのだから。私としてはさっさとくっ付いて欲しいとさえ思っている。いやマジで、とっとと引き取って貰いたいくらいだ。

　まぁ、そうは言っても...王立学園に入学するまで少なくともあと4年は我慢しなけりゃならない訳なんだけどね...

　ともあれ、私がブルーローズ村のために力を尽くすことにはなんの問題もないはず。少なくとも私はそう思っている。

　だからまずは、ブルーローズを隣国に売り込むつもりだったのだが、既に隣国でレインボーローズが品種改良済みなのと、そうではない場合とでは売り込み方が変わって来る。

「シンシア、あなたはレインボーローズのことを聞いたことない?」

「えぇ、私もありません」

「エドワードは?」

「私めも聞いたことはありませんな。そもそもですがお嬢様、バラを虹色に輝かせるなんてそんな魔法みたいなことが可能なんでしょうか?」

「確かに...言われてみればその通りよね...」

　ここは魔法なんていう超能力が存在しない世界だ。ドラゴンも居なけりゃ冒険者ギルドも存在しない。魔道士も魔法剣士も居ない。

　そもそも前世でだって、あれほどバイオテクノロジーが進化した世界でさえ、青いバラを品種改良して作り出すのは大変な労力だったと聞いている。

　それを文化的にみて、バイオテクノロジーのバの字も知らないようなこの世界の人達が、青いバラを作り出したのだって奇跡的なことだって言うのに、果たして虹色に輝くバラなんて作り出せるものなんだろうか?

　いくら小説の世界だとは言っても、作者はそこんとこちゃんと考えて書いて欲しいよな...そんな世界に転生するこっちの身にもなって欲しいもんだよ...