転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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「そもそもですが、お姉様はいつどこでそのレインボーローズとやらの話を聞いたんです?」

「えっ!? あ、あぁ、王都に居た頃だったかしらね...ちょっと小耳に挟んだのよ...」

 取り敢えず私は曖昧に誤魔化しておいた。

「そうなんですね」

「でもあなた達の内、誰一人知らないということは、眉唾物の話だったのかも知れないわね。まずは情報の真偽を確認しましょうか」

「どうやるんです?」

「お父様に聞いてみるわ。もしかしたら隣国にツテがあるかも知れないし」

「確かに。クリンスマン様ならなにかご存知かも知れませんね」

「えぇ、隣国ともお付き合いしているかも知れないしね」

「それでお姉様、我が領のブルーローズを輸出するという話ですが、その件とレインボーローズがどう関係して来るんです?」

「そんな珍しいバラが自分達の手元にあるんだとしたら、輸入品の青いバラなんてきっと見向きもされないでしょう? だからその場合には付加価値が必要になると思ったのよ」

「具体的には?」

「そうね...例えばブルーローズは幸福を齎す縁起の良いバラであるとかね」

「実際そうなんですか?」

「さぁ? 知らないわ?」

「お姉様....」

 ラインハルトが私を蔑んだような目で私を見て来やがる。失敬なヤツだな!

「あのね、ラインハルト。こういうのは謂わば言ったもん勝ちなのよ? 実際どうかなんて関係無いの。信じる者は救われるのよ」

「それって霊感商法なんでは...」

「お黙り! これは宣伝文句よ! 失礼なこと言わないでちょうだいな!」

「それって誇大広告なんじゃ...」

「あぁもう! いちいちうるさいわね! ああ言えばこう言うみたいなノリは勘弁してちょうだいよ!」

 ラインハルトが可愛くない!

「お嬢様もラインハルト様も少し落ち着いて下さい。感情的になっても良いことなんてなにもありませんよ?」

 するとすかさずシンシアが冷めたお茶を入れ直して場を宥めた。こういったところはさすが出来たメイドだ。

「シンシア、ありがとう」

 更に私にはちゃんとコーヒー入れてくれるからありがたい。

「それにラインハルト様、あながち誇大広告とは言えないかも知れませんよ?」

「どういう意味?」

「実際、男が女にプロポーズする時にブルーローズを贈るって話を良く聞きますし」

「そうなの?」

「えぇ、ブルーローズの花言葉が『夢叶う』ですから、男の夢が叶って女と結婚できますようにっていう一種の願掛けなんでしょうね」

「なるほど...じゃあラインハルトもシンシアにプロポーズする時にはブルーローズを贈りなさいな」
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