転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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「ウゲッ! ゲホッ! ゴホッ! ガホッ!」

「ちょっと! 汚いわね! ラインハルト! なにやってんのよ!」

 盛大に噎せたラインハルトがお茶を吹き出した。私の服にちょっと掛かったじゃねぇかよ! 汚ねぇな!

「あぁ、ずびばぜん...じゃなくて! お姉様がとんでもないこと言うからじゃないですかぁ!」

「なによ? 私なにか変なこと言った?」

「言ったじゃないですか! あ、あんな恥ずかしいことを...」

「プロポーズのどこが恥ずかしいっていうのよ?」

「い、いや、だ、だから...」

「今ふと思ったんだけどさ、ブルーローズでプロポーズってなんか語呂合わせっていうか、韻を踏んでいて中々良い感じよね」

「なにを上手いこと纏めてんですか...」

 そう言いながらも茹で蛸のように真っ赤になったラインハルト♪ ムフフ♪ ホンマ初々しいのぉ~♪ その隣でこれまたトマトのように真っ赤っかになっちゃったシンシア♪ えぇのぉ~♪ えぇのぉ~♪ 青春やのぉ~♪ もうお前らさっさと結婚しちゃえよ♪

「お嬢様、そのくらいで...二人はもう限界でございます...」

 見かねたエドワードが割って入って来たんでしょうがない。この辺りで勘弁してあげよう。


◇◇◇


 それから数日後。

「ラインハルト、お父様から返事が来たわ」

「なんのですか?」

「プロポーズ」

「はいぃっ!?」

「あ、間違えた。ブルーローズ」

「...お姉様...絶対わざとやってますよね...」

 あ、バレちった♪

「テヘペロ♪」

「なんですかそれ...ハァ...それで?」

「ブルーローズを輸出していない理由は、まだあまり数多く生産できない種だからみたいね」

「なるほど。技術的な問題ですかね?」

「あるいは資金的な問題かもね? そこら辺は書いてないからなんとも言えないけど」

「そうですね」

「それとレインボーローズの件はどうもガセネタみたい」

「そうなんですか?」

「えぇ、少なくともお父様は聞いたことも無ければ見たことも無いってさ」

「それなら輸出するには問題無さそうですね」

「そうね。後は大量生産するという課題をクリアできればね」

「どうします?」

 私はちょっと考えてから、

「エドワード、お願いがあるの。ブルーローズ村の、じゃなかった、コルツ村の代表者をここに呼んでくれない? どんな問題があるのか直接聞きたいわ」

「畏まりました。直ちに手配します」

 本当のことを言えば、私がもう一度ブルーローズ村に行ってこの目で確かめた方が早いんだけどね。

 でもそれは出来ないんだよ。この段階でマルガリータと対面する訳にはいかないんだ。タイムパラドックスが起きちゃうかも知んないからね。
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