転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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「あ、あの...お、お嬢様がお望みならシンシアは...シンシアは...いつだって全てを捧げる所存でありんす...で、でもその...は、初めてですんで優しくしてくださいね...あ、あんまり痛くしないでくださいね...」

「お前ちゃんと話聞いてたか? もしもの話だっつてんだろ? 私にゃそんな気はねぇよ。百合の世界に引き込もうとするんじゃねぇ。今すぐそのモジモジすんの止めろ。それとクネクネすんのも止めろ。キショイわ」

「き、キショイは酷いじゃないですかぁ~...」

 シンシアは涙目になっているがそんなの知ったこっちゃねぇ。

「とにかく、分かったわね? 明日はあなたも部屋から出ないこと」

「でもでもでも~...お嬢様お一人でゲス野郎のお相手をするだなんて~...やっぱり心配になっちゃいますよぉ~...」

「そんな訳ないじゃない。あの過保護な両親が私達を二人っきりにするはずがないでしょ? どちらか一方が、若しくは二人とも一緒に会うことになるのは間違いないんだから、あなたはなにも心配しなくていいのよ」

「うぅ...分かりましたよ...」

 渋々ではあるがシンシアもやっと納得したようだ。だが私の見立てはその後すぐに脆くも崩れることとなるのだった...


◇◇◇


「えぇ...ウソでしょう...」

 今、私は父親の執務室に居る。外出から戻った父親と、買い物から戻った母親に事情を話して集まって貰っているところだ。

「いや、本当なんだ...明日は朝から閣議がある...公爵家として出ない訳にはいかない...」

「私も朝から側妃様にお呼ばれされているの...なんの用だか知らないけどね...」

「なんてこと...」

 両親もそして私も揃って頭を抱えた。ん? あれ? この状況ってなんかとってもデジャヴ感が...

「お父様、お母様...これって以前、アレクサンドル王子がいきなりやって来た時と酷似していますよね...」

 あの時は先触れすらなかったから、それに比べるとまだマシと言えるかも知れない。だが結局のところは、私が一人で相手をしなければならないという状況に変わりはない訳で...

「全くだ...ゲスはゲスなりに頭が回るってことだな...」

「厄介ね...一体リーチェになにを望んでいるのか分からないだけに...」

 ちなみに母親にはジークフリート王子のゲス野郎っぷりを既に伝えてある。母親はさもありなんという顔をして聞いていた。どうやら母親の耳にもジークフリート王子の悪評は届いていたらしい。

「まぁ、さすがに今回は婚約云々とかいう話にはならないと思いますが...なにせ既に婚約している訳だし...」

 本当になにをしに来るんだろうか? 予想できないというのは怖い気がするな...
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