12 / 130
第12話 保護する
しおりを挟む
あまりの事態にしばし呆然としていた二人だったが、やがて我に返ると、
「ど、どうしようか ...」
「ど、どうしましょうか...」
「...取り敢えず、家の中に運ぼう。傷の手当てをしてあげないと...」
「...そうですね...」
ユウはそっと少女を抱き抱えた。驚く程軽い。家まで急いで戻ると、アリィがドアを開け中に入れる。
「アリィ、一先ずリビングに。あとバスタオルと普通のタオルを何枚か出して貰えるか?」
「分かりました」
リビングの床にバスタオルを敷いて、その上にゆっくりと少女を寝かせる。
「次に傷の手当てか。アリィ、救急箱を出せるか?」
「やってみます」
救急箱は難なく現れた。
「良し。まずはアルコールで傷口を消毒して...と、アリィ、辛かったら見なくていいぞ?」
青い顔をしているアリィを気遣う。
「い、いえ平気です。ユウはその...慣れているんですね...」
「学生時代、ラグビーをやってたからな。怪我なんてしょっちゅうだった。慣れたもんさ。でもこれだけ酷い怪我をしたことはないけどな...」
トラバサミの挟まれた少女のふくらはぎは、傷口がギザギザになっていた。アルコールで消毒して多少キレイにはなったが、まだ血が止まらない。本当は傷口を縫い合わせた方が良いのだろうが、そんな道具も技術も無い。
「血止め薬は...あった、これだな。ちょっと沁みるだろうけど、勘弁しろよ」
アルコールで消毒した時もかなり沁みたはずだが、少女が目を覚ますことはなかったので大丈夫だろう。血止め薬を塗った後は包帯を慎重に巻いた。
「これで応急処置は良し。血は止まるはずだ」
「お疲れ様でした」
アリィがタオルに水を浸してユウに渡す。ユウは血で汚れた手を拭いながら、
「ただ...傷が骨に達してなければいいんだけどな...」
そう言って少女の顔を優しく拭いてあげた。
「それは...確かに心配ですね...」
骨折までしていたら、この救急セットじゃとても間に合わない。
「まぁそれは、俺達にも言えることなんだけど...」
「あ、確かに...」
この世界の医療技術がどこまで進んでいるのか分からないが、日本で受けていたような医療を期待するのはほぼ無理だろう。
「魔法がある世界なら治癒魔法、あるいはポーションとかがあるかも知れませんね」
「そうだな、そこら辺に期待しよう。だがまずは、この子をどうするかだが...」
「きっと親御さんが心配していますよね...」
「あぁ、確かに。狼の姿の時は分からなかったけど、まだこんなに小さな子供だもんな...どれだけ心配していることやら...」
「そうですよね、こんなに可愛らしい子なんですもん」
そう言ってアリィは少女の髪を撫でた。狼の姿の時と同じ、真っ白な髪をしている。その寝顔はまだあどけないが、非常に整った顔立をしている。将来美人になるのは間違いない。
「取り敢えず、目を覚ますまではこのままにしておこう。あ、毛布を一枚出してくれるか?」
「あ、はい」
なにせ少女は全裸だ。弱っているところに風邪でも引かれたら大変だ。
「言葉が通じるといいんですが...」
「大丈夫じゃないかな? こういう異世界モノってそこら辺はチートの範囲内だったりするだろ?」
「確かにそういうの多いですね。言葉は通じるけど文字は読めないみたいな」
「そうそう、それにもし言葉は通じなくてもさっきの念話? みたいなモンで、この子とは意思疎通できると思う」
「やっぱりアレってこの子なんですよね?」
「他に誰も居なかったしな。まず間違いないだろう。まぁともあれ、この子が目覚めるまで待とう」
「そうですね。その間、私達は食事にしましょう」
「賛成! 腹ペコだよ」
ユウは腹を擦りながら言った。アリィは苦笑している。
「ど、どうしようか ...」
「ど、どうしましょうか...」
「...取り敢えず、家の中に運ぼう。傷の手当てをしてあげないと...」
「...そうですね...」
ユウはそっと少女を抱き抱えた。驚く程軽い。家まで急いで戻ると、アリィがドアを開け中に入れる。
「アリィ、一先ずリビングに。あとバスタオルと普通のタオルを何枚か出して貰えるか?」
「分かりました」
リビングの床にバスタオルを敷いて、その上にゆっくりと少女を寝かせる。
「次に傷の手当てか。アリィ、救急箱を出せるか?」
「やってみます」
救急箱は難なく現れた。
「良し。まずはアルコールで傷口を消毒して...と、アリィ、辛かったら見なくていいぞ?」
青い顔をしているアリィを気遣う。
「い、いえ平気です。ユウはその...慣れているんですね...」
「学生時代、ラグビーをやってたからな。怪我なんてしょっちゅうだった。慣れたもんさ。でもこれだけ酷い怪我をしたことはないけどな...」
トラバサミの挟まれた少女のふくらはぎは、傷口がギザギザになっていた。アルコールで消毒して多少キレイにはなったが、まだ血が止まらない。本当は傷口を縫い合わせた方が良いのだろうが、そんな道具も技術も無い。
「血止め薬は...あった、これだな。ちょっと沁みるだろうけど、勘弁しろよ」
アルコールで消毒した時もかなり沁みたはずだが、少女が目を覚ますことはなかったので大丈夫だろう。血止め薬を塗った後は包帯を慎重に巻いた。
「これで応急処置は良し。血は止まるはずだ」
「お疲れ様でした」
アリィがタオルに水を浸してユウに渡す。ユウは血で汚れた手を拭いながら、
「ただ...傷が骨に達してなければいいんだけどな...」
そう言って少女の顔を優しく拭いてあげた。
「それは...確かに心配ですね...」
骨折までしていたら、この救急セットじゃとても間に合わない。
「まぁそれは、俺達にも言えることなんだけど...」
「あ、確かに...」
この世界の医療技術がどこまで進んでいるのか分からないが、日本で受けていたような医療を期待するのはほぼ無理だろう。
「魔法がある世界なら治癒魔法、あるいはポーションとかがあるかも知れませんね」
「そうだな、そこら辺に期待しよう。だがまずは、この子をどうするかだが...」
「きっと親御さんが心配していますよね...」
「あぁ、確かに。狼の姿の時は分からなかったけど、まだこんなに小さな子供だもんな...どれだけ心配していることやら...」
「そうですよね、こんなに可愛らしい子なんですもん」
そう言ってアリィは少女の髪を撫でた。狼の姿の時と同じ、真っ白な髪をしている。その寝顔はまだあどけないが、非常に整った顔立をしている。将来美人になるのは間違いない。
「取り敢えず、目を覚ますまではこのままにしておこう。あ、毛布を一枚出してくれるか?」
「あ、はい」
なにせ少女は全裸だ。弱っているところに風邪でも引かれたら大変だ。
「言葉が通じるといいんですが...」
「大丈夫じゃないかな? こういう異世界モノってそこら辺はチートの範囲内だったりするだろ?」
「確かにそういうの多いですね。言葉は通じるけど文字は読めないみたいな」
「そうそう、それにもし言葉は通じなくてもさっきの念話? みたいなモンで、この子とは意思疎通できると思う」
「やっぱりアレってこの子なんですよね?」
「他に誰も居なかったしな。まず間違いないだろう。まぁともあれ、この子が目覚めるまで待とう」
「そうですね。その間、私達は食事にしましょう」
「賛成! 腹ペコだよ」
ユウは腹を擦りながら言った。アリィは苦笑している。
15
あなたにおすすめの小説
『召喚ニートの異世界草原記』
KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。
ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。
剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。
――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。
面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。
そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。
「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。
昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。
……だから、今度は俺が――。
現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。
少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。
引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。
※こんな物も召喚して欲しいなって
言うのがあればリクエストして下さい。
出せるか分かりませんがやってみます。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる