王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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「なるほど...」

「な? 不自然ではないだろ?」

「えぇ、まぁ...」

 なんとなく腑に落ちなかったが、負い目のあるファリスとしては曖昧に頷くしかなかった。

「まんまとライラを誘い出せたら、君は頃合いを見て『急に用事を思い出した』とかなんとか言って退席して貰っても構わない。いや寧ろ退席してくれ」

「ハァ...」

「なんなら最初っから『急に具合が悪くなった』とかで来なくても構わない」

「ハァ...」

「要は僕とライラを二人っきりにしてくれればいいんだ」

「ハァ...」

「引き受けてくれるな? というか、君に選択権は無いんだけどな」

「分かりました...」

 ファリスは軽く頭を下げて了承の意を示した。自業自得ではあるものの、その表情は暗いままだった。

「それじゃそういうことでヨロシク」

 そう言ってミハエルは席を立ち、一旦はドアの方に向かって歩き出したが、

「あぁ、忘れる所だった」

 なにかを思い出したかのように立ち止まった。

「ファリス嬢、君の実家のシェリダン伯爵領から来ていた援助の申し入れを受けることにするよ」

「えぇっ!? 本当ですか!?」 

 その言葉を聞いた途端、ファリスの顔が喜色に溢れた。

「あぁ、自然災害じゃどうしようもないもんな。今年の大雨による洪水では多数の死傷者を出して、耕作地もかなりの被害を被ったんだろ?」

「は、はい...」

「君がこんな非常手段に訴えたのも、とにかく困窮する領地を救いたいっていう一心の表れだったんじゃないか?」

「お、おっしゃる通りでございます...ご慧眼恐れ入ります...」

 ミハエルの指摘したことは全て正しかった。今年、ファリスの実家であるシェリダン伯爵領では、未曾有の豪雨に見舞われ主要河川が氾濫し大洪水を引き起こした。

 耕作地は軒並み水浸しとなり、多数の死傷者、行方不明者を出した。領民達は絶望し困窮を極めた。

 シェリダン伯爵は私財を投げ売って領民達の支援に努めたが、そうなると当然、国に納めるべき税金を支払うことが出来ない。

 なので国に対し、税金の支払い猶予と災害支援の要求を出したのだが、国というものはどこの国であっても漏れなくお役所仕事であり、とにかく対応がすこぶる遅い。

 この国も例外ではなく、要求を出してもそれが通るまでに、やれ審査だのやれ視察だのと幾つもの段階を踏む必要があり、認可されるまで非常に時間が掛かる。
 
 だがそんなのを悠長に待っている暇は無いのだ。支援は早ければ早いに越したことはないのだから。

 そんな状況でファリスに王妃候補に選ばれたという連絡が来た。ファリスとしてはこれはチャンスだと思った。

 王妃に選ばれれば即刻困窮している領地を救うことが出来ると。
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