王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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「しかしこれで、ライラの言っていた次善の策とやらはどうやら同定できたようだな」

「あぁ、確か伝書鳩を使った連絡方法が上手く行かなかった時の替えの手段でしたっけ?」

 騎士団長が思い出すように遠い目をしながらそう言った。

「そうだ。恐らくだが、これまでにも何度かあんな風に近衛に成り済まして、ドロシー嬢と接触することを繰り返していたんじゃないかな?」

「なるほど...近衛なら怪しまれずに接触できますもんね...」

「そういうことだ。レイチェル嬢の事件の際、ライラの提言に沿って使用人は全て入れ替えたが、まさか近衛にまで潜り込んでいたとわな...完全に裏を掛かれた...」

 ミハエルは憮然とし、騎士団長は唇を噛み締めた。

「殿下...誠に申し訳ございません...私の監督不行き届きでした...」

「騎士団長が謝ることじゃないさ。ここまで敵の手が長く伸びることを予測できなかった僕のミスでもあるんだから...」

 ミハエルも騎士団長と同じように悔しげに唇を噛み締めながら、敢えて『敵』という表現を使って怒りを露にした。

「とにかく夜が明けたら、ドロシー嬢に対する尋問を再開するとしようか。自分が口封じされそうになったという事実を知ったら、さすがに喋ってくれるだろうからな」

「えぇ、そうですね」

「それと平行して、さっき捕らえた男の尋問も開始してくれ」

「分かりました」

「まぁこっちの方は、そう簡単に口を割らないだろうがな」

「でしょうね」

「だがこれで、敵に対する切り札は手に入れた。首を洗って待ってろよ、ラングレー公」

 ミハエルは今度こそ敵を一網打尽にしてやると固く心に誓った。

「しかしまぁ...なんというか...ラングレー公は血も涙もない御仁ですな...実の娘をこうもあっさりと切って捨てようだなんて...」

 騎士団長は眉を寄せ不快感を顕にした。

「それなんだがな。実はドロシー嬢にはラングレー公の実の娘ではないという噂があるんだ」

「なんと!? そんな噂があったのですか!?」

 騎士団長は寝耳に水といった感じで驚いていた。

「あくまでも噂だがな」

「でもその噂がもしも真実なんだとしたら...事が露見する前に、ラングレー公が躊躇なくトカゲの尻尾切りに踏み切ったことも理解できますよね...」

「あぁ、そういうことになるな。なんにせよ、全ては明日ドロシー嬢に口を割らせることから始まる...アフッ...」

 かっこ良く決めようとしたミハエルだったが、そこでまたアクビが漏れてしまった。締まらないことこの上ない。

「殿下...そろそろお休みになって下さい...」

 騎士団長はやれやれと言いたげな顔でそう言った。
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