王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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「ハハハッ! 許さないってか!? 随分と威勢の良いお嬢様だな!」
 
 ルイスは小馬鹿にしたように嗤いながらそう言った。

「なにがおかしいって言うのよ! あんたなんかどうせここから逃げ出せやしないんだから、大人しく観念しなさい! そしてさっさと私を解放しなさい!」

 ライラは精一杯虚勢を張った。

「逃げ出せない? クククッ! それはどうかな!?」

 ルイスはニヤニヤと嗤い続けている。ライラは更にムカついた。

「私が居なくなったことはすぐに知れるわ! そうなったら警備が強化されて誰も出れなくなる! つまりあんたは袋のネズミってことよ! 分かったらとっとと自首しなさい! 今なら縛り首で勘弁してあげるわ!」

「クククッ! 縛り首で済ませてくれるなんてお優しいことだねぇ! アハハハッ!」

 ルイスはおかしくて堪らないかのように嗤い続けた。

「くっ! こ、このぉ!」

 ライラがいくら睨み付けようとも、ルイスの嗤いは止まらない。一頻り嗤ってやっと満足したのか、徐にルイスはこう続けた。

「なぁ、お嬢様。あんたが今居る所はどこだか分かるかい?」

「...」

 ライラに分かる訳がない。なので沈黙で返した。

「ここはな? 王族しか知らない秘密の抜け道なんだよ」

「秘密の抜け道?」

「あぁ、そうだ。敵に城を攻められた時に緊急脱出するためのもんなんだよ」

 ライラは以前、この『秘密の抜け道』を小説のネタに使ったことがあった。もちろんその時は実際にあるなんて思っておらず、空想の産物として『こんなもんがあったら面白いだろう』的な発想だった。

 だからこうして実物を目の当たりにすると、感慨深いというか本当にあったんだという驚きというか、なんとも微妙な感覚に陥った。

 もちろん捕らわれの身としては、そんな感慨に悠長に浸っている場合じゃないってのは良く分かってはいるのだが、これが物書きの性みたいなもんなんだろうか。

「今あんたはこう思ってるよな? なんでそんな秘密を俺が知ってるのか? って。そんなもんがあったとしても、普通は王族にしか知らされないもんだからな。じゃあ、なんでだと思う?」

「...」

 最悪の予想が頭に浮かんだライラは、現実に引き戻され沈黙するしかなかった。

「答えは簡単! 王族の中に裏切り者が居るからでした!」

「そ、そんな...」

 当たらないで欲しかった予想が当たってしまったライラは、次の瞬間膝から崩れ落ちた。

「フハハハッ! いいぞいいぞ! その絶望に染まった顔が見たかったんだよ! アハハハッ!」

 ルイスはさもおかしそうに腹を抱えて高嗤いした。
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