ようこそ、追放村へ!~冤罪で婚約破棄され国外追放された4人の令嬢達

真理亜

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「罪人の中には本物の悪党もおれば冤罪を叫ぶ者もおったな。じゃが一度試練を受ければ、皆等しく自分だけが助かりたいと他者を蹴落とす輩になり下がった。浅ましい者共よな。儂は裁定者としてそんな人間は、例え無罪であっても助けるには値せんと考えるようになったんじゃよ」

 そこまで言ってヘイロンはゆっくりとお茶を飲み干した。4人は沈黙したままだった。ややあってシイナが徐に話し出した。

「つまり...私達4人の人間性も確認してたってことね...」

「そういうことじゃ」

「アタシらは合格ってことか...」

 カレンがポツリと呟く。

「儂が裁定者となって初めての合格者ということになるのぉ」

 ヘイロンは遠い目をしながら肯定した。

「良かった...頑張った甲斐があったよ...」

 フウカがホッとしたような表情を浮かべる。

「わたくしは皆さんの足を引っ張ってしまいましたわ...自分が情けないです...」

 ミレイは沈痛な表情を浮かべた。

「全くじゃ...惜しいことをした...」

 他の3人が慰めようとする前に、ヘイロンが残念至極といった表情を浮かべる。

「...お願いですから、わたくし達を食べようとするのは諦めて頂けないかしら...」

 ミレイがジト目でヘイロンを睨み付ける。

「分かっておるわい。約束は守ると言うたじゃろ。だがなぁ...今が食べ頃の若い女が一気に4人じゃぞ? 儂がどれだけ腹を鳴らしたか分かって欲しいもんじゃよ。ジュルジュルジュルジュルリ」

「...今が旬の食べ物みたいな言い方しないで...ヨダレを拭きなさいな...全くもう...未練タラタラじゃないの...ハッ!? も、もしかして!?」

 シイナは何かに気付いたようだ。

「私に赤頭巾を渡したのはそういう意味だったのね!?」

「バレたか」

 ヘイロンはテヘペロな顔をした。

「冗談じゃない! 私はこんな頭巾被らないからね!」

 シイナは赤頭巾を床に叩き付けた。

「まぁまぁ待て待て。あの童話には納得いかん所があると思わんか? そもそも狼の口がどんだけ大きくたって、お婆さんと赤頭巾ちゃんを飲み込める程じゃなかろ? その点、儂なら童話を地でイケる。試してみたいと思うのは可愛いもんじゃろ?」

「誰が思うかぁ~! 少しも可愛いくないわぁ~!」

「ほらほら、赤頭巾ちゃん。お婆ちゃんにお前のその可愛いお顔をよおく見せておくれ~ この口はお前を食べるために大きいんだよ~」

「やっかましいわぁ~!」

 シイナとヘイロンが繰り広げるコントを、他の3人は呆気に取られながら見ていた。

 さっきまでの重苦しい雰囲気は微塵も感じられなくなっていた。
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