我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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「兄貴~!」

「パパ~!」

「えっ!? ウィリアム!? マックス!? こ、これは幻か!?」

 マックスに抱き付かれたことで、やっと焦点が定まったパトリックの瞳が驚愕で見開かれた。

「現実だよ、兄貴...探しに来たんだ...」

「パパ~! パパ~! パパ~!」

 抱き付いて来たマックスを反射的に受け止めたパトリックは、しばし呆然としながら弟の顔を見詰めていた。


◇◇◇


「そうか...アンリエットが...彼女には本当に迷惑を掛け通しだな...」

 泣き疲れて眠ってしまったマックスの頭を撫でながら、パトリックは静かにウィリアムの説明に耳を傾けていた。

「あぁ、そういうことだ。次は兄貴の話を聞かせてくれ。その格好は一体どうしたんだ!?」

「...笑える話だ...聞いて貰えるか?」

 そう切り出してから、パトリックはポツリポツリとこれまでの経緯を語り出した。

 曰く、国の査察が入ったあの日、全てが終わったと悟ったパトリックは、持てるだけの財産を持って国外へ逃げ出そうと思ったこと。

 その際、マックスを連れて行く訳には行かず、苦渋の決断として一番信頼のお置けるアンリエットに預けようと思ったこと。

 アンリエットに見抜かれてアランを付けられた時は焦ったが、なんとか出し抜くことに成功して国外へと脱出したこと。

 ここまではアンリエットの予想通りだった。だがこの後なにが起こったのか?

「...俺がバカだったんだ...」

 パトリックは唇を噛みながら先を続けた。

 曰く、国外へと脱出する上で頼ったのは、昔から付き合いのあったこの国のとある貴族だったが、実はソイツはとんでもない悪党だったらしい。

 パトリックが大金を持っていることを知るや、言葉巧みにパトリックを言い包めてまんまと全財産を巻き上げてしまった。

 パトリックとしては、犯罪者である自分を匿ってくれたという恩義がある以上、無下にする訳にも行かず、ズルズルと相手の言うがままに従っていた結果、いつの間にか一文無しにされてしまったいた。

 そうなると、もうパトリックには用はないと言わんばかりに、その貴族は王都にパトリックをたった一人で放り出したのだと言う。

 そこからは日雇いの仕事を転々としながら飢えを凌ぐ毎日だということだった。

 ウィリアムはパトリックの話の途中から涙が止まらなかった。自分や両親のバカな行いのせいで、家は取り潰しになるわパトリックはこんな酷い目に遭うわで、情けないやら申し訳ないやら様々な感情が入り交じり、ただただ声を押し殺して泣くしかなかった。
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