【完結】R-18乙女ゲームの主人公に転生しましたが、のし上がるつもりはありません。

柊木ほしな

文字の大きさ
9 / 75
第1章*とんでもない専属メイド初日

4・王子+ドS

しおりを挟む

「ん、ん……っ」

「ふ……」
 
 王子の私室。
 豪華なキングサイズのベッドの上。
 見目麗しい金髪碧眼の王子様に押し倒されて、キスをされている。
  それもいきなりディープ。

 (さすが手馴れてる!!)

 乙女なら1度は憧れるであろう、ロマンチックなシーン。 
 そんな中、ルーナはただただ混乱していた。

(待て待て待て!!)
 
 王子の舌が上顎を撫で、歯列をなぞる。

「ふ……んんっ」

 奥の方に引っ込めていたはずの舌を見つけられ、王子の舌が絡んだ。

「ん、ん……っ」

 長い。
 いつまで経っても唇を離してくれない。
 
 唇を食むように柔らかく口付けたと思えば、今度は呼吸さえも奪うような深いキスをされ、息を継ぐタイミングを見失ってしまう。

「は……ぁっ!」

 王子の手が、胸の上に置かれる。
 ルーナは思わずびくりと体を跳ねさせてしまった。
 やめてください、と拒絶したくても、唇を王子のそれに塞がれて声を上げることが出来ない。

「顔が赤くなってるよ? 熱がある? 暑い?」

(いやいやいや、アンタのせいだから!)

 見当外れもいいところだ。
 わざとらしいにも程がある。

 ルーナは涙目で王子を見上げ、迫力がないことは承知しつつもキッと睨んだ。
 こちらは呼吸だけでやっとの有様なのに、王子はといえば涼しい顔をしている。

「ああ、今楽にさせてあげるよ。涼しくしてあげる。いや……もしかしたら暖めてしまうかもしれないけど」

「ちょ、やめ……っ」

 王子がメイド服のリボンを解き、ブラウスのボタンに手をかける。
 上から3つめまでを外されて、中から薄い下着と胸の谷間が覗いた。
 
「うん。可愛い。もっと嫌がって?」

 ニッコリ。

(ドSーーーー!)

 紛うことなき、ドSだ。
 ゲームの中の彼と寸分違わない。
 
「ひゃ……っ」

 王子はルーナの下着を下へずらし、胸の谷間へ顔を埋めてきた。
 息が、唇が掠めてくすぐったい。

 そんなところにキスをされると、妙な気持ちになってくる。

「や、め……っ」

「ふふ……っ。やめて貰えると思ってる?」

 思ってはいない。
 思えない。
 だって。

(私はこの先を知っている)

 多少違うところはあるが、それでも大筋は同じだ。  

 それに……。

 どうせ自分は抵抗出来ない。

 何せ相手は王子様だ。
 引っぱたいて逃げようものなら不敬罪になるし、どんなにルーナが喚き騒ごうとも、王子の手前ほかの使用人からは見て見ぬふりをされる。

 一介のメイドに、拒否権などない。
 抵抗は言葉でしか出来ない。
 言葉ですら制約がある。

(うわ、改めて考えるとこの主人公ってこんなに立場弱かったんだ)

 もしかしたら、そんな弱い立場から脱却したかったのかもしれない。
 本来のあの子は。

「や、あぁ……んっ」

 ルーナの心のどこかに残っていた冷静さは、王子に乳頭を口に含まれたことで霧散した。


 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

黒騎士団の娼婦

イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

処理中です...