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第1章*とんでもない専属メイド初日

4・王子+ドS

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「ん、ん……っ」

「ふ……」
 
 王子の私室。
 豪華なキングサイズのベッドの上。
 見目麗しい金髪碧眼の王子様に押し倒されて、キスをされている。
  それもいきなりディープ。

 (さすが手馴れてる!!)

 乙女なら1度は憧れるであろう、ロマンチックなシーン。 
 そんな中、ルーナはただただ混乱していた。

(待て待て待て!!)
 
 王子の舌が上顎を撫で、歯列をなぞる。

「ふ……んんっ」

 奥の方に引っ込めていたはずの舌を見つけられ、王子の舌が絡んだ。

「ん、ん……っ」

 長い。
 いつまで経っても唇を離してくれない。
 
 唇を食むように柔らかく口付けたと思えば、今度は呼吸さえも奪うような深いキスをされ、息を継ぐタイミングを見失ってしまう。

「は……ぁっ!」

 王子の手が、胸の上に置かれる。
 ルーナは思わずびくりと体を跳ねさせてしまった。
 やめてください、と拒絶したくても、唇を王子のそれに塞がれて声を上げることが出来ない。

「顔が赤くなってるよ? 熱がある? 暑い?」

(いやいやいや、アンタのせいだから!)

 見当外れもいいところだ。
 わざとらしいにも程がある。

 ルーナは涙目で王子を見上げ、迫力がないことは承知しつつもキッと睨んだ。
 こちらは呼吸だけでやっとの有様なのに、王子はといえば涼しい顔をしている。

「ああ、今楽にさせてあげるよ。涼しくしてあげる。いや……もしかしたら暖めてしまうかもしれないけど」

「ちょ、やめ……っ」

 王子がメイド服のリボンを解き、ブラウスのボタンに手をかける。
 上から3つめまでを外されて、中から薄い下着と胸の谷間が覗いた。
 
「うん。可愛い。もっと嫌がって?」

 ニッコリ。

(ドSーーーー!)

 紛うことなき、ドSだ。
 ゲームの中の彼と寸分違わない。
 
「ひゃ……っ」

 王子はルーナの下着を下へずらし、胸の谷間へ顔を埋めてきた。
 息が、唇が掠めてくすぐったい。

 そんなところにキスをされると、妙な気持ちになってくる。

「や、め……っ」

「ふふ……っ。やめて貰えると思ってる?」

 思ってはいない。
 思えない。
 だって。

(私はこの先を知っている)

 多少違うところはあるが、それでも大筋は同じだ。  

 それに……。

 どうせ自分は抵抗出来ない。

 何せ相手は王子様だ。
 引っぱたいて逃げようものなら不敬罪になるし、どんなにルーナが喚き騒ごうとも、王子の手前ほかの使用人からは見て見ぬふりをされる。

 一介のメイドに、拒否権などない。
 抵抗は言葉でしか出来ない。
 言葉ですら制約がある。

(うわ、改めて考えるとこの主人公ってこんなに立場弱かったんだ)

 もしかしたら、そんな弱い立場から脱却したかったのかもしれない。
 本来のあの子は。

「や、あぁ……んっ」

 ルーナの心のどこかに残っていた冷静さは、王子に乳頭を口に含まれたことで霧散した。


 
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