31 / 33
間章 あの子が忘れた物語Ⅰ
31話 カーネリアの子供達 後編
しおりを挟む
ゲイツに言われていた“迎え”は昼頃に来た。フィメロ、リッカと遊んでいると玄関からゲイツに呼ばれる。
「ブレイズ、フィメロ。ギンバルロッソに行く迎えが来たぞ」
「はい。リッカ、またね」
「もう行っちゃうの?」
リッカが寂しそうにしている。せっかくできた友人と別れるのが惜しいのはフィメロも同じだった。
「おにぃちゃん、リッカとまた会える?」
「父さんと母さんに会えたら、またここに来よう。そうしたら会えるよ」
「ん……リッカ、またね」
フィメロと手を繋ぎ、ゲイツ達の待つ玄関へ向かった。扉の先にいるのは金属を全身に纏った、少し怖い人達だった。
「確かに、カーネリアの子供に違いないな」
一番前にいた衛兵がブレイズとフィメロを見下ろし頷く。その彼にゲイツが疑わしそうに尋ねた。
「ちゃんと約束は守っていただけるのですよね?」
「もちろん、報酬はきっちり払わせていただく。では行こうか。ついて来い」
二人の周りを衛兵が囲み、どこかへと歩き出す。不安に押しつぶされそうなブレイズが振り返ると、ゲイツが玄関の扉を閉めるところだった。
(本当に大丈夫かな……)
フィメロも衛兵達の重苦しい空気に押され、表情が強張っている。
「あ、あの、ギンバルロッソまで送ってくれるんだよね?」
「そうだ」
「俺達、両親を探してて……母さんは俺と妹によく似てるんだ。俺達に似た女の人、見かけてない?」
ブレイズが尋ねると、前を歩く衛兵が少しだけブレイズを振り返った。
「……両親ならギンバルロッソに行けば会えるはずだ」
「本当?」
よかった。両親はギンバルロッソにいたのだ。一安心したブレイズはもう何も疑わずに衛兵の後をついて行く。
活気づいた街に無愛想な衛兵の集団は異様な光景として人々の目に写る。
「一体なんだい? 戦争は終わったってのに」
「子供を連れてないか?」
「どうして子供なんか……魔法使いの子供か?」
「あの目の色……カーネリアの魔法使いじゃないか?」
「ああ、今の“管理者”もうすぐが死にそうだって話だったよな」
ヒソヒソと話す声はブレイズの耳にはほとんど届かない。背の高い大人達が壁のようにぐるりと囲んでいるせいだ。
「乗れ。荷物は全てこちらで預からせてもらう」
何か言う間もなく背負っていた荷物を奪われる。半ば押し込まれるようにして乗せられたのは鉄の籠だった。
「お、おにぃちゃん」
「大丈夫だ、フィメロ」
フィメロを抱き寄せ、二人で縮こまって座る。格子の嵌められた小さな窓があるだけで、あとは何もない。
籠が揺れる。どうやら走り出したらしい。
「おにぃちゃん、どこに連れてかれるの?」
「ギンバルロッソだよ。そこに、父さんと母さんがいるんだ」
「ほんとう?」
「うん……」
薄暗い鉄籠の中でどれくらい揺られていただろうか。何度か扉が開き、食事を与えられたり用を足す機会を与えられたりした。時間は分からないが、二回、格子の外に夜空を見た。
「降りろ」
扉が開くなりそう言われた。ギンバルロッソに着いたのだろうか。眩しさに目を細めながら、ブレイズとフィメロが籠から降りる。
そっと振り返ると、鉄の籠を引きずっていたのは仮面を付けた四頭の黒い馬だった。
「ついて来い」
また周りを囲まれて歩かされる。ギンバルロッソに着いたのなら、今度はどこへ連れて行かれるのか。
(父さんと母さんの所へ連れて行ってくれる、とか? でも、そんな感じじゃない……)
前方にそびえ立つのは黒い建物。よくフィメロに読み聞かせる絵本に出てくる城に似ている。しかし、絵本とは違い随分と禍々しさを纏っている。
一行はその中へと入る。ブレイズとフィメロは懸命について行くだけだ。
「神官長、カーネリアの子供を連れて来ました」
「ふむ。その目を見る限り間違いなさそうですね。ついて来なさい」
銀髪の男性が先を歩き、その後をついて行くように促される。
「ここまでで結構。君達は下がりなさい」
「はっ」
石畳の長い回廊の手前で一度立ち止まる。どうやらここからはこの男性と兄妹だけで向かうようだ。
いそいそと後ろを歩くブレイズ達に彼は何も話しかけない。回廊の先は鍵のかかった扉。そこを潜るともう一つ扉。さらにその先には螺旋状の階段があり、しばらく昇ったのち男性はまた一つ扉を開いた。
「ここが、今日から君達が暮らす部屋です」
「えっ」
急にそんなことを言われれば焦る。今日からここで暮らす? 意味が分からない。
「これも必要でしたね。」
手渡されたのは透明な石がはめ込まれた首輪。カラーが付けていたものと全く同じものだった。
「え、これ、」
「魔法使いは魔法石が無いと魔法が使えませんから」
「魔法使いって、俺とフィメロが?」
「他に誰が。君達二人はギンバルロッソが抱える管理者、カーネリアの血縁です」
そう告げられるまで、ブレイズは自分達が魔法使いの家系だということを知らなかった。
頭が全く追いつかない。魔法使い? 自分達が?
「管理者はもうすぐ冥府へ発たれます。君達には次の管理者を選定する、選定の儀へ参加してもらいます」
「まっ、待ってよ、俺達は父さんと母さんを探しに来ただけで……それに、父さんと母さんがギンバルロッソにいるって聞いたから、」
「そう言った方が君達が大人しくついてくると考えたのでしょう。抵抗されては面倒ですから」
「俺達を騙したのか!?」
「騙すも何も、長く帰って来ないのなら君達の両親は先の戦争で既に亡くなられているのでは? いくらカーネリアの血筋といえど、母なる石の加護が無くてはただの魔法使いですから」
「な……」
両親が既に死んでいる。根拠も無しにそんなことを言われて、どうして怒らずにいれるだろうか。
「父さんと母さんが死んでるだなんて、勝手なこと言うな!!」
「その可能性が高いというだけです。あの戦争では多くの魔法使いが盾の役目を果たし、兵力が削れるのを防ぎましたから。戦勝に貢献できたのだから、誇るべきことでしょう」
家族が死んだことを誇れだなんてどうかしている。怒りに任せて詰め寄ろうとしたブレイズの服を誰かが引っ張った。
「おにぃちゃん、おとーさんとおかーさん、死んじゃったの?」
不安に揺れる妹の目。その目を見たら怒りなど飛び、ブレイズはフィメロをぎゅっと抱き締めた。
「違う。二人とも死んでなんかない。死んでなんか……」
「死んじゃったから、帰ってこないの?」
「違うよフィメロ。きっと忙しいだけなんだ」
「おかーさん死んじゃうの、やだぁああ」
ぽろぽろとフィメロが涙を零す。その様子を神官長と呼ばれた男性は無表情で眺めるだけだった。それどころか、呆れたように息を吐く。
「儀式まではまだ期間があります。それまで、他の子達と魔法の勉強でもしていてください」
うんざりしたようにそう言い残すと、彼は階段を降りていった。フィメロの背中を擦りながら、ブレイズはその姿が見えなくなるまで睨みつけた。
与えられたのは泊めてもらったゲイツの家よりさらに簡素な部屋だった。子供二人並んだだけでいっぱいなベッド、薄い布団、ガタついた机。シャワールームも扉一枚隔ててシャワーが一つあるだけだ。
「おうち帰りたいよお」
「…………そうだよな」
ここまで一度も「帰りたい」とは言わなかったフィメロがとうとうぐずり出す。当然だ。今日にはあの高原の家に帰っているはずだった。
決して綺麗な家ではないが、ここよりもずっと温かい家だった。
「ごめん、フィメロ……俺のせいだ。俺が、街に行こうなんて言わなければ……」
言わなければ、今も平穏な日々を過ごすことができたのに。
小さな妹の身体をいっぱいに抱き締める。
「俺が、お兄ちゃんがフィメロを守るから。絶対に二人で家に帰ろう」
「ブレイズ、フィメロ。ギンバルロッソに行く迎えが来たぞ」
「はい。リッカ、またね」
「もう行っちゃうの?」
リッカが寂しそうにしている。せっかくできた友人と別れるのが惜しいのはフィメロも同じだった。
「おにぃちゃん、リッカとまた会える?」
「父さんと母さんに会えたら、またここに来よう。そうしたら会えるよ」
「ん……リッカ、またね」
フィメロと手を繋ぎ、ゲイツ達の待つ玄関へ向かった。扉の先にいるのは金属を全身に纏った、少し怖い人達だった。
「確かに、カーネリアの子供に違いないな」
一番前にいた衛兵がブレイズとフィメロを見下ろし頷く。その彼にゲイツが疑わしそうに尋ねた。
「ちゃんと約束は守っていただけるのですよね?」
「もちろん、報酬はきっちり払わせていただく。では行こうか。ついて来い」
二人の周りを衛兵が囲み、どこかへと歩き出す。不安に押しつぶされそうなブレイズが振り返ると、ゲイツが玄関の扉を閉めるところだった。
(本当に大丈夫かな……)
フィメロも衛兵達の重苦しい空気に押され、表情が強張っている。
「あ、あの、ギンバルロッソまで送ってくれるんだよね?」
「そうだ」
「俺達、両親を探してて……母さんは俺と妹によく似てるんだ。俺達に似た女の人、見かけてない?」
ブレイズが尋ねると、前を歩く衛兵が少しだけブレイズを振り返った。
「……両親ならギンバルロッソに行けば会えるはずだ」
「本当?」
よかった。両親はギンバルロッソにいたのだ。一安心したブレイズはもう何も疑わずに衛兵の後をついて行く。
活気づいた街に無愛想な衛兵の集団は異様な光景として人々の目に写る。
「一体なんだい? 戦争は終わったってのに」
「子供を連れてないか?」
「どうして子供なんか……魔法使いの子供か?」
「あの目の色……カーネリアの魔法使いじゃないか?」
「ああ、今の“管理者”もうすぐが死にそうだって話だったよな」
ヒソヒソと話す声はブレイズの耳にはほとんど届かない。背の高い大人達が壁のようにぐるりと囲んでいるせいだ。
「乗れ。荷物は全てこちらで預からせてもらう」
何か言う間もなく背負っていた荷物を奪われる。半ば押し込まれるようにして乗せられたのは鉄の籠だった。
「お、おにぃちゃん」
「大丈夫だ、フィメロ」
フィメロを抱き寄せ、二人で縮こまって座る。格子の嵌められた小さな窓があるだけで、あとは何もない。
籠が揺れる。どうやら走り出したらしい。
「おにぃちゃん、どこに連れてかれるの?」
「ギンバルロッソだよ。そこに、父さんと母さんがいるんだ」
「ほんとう?」
「うん……」
薄暗い鉄籠の中でどれくらい揺られていただろうか。何度か扉が開き、食事を与えられたり用を足す機会を与えられたりした。時間は分からないが、二回、格子の外に夜空を見た。
「降りろ」
扉が開くなりそう言われた。ギンバルロッソに着いたのだろうか。眩しさに目を細めながら、ブレイズとフィメロが籠から降りる。
そっと振り返ると、鉄の籠を引きずっていたのは仮面を付けた四頭の黒い馬だった。
「ついて来い」
また周りを囲まれて歩かされる。ギンバルロッソに着いたのなら、今度はどこへ連れて行かれるのか。
(父さんと母さんの所へ連れて行ってくれる、とか? でも、そんな感じじゃない……)
前方にそびえ立つのは黒い建物。よくフィメロに読み聞かせる絵本に出てくる城に似ている。しかし、絵本とは違い随分と禍々しさを纏っている。
一行はその中へと入る。ブレイズとフィメロは懸命について行くだけだ。
「神官長、カーネリアの子供を連れて来ました」
「ふむ。その目を見る限り間違いなさそうですね。ついて来なさい」
銀髪の男性が先を歩き、その後をついて行くように促される。
「ここまでで結構。君達は下がりなさい」
「はっ」
石畳の長い回廊の手前で一度立ち止まる。どうやらここからはこの男性と兄妹だけで向かうようだ。
いそいそと後ろを歩くブレイズ達に彼は何も話しかけない。回廊の先は鍵のかかった扉。そこを潜るともう一つ扉。さらにその先には螺旋状の階段があり、しばらく昇ったのち男性はまた一つ扉を開いた。
「ここが、今日から君達が暮らす部屋です」
「えっ」
急にそんなことを言われれば焦る。今日からここで暮らす? 意味が分からない。
「これも必要でしたね。」
手渡されたのは透明な石がはめ込まれた首輪。カラーが付けていたものと全く同じものだった。
「え、これ、」
「魔法使いは魔法石が無いと魔法が使えませんから」
「魔法使いって、俺とフィメロが?」
「他に誰が。君達二人はギンバルロッソが抱える管理者、カーネリアの血縁です」
そう告げられるまで、ブレイズは自分達が魔法使いの家系だということを知らなかった。
頭が全く追いつかない。魔法使い? 自分達が?
「管理者はもうすぐ冥府へ発たれます。君達には次の管理者を選定する、選定の儀へ参加してもらいます」
「まっ、待ってよ、俺達は父さんと母さんを探しに来ただけで……それに、父さんと母さんがギンバルロッソにいるって聞いたから、」
「そう言った方が君達が大人しくついてくると考えたのでしょう。抵抗されては面倒ですから」
「俺達を騙したのか!?」
「騙すも何も、長く帰って来ないのなら君達の両親は先の戦争で既に亡くなられているのでは? いくらカーネリアの血筋といえど、母なる石の加護が無くてはただの魔法使いですから」
「な……」
両親が既に死んでいる。根拠も無しにそんなことを言われて、どうして怒らずにいれるだろうか。
「父さんと母さんが死んでるだなんて、勝手なこと言うな!!」
「その可能性が高いというだけです。あの戦争では多くの魔法使いが盾の役目を果たし、兵力が削れるのを防ぎましたから。戦勝に貢献できたのだから、誇るべきことでしょう」
家族が死んだことを誇れだなんてどうかしている。怒りに任せて詰め寄ろうとしたブレイズの服を誰かが引っ張った。
「おにぃちゃん、おとーさんとおかーさん、死んじゃったの?」
不安に揺れる妹の目。その目を見たら怒りなど飛び、ブレイズはフィメロをぎゅっと抱き締めた。
「違う。二人とも死んでなんかない。死んでなんか……」
「死んじゃったから、帰ってこないの?」
「違うよフィメロ。きっと忙しいだけなんだ」
「おかーさん死んじゃうの、やだぁああ」
ぽろぽろとフィメロが涙を零す。その様子を神官長と呼ばれた男性は無表情で眺めるだけだった。それどころか、呆れたように息を吐く。
「儀式まではまだ期間があります。それまで、他の子達と魔法の勉強でもしていてください」
うんざりしたようにそう言い残すと、彼は階段を降りていった。フィメロの背中を擦りながら、ブレイズはその姿が見えなくなるまで睨みつけた。
与えられたのは泊めてもらったゲイツの家よりさらに簡素な部屋だった。子供二人並んだだけでいっぱいなベッド、薄い布団、ガタついた机。シャワールームも扉一枚隔ててシャワーが一つあるだけだ。
「おうち帰りたいよお」
「…………そうだよな」
ここまで一度も「帰りたい」とは言わなかったフィメロがとうとうぐずり出す。当然だ。今日にはあの高原の家に帰っているはずだった。
決して綺麗な家ではないが、ここよりもずっと温かい家だった。
「ごめん、フィメロ……俺のせいだ。俺が、街に行こうなんて言わなければ……」
言わなければ、今も平穏な日々を過ごすことができたのに。
小さな妹の身体をいっぱいに抱き締める。
「俺が、お兄ちゃんがフィメロを守るから。絶対に二人で家に帰ろう」
0
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです
みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。
時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。
数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。
自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。
はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。
短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました
を長編にしたものです。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
氷の公爵は、捨てられた私を離さない
空月そらら
恋愛
「魔力がないから不要だ」――長年尽くした王太子にそう告げられ、侯爵令嬢アリアは理不尽に婚約破棄された。
すべてを失い、社交界からも追放同然となった彼女を拾ったのは、「氷の公爵」と畏れられる辺境伯レオルド。
彼は戦の呪いに蝕まれ、常に激痛に苦しんでいたが、偶然触れたアリアにだけ痛みが和らぐことに気づく。
アリアには魔力とは違う、稀有な『浄化の力』が秘められていたのだ。
「君の力が、私には必要だ」
冷徹なはずの公爵は、アリアの価値を見抜き、傍に置くことを決める。
彼の元で力を発揮し、呪いを癒やしていくアリア。
レオルドはいつしか彼女に深く執着し、不器用に溺愛し始める。「お前を誰にも渡さない」と。
一方、アリアを捨てた王太子は聖女に振り回され、国を傾かせ、初めて自分が手放したものの大きさに気づき始める。
「アリア、戻ってきてくれ!」と見苦しく縋る元婚約者に、アリアは毅然と告げる。「もう遅いのです」と。
これは、捨てられた令嬢が、冷徹な公爵の唯一無二の存在となり、真実の愛と幸せを掴むまでの逆転溺愛ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる