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7.ただの共同生活ですからこれは!

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「おかえりなさい」

帰ってきたその人に仏頂面でそう言えば。

「慣れろよ。」

真顔でそう返された。
慣れろって何。慣れるもんなの普通。
付き合ってるわけでもないのに同棲? おかしくない?

ていうか私一応紅家を敵視してる氷榁家の婚約者なのよ? この状況どう考えても向こうに喧嘩売りまくり過ぎじゃない?
そこまで考えてふと思い当たる。

もしかして、初雪さんへの嫌がらせのためだけにここまでやってるわけじゃないよね。もしそうだとしたら今以上に人間性を疑うし、その場合私って人質ってことにならない?

「1人で楽しそうだな。」
「あずき先輩の人間性について改めて考えてました。」

何やってんのこいつ? みたいな目で私を見る先輩を睨みながら私は言った。
そんな私を見て、先輩は鼻で笑うとソファに身を投げるようにして座り、私を引き寄せる。

「そーゆー事言って、ちゃんとバイト辞めて来たんだろ?」
「……」

その通りだけど。

「でもこれで先輩の玩具になる理由は無いですよね。」
「なんで?」

なんで? それに対してこっちが聞きたいんですが?

「まだ何か?」
「勉強教えてやる対価?」
「高すぎませんか?」

私を撫でていた手を止め、ソファから半身を起こすとあずき先輩は少し考えた。

「1位確約なら妥当っしょ。」
「確約……言い切りますねぇ……」

おかげさまで、この前の試験は見事首位でしたが。実家に成績郵送されないかな。あの父親にはマウント取りたい。

「俺が教えんだぜ? そんくらい取ってもらわねーと困る。あ、じゃあ1位落としたらお仕置きとか?」
「死守してやりますよ。」

万年発情期の最低男の言うことだ。間違いなく嫌な予感しかしない。

「言ったな?」
「……」

どうにも私は、この人に良いように踊らされてる気がしてならない。それに抗わずに流される私も悪いんだろうけど。
意地悪く笑う先輩の腕から抜け出し、「ご飯でも作りますかー」と言ってキッチンに向かう。

これも地味に癪だけど、あの人に作らせたら女子としてのプライドが折れそうな気がして。
だって手先器用そうだし、お洒落なもの簡単に作りそうじゃん。
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