奪ってみてよ、先輩。

七夕 真昼

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零緒がベッドの上で女とイチャついてるのを視界に入れながら、俺はテーブルに肘をついて特に何も考えずに喫煙。

「あーあ、可哀想に噛み跡ついちゃって。亜主樹ひでーなー?」
「そーなのぉ。零緒くん慰めて?」

零緒に媚びを売ってるのはさっき俺が抱いてた女。一応キープの1人だけど、もう要らねーかな……。でもこの前1人捨てたし、ソイツも捨てるとまた減るな。新規開拓って気も起きねーし、俺にしつこくまとわりついてくるワケでもねーからまだ置いとくか……。

「亜主樹ー、ゴム持ってるー?」

零緒が俺を振り返る。答えるのも面倒くせぇから、頭に当たんねーかなー、とか考えながら財布を投げる。

「サンキュー。他の中身も抜いていい?」
「見合う対価払ってくれんならいーよ」

やめとくわ、と笑いながら俺の財布を投げ返す。
誘うならてめェのモンくらいてめェで持ってこいよ。

「くりゅーにくだらねぇ提案持ち掛けたのてめェか?」
「あ? あー、その話? 俺っつーか、俺と大地? だってさー、亜主樹全然教えてくんねーじゃん? この前俺らが遊んでるとこにその子いたんだろ? なのに、一言も言わなかったじゃん。」
「なんで言う必要あんだよ」
「そりゃ気になるからよ。亜主樹ってば、拓が手振ろうとしたとこ止めたんだろ? せっかくどんな子か見れたってのによぉ、そんな教えたくねーわけ?」
「てめェと大地みてぇな奴には言いたくねーな。」

俺が何してようが基本的には干渉してこないくりゅーと違って、こいつらはしつこく聞いてくるからな。

「ねぇ亜主樹くん、私たちもシよ?」

零緒と俺のキープの女がヤッてんの見て興奮したんだか、零緒が連れてきた女が俺の腕に胸を押しつけてきた。
面倒くせぇな……。そもそも零緒が連れてくる女は俺好みじゃねぇから勃ちにくいんだよ。

「さっきヌいたから勃たねぇんだけど?」

面倒臭いという意味を込めて見れば、それでも女は「でもぉ……」と身体を押しつけてくる。

「亜主樹くん顔カッコイイし、細身だけど筋肉あって、結構私の好みだなぁって」
「アンタは俺の好みじゃないけど?」

ヤリてぇなら1人でヤッてろよ。どうせ誰にでも腰振るくせに、何が好みだっての。

「亜主樹くん、女の子なら誰でも1回は寝るんでしょ? ね、試しにでも良いから」

俺は1回も言った覚えねーけどなそれ。誘っても勃たなきゃ抱かねぇし。
無視して煙草を吸う俺に、それでも女は誘ってくる。鬱陶しい……。

「ねぇ、亜主樹くん」
「あーうぜェなァ」

煙草を灰皿に押しつけて立ち上がると、女の手首を掴んで零緒たちとは別のベッドに突き飛ばした。

「きゃっ」
「そんなに言うなら付き合ってやるからよォ、ちゃんと勃たせてくれんだよなァ?」

女の上に跨って、顎を押さえて無理矢理目を合わせれば困惑に揺れる瞳と視線が合う。
とりあえず俺がその気になるまで適当にやっとくか。濡れりゃなんでもいーだろ。

「あッ、亜主樹くん……そこイイ……ッ」
「うるせーなァ、勝手に耳障りな喘ぎ声出してんじゃねェよ。つか、玩具が何喋ってんの?」

まず馴れ馴れしく呼ぶんじゃねーよ。

「いたっ……!?」

苛立ちに任せて女の肩に噛み付く。苦痛に呻こうが血の味がしようがどうでもいい。

「ハッ、こっちの方が馬鹿みてェに喘ぐより可愛い声出てんじゃねーの?」

いつの間にか快楽からくる喘ぎ声が悲痛なものに変わってるけど。やっとノッてきた。

「おい亜主樹、俺の女あんま虐めんなよ。」

零緒に水を差されて一気に萎える。

「は? 先にこの女が誘ってきたのに? あんまりうぜェから仕方なく抱いてやってんのに、何? てめェ文句あんの? ねェよな?」

女を見下ろせば無様に泣きながら激しく頭を縦に振る。せっかく少しは抱けそうだと思ったのに、何してくれんの?
零緒は水を差しておきながら、我関せずとでも言うかのように女を貪るのに夢中。そういうとこが腹立つんだよ。

何気なく見下ろしてた女の首を見て、ある事が頭に浮かぶ。その首に手をかけながら、甘く優しく語りかける。

「なァ、首締められると締まるって聞くけど本当かどうかやっていーい?」

いいねェその顔。俺もちょっとは興奮してきたってとこ?
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