奪ってみてよ、先輩。

七夕 真昼

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14.今年もそろそろ終わる頃です。

14-1

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「お2人さんクリスマスは何してたの?」

意味ありげににまにま笑う栗生先輩の質問に、私はその日の記憶を思い出す。

「お母さんのお墓参りに行ってましたね。」
「クリスマス? あー……零緒と遊んでた」
「え? つまんな。」

明らかにショックを受けた顔の栗生先輩。何を期待してたの?

「しかも何? 零緒と遊んでた? 絶対最低なやつじゃん。亜主樹最低。」
「は?」

なんで俺怒られてんの? と言いたげなあずき先輩。

「意味分かんないんだけど。そーゆーお前は何してたんだよ。」
「おれぇ? 君んとこの弟クンと楽しいお祭りに」
「血祭りの間違いじゃねーのか」

栗生先輩こそ一体何を? あずき先輩は分かってるみたいで、私だけ首を傾げている。

「ちよこちゃんは知らなくていいのよ。物騒なお祭りだから。」

なんで物騒なお祭りの話を笑顔でするんだろう……。

冬休みに入って、さっさと課題を片付けようと相変わらず気だるげなあずき先輩の傍らで諸々広げていたら、栗生先輩が遊びに来た。

「でお前は何しに来たわけ? アカネと血祭りした時になんかあった?」
「何もなかったわけじゃないけど、それをお前に言ってもどうにもなんないのは知ってるよ。亜主樹は店の『RAVEN』のオーナーではあるけど、チームの『RAVEN』のトップはアカネなわけだし。実際あの辺統括してんのもアカネだし。」

私の知らない話をしてるけど、ほぼ関係ない話だろうから分からなくても大丈夫そう。あずき先輩の弟くんの話なのかな?

「おれが話しに来たのは皆でお出かけする日決めたくてね。まぁ、年明け? さすがに年越しは亜主樹も実家帰るでしょ?」

栗生先輩の問いにあずき先輩はものすごい渋面でうなずいた。

「大晦日の夜に戻って元日の朝には帰ってくる。」
「早いね。」

栗生先輩が可笑しそうに笑う。たしかに、それ帰る意味あるのかな。

「じゃーやっぱ年明けだね。ちよこちゃんは大丈夫?」
「はぁ……まったく問題無いですが」

家にいたってやることないし。あずき先輩が元日の朝には帰ってくるなら、私もその日のうちにこっちに来させてもらおう。

「アカネには会った時に話通したし」
「マジであいつ来んの? よく断んなかったね。」
「だいぶ押したからね。始終話持ち掛けてたらすっごい面倒臭そうに了承してくれたよ。やっぱその辺兄弟だよねー。」

アカネくんには会ったことないけど、どんな風に了承したのかは見なくても分かるような気がした。
もう一年が終わっちゃうのかぁ。去年の今頃はそれはもう必死に勉強して、年末年始とか関係なかったな。まさか一年経ってこんな事になってるなんて考えもしなかったし。

先輩たちと関わるようになってもうすぐ3ヶ月……ここに繋がりがあるの初雪さんに知られてないのって、結構すごくない?

それだけ向こうは私に興味が無いってことかもしれないけど。
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