婚約破棄することにしたので、私は悪役令嬢になります。

shimaris

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クライフ家の晩餐会から二週間が経ち、今度は我が家がダドリー邸に招かれました。

今回はロータスも出席しています。

とても食べきれないほど大量の料理がテーブルに置かれているあたりが、ダドリー家の富を象徴しているかのようです。
まずは、ご挨拶も兼ねて全員が細長い食台を囲んで座り、少し食事をしたあと、私とロータスは半強制的に二人の時間を設けられます。

しかし、二人の時間で話が盛り上がっていたのは最初の頃だけで、最近では毎週の訪問でもあまり会話が続きません。あからさまに興味がないような態度が増え、唯一の取り柄の優しさすら感じられないこともあります。

それでも、あの日まではなんとか昔のようにロータスに振り向いてもらおうと努力していたのですが、今となってはそんな気力も起きず、ほとんど会話のない沈黙の時間が流れるようになってしまいました。

クロードとサネットの刺すような視線をロータスも感じ取ったのか、私から離れて一人で席に戻り配膳された食事を口にし始めています。

私は誰も見ていないのを確認して、ロータスに舌を出してやったところ、クロードとサネットが笑っていました。

あぶない、あぶない、
他の人に見られてないかしら。

この状況をみて両家の当主達は何か察しないのだろうかとも思いますが、所詮、私達は駒の一つ。二人の感情の変化なんてあまり気にしないのでしょう。

そんな晩餐会が終わり、私は一足先に馬車に戻りました。
遠くを見つめ溜め息をつく私にマルセンが話しかけてきました。

「お嬢様。少しよろしいですか?」

「はい。なんでしょうか。」

「ロータス卿の行動についてですが、おそらく例の女性と会われているのは、火曜日と木曜日だと思います。ただ木曜は同じ時間帯に一人で外出することもありました。」

これは以前に聞いていたダドリー伯爵の不在日と一致していました。

マルセンは散歩も兼ねて暇があるとダドリー家の様子窺いに来てくれていたようです。
クライフ家とダドリー家はいわばお隣同士。領地は接しているのですが、両家とも領地が広いので、邸宅間は歩くと四十分ほどになります。

マルセンによると裏の通用門を利用している者はほとんどいなかったので、二人の行動はとても分かりやすかったそうです。

「ありがとうございます。マルセンさん。」

私は最後に気分よく今日を終えれたことをマルセンに感謝しました。

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