悪夢の中のリリー

ラプラス

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 「ピィィ~」

 ここは常夜の森。リリーは窓から使い魔であるキラを出迎えた。

 「キラ!おかえりなさい」

 キラは黒鳥から青年の姿に変わると、懐から取り出したロケットをリリーに差し出した。

 「ほい。今日の分」
 「ありがとう」
 「…なぁ、これいつまで続ける気だ?」
 「いつまでって、彼が死ぬまでよ。……今日は、なんだかいつもよりも澱んでいるみたい。何かあったのかしら」
 「お嬢、寝るなら向こうで寝てくれ」

 リリーは答えながらロケットを開け、中から黒い光を取り出すと、光はリリーの手の中に消えていってしまった。途端に、瞼が重くなる。
 キラは慣れた手つきでリリーを担ぎ、寝室に寝かせた。

******

 リリーは夢の中を歩いていた。
 夢の中は真っ暗で、何もない。
 その途端、何かがリリーに襲いかかってきた。
 妖精の鱗粉が宙に舞っている。なんだか動きも変だ。

 「これは、呪術の類ね」

 妖精を無理矢理呪術で縛り付けて使役している。動きが変なのは、きっと術者に操られてるからだ。

 『月の女神様、どうかお力をお貸しください。私に呪いの手を祓う力を』

 祝詞を唱えた途端、カッと稲妻のように落ちてきた白い光によって闇は消え、妖精を縛る呪術も消えた。
 解放された妖精は、リリーの周りを一回り飛ぶと、上へ飛んでいって消えた。

 リリーが振り返ると、真っ白な世界に一人、青年が蹲っていた。リリーは青年に駆け寄り、声をかける。

 「もう大丈夫よ。顔を上げて、ノア」
 「リリー…。すまない、また助けてもらってしまったな」
 「いいのよ。私が好きでしてることだから。…大丈夫?」
 「なんとかね」
 「落ち着いたら、起きてらっしゃい。もう夜明けだから、もう悪夢にうなされることはないわ。私も、もう行かなきゃ」
 「待って!まだ…まだ傍に居てくれないか」
 「ノア、知ってるでしょ。私、日の中には出ていけないの」
 「もちろん知ってるさ、だけど、君ともっと一緒にいたいんだ」
 「…少しだけよ」

 途端に、青年は花が綻ぶような笑みをリリーに向けた。リリーはそれが嫌ではなかった。
 
 
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