悪役令嬢の末路

ラプラス

文字の大きさ
19 / 68

新たな日々【6】

 お義母さまとのお出かけの帰り道。

 「アイラちゃん。今日は私の我儘に付き合ってくれてありがとう。お陰で楽しかったわ。また一緒にお出かけしましょうね」
 「はい。お義母さま。今度は、私がお出かけの計画を立てておきますね。有名なお菓子屋さんを知っているんです」
 「あら。それじゃ、頼もうかしら。いつでも誘って構わないからね」
 「任せてください」

 馬車が屋敷に着くと、お義母さまはーー。


 「またね。私の可愛い

 そう言って、頬にキスすると帰って行かれた。



 その夜、アイラは夢を見た。

 お義母さまが本当のお母さまになった夢。
 夢の中の私は、今日以上にお義母さまに甘えていて、その度に頭を撫でてもらったり、キスを貰っている。
 とっても幸せな夢。

 ところが、途中で夢が変わってしまう。
 暗闇の中で、私は誰かに手を引かれ、走っていている。二人は追われて逃げているのか、状態は全くわからない。
 周りにいる蛍が、私たちの行く先を照らしているけれど、彼の顔だけは見えなかった。


 貴方は誰?私をどこに連れて行くの?



 私は夢の中で、無我夢中で走っていた。
 その先には、真っ白な光。
 私たちは光に飲み込まれて、意識は途絶えた。


 何処からか、遠くでメアリの声が聞こえる。
 おくさま、奥様…。


 思い瞼を開けると、目の前には心配そうな顔をしているメアリ。
 昨日もお義母さまも心配そうな顔をしていた。みんなそんな顔をして、どうしたのかしら。

 「…メアリ?どうしたの?」
 「就寝中申し訳ございません。あまりにも魘されていたご様子でしたので、起こさせて頂きました」
 「ありがとう。そんなに魘されていたの?」
 「はい。とても」
 「そう…。よくわからない夢を見たわ。過去なのか未来なのか。それとも、私のやりたい事なのか…。とにかく謎だらけな夢」
 「…そうだったのですか。奥様、温かいお飲み物でもお持ちしましょうか」
 「ありがとう。ごめんね」
 「いいえ」

 メアリが部屋から出て行くと、また、ごろんと横になった。
 目を開けたまま、天井を見つめる。
 …本当に謎だらけな夢だった。
 あれは過去?それともこれから起こること?
 自分には、未来予知なんていう立派な能力スキルは無かったはずだが、これは一体どういうことだろう。
 何かのメッセージなのだろうか。


 起き抜けに難しいことを考えたからか、夢を見た日から数日間、アイラは知恵熱を出して寝込むことになる。


 謎を残して…。



感想 10

あなたにおすすめの小説

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?

魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。 彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。 国外追放の系に処された。 そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。 新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。 しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。 夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。 ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。 そして学校を卒業したら大陸中を巡る! そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、 鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……? 「君を愛している」 一体なにがどうなってるの!?

婚約する前から、貴方に恋人がいる事は存じておりました

Kouei
恋愛
とある夜会での出来事。 月明りに照らされた庭園で、女性が男性に抱きつき愛を囁いています。 ところが相手の男性は、私リュシュエンヌ・トルディの婚約者オスカー・ノルマンディ伯爵令息でした。 けれど私、お二人が恋人同士という事は婚約する前から存じておりましたの。 ですからオスカー様にその女性を第二夫人として迎えるようにお薦め致しました。 愛する方と過ごすことがオスカー様の幸せ。 オスカー様の幸せが私の幸せですもの。 ※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした

miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。 婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。 (ゲーム通りになるとは限らないのかも) ・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。 周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。 馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。 冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。 強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!? ※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。

婚約者とその幼なじみがいい雰囲気すぎることに不安を覚えていましたが、誤解が解けたあとで、その立ち位置にいたのは私でした

珠宮さくら
恋愛
クレメンティアは、婚約者とその幼なじみの雰囲気が良すぎることに不安を覚えていた。 そんな時に幼なじみから、婚約破棄したがっていると聞かされてしまい……。 ※全4話。

報われない恋の行方〜いつかあなたは私だけを見てくれますか〜

矢野りと
恋愛
『少しだけ私に時間をくれないだろうか……』 彼はいつだって誠実な婚約者だった。 嘘はつかず私に自分の気持ちを打ち明け、学園にいる間だけ想い人のこともその目に映したいと告げた。 『想いを告げることはしない。ただ見ていたいんだ。どうか、許して欲しい』 『……分かりました、ロイド様』 私は彼に恋をしていた。だから、嫌われたくなくて……それを許した。 結婚後、彼は約束通りその瞳に私だけを映してくれ嬉しかった。彼は誠実な夫となり、私は幸せな妻になれた。 なのに、ある日――彼の瞳に映るのはまた二人になっていた……。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※お話の内容があわないは時はそっと閉じてくださいませ。

病弱な幼馴染を溺愛する彼に、愛想が尽きました。

小野 まい
恋愛
「君と必ず結婚する。だから少し待ってくれ」と言いながら、10年間も結婚を先延ばしにしてきた彼。 公爵令嬢エレオノーラは、婚約者を信じていた。真面目な彼女は、ユリウス王子に尽くしてきた。 エレオノーラのおかげで、ユリウスは次期国王に選ばれて一緒に喜び合った。 そんなユリウスは、病弱だという幼馴染の看病に専念していた。 彼女は、約束を破られ続けて目が覚める。 婚約は、十年の期限があったのだ。

【完結】どうか私を思い出さないで

miniko
恋愛
コーデリアとアルバートは相思相愛の婚約者同士だった。 一年後には学園を卒業し、正式に婚姻を結ぶはずだったのだが……。 ある事件が原因で、二人を取り巻く状況が大きく変化してしまう。 コーデリアはアルバートの足手まといになりたくなくて、身を切る思いで別れを決意した。 「貴方に触れるのは、きっとこれが最後になるのね」 それなのに、運命は二人を再び引き寄せる。 「たとえ記憶を失ったとしても、きっと僕は、何度でも君に恋をする」