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探し人《夢》【17】
前夜祭はとても楽しくて、そんな時に限って時間を短く感じる。
沢山笑って、驚いて、彼と共有した時間の中。私は、何が大切なことを見つけたようなーーそんな気がした。それが何なのか、私にはまだわからない。
けれど、これだけは言える。
今日、彼にここに連れてきてもらって本当に良かったって。
『さて、宴もたけなわですが、ラストはダンスで締め括ろうと思います。それでは男女1組になって、このステージを囲むように円に並んでください。さぁそこのお若い方々、おじいちゃんおばあちゃんもさあさあこちらへ』
アナウンスの指示に、周りの老若男女はそれぞれペアを作って並んでいく。
「僕たちも行こう」
「ま、待ってよ。私本当にダンス踊れないの!私と踊って恥晒すよりも、あなたは別の人と踊った方がいいんじゃない?」
「……そんなに僕と踊るの嫌?」
「そういう訳じゃないけど…」
「なら、行こう。君は僕にばかり色々言うけれど、君だってダンスに挑戦してみなよ。やればきっと、君の世界だって広がるさ」
うぅ…。と、半ば彼に引き摺られるようにして並ぶ。
「僕の腕に手を置いて」
彼の言う通りにすると、彼にもう一つの手を取られ、反対の手で腰に手を当てられる。
音楽はいきなり始まり、条件反射で私達は咄嗟に踊り出した。
ターンしてくるっと回る。
「そうそう。上手いじゃないか」
「あなたのリードが上手いのよ。本当に私、踊れないもの」
そうして、くるくると踊り続ける。
踊り慣れない私は彼の足を踏んでしまいそうで、どうしても足元を見てしまう。けれど、私的にはそれが逆に良かった。
こんなに近くに密着していて意識しないなんて、そんな鈍感な方ではないし、むしろどこを見れば良いのか分からないからこそ、今の状況は好都合。彼の顔ばかり見るのも、恥ずかしいし絶対に怪しまれる。
けれど、身体を動かしていると余計なことを考えないーーというのは本当で、いつの間にか彼を意識していたことさえ忘れ、ダンスにのめり込んでいた。
--楽しいーー
頭の中にはそれしかなかった。
ダンスの最後は、お互い息切れしていたけれど、それでも充実感でいっぱい。
「今日は…その、ありがとね」
別荘までの帰り道。
今のうちに言っておこうと思って、感謝の言葉を口にした。
「いきなりどうした?お礼言われるようなことした覚えはないけど」
「もうっ。本当に鈍いんだから。今日、とても楽しかったからお礼が言いたくなっただけ」
「なんだ。そういうことか」
「察しなさいよ」
今日は、楽しいことでいっぱいだ。
気分が高揚しているのか、こんな何気ないやり取りさえ、なんだかとても楽しい。
『明日が楽しみですな。真っ赤な炎が、あの忌々しい村を焼き払うのです。公爵様』
その低い男の声が耳に届いたとき、私は身を縮ませた。
この声は、一体どこから…。
あたりを見回しても、話し込む人影は見えない。だとしたら、どこかの建物?
キョロキョロとあたりを見回す私を不思議に思ったのか、彼が声をかける。
「どうした?」
「何でもない。あなたは先に帰っていて、私用事を思い出したの」
そう、私にとって大事な用事を。
沢山笑って、驚いて、彼と共有した時間の中。私は、何が大切なことを見つけたようなーーそんな気がした。それが何なのか、私にはまだわからない。
けれど、これだけは言える。
今日、彼にここに連れてきてもらって本当に良かったって。
『さて、宴もたけなわですが、ラストはダンスで締め括ろうと思います。それでは男女1組になって、このステージを囲むように円に並んでください。さぁそこのお若い方々、おじいちゃんおばあちゃんもさあさあこちらへ』
アナウンスの指示に、周りの老若男女はそれぞれペアを作って並んでいく。
「僕たちも行こう」
「ま、待ってよ。私本当にダンス踊れないの!私と踊って恥晒すよりも、あなたは別の人と踊った方がいいんじゃない?」
「……そんなに僕と踊るの嫌?」
「そういう訳じゃないけど…」
「なら、行こう。君は僕にばかり色々言うけれど、君だってダンスに挑戦してみなよ。やればきっと、君の世界だって広がるさ」
うぅ…。と、半ば彼に引き摺られるようにして並ぶ。
「僕の腕に手を置いて」
彼の言う通りにすると、彼にもう一つの手を取られ、反対の手で腰に手を当てられる。
音楽はいきなり始まり、条件反射で私達は咄嗟に踊り出した。
ターンしてくるっと回る。
「そうそう。上手いじゃないか」
「あなたのリードが上手いのよ。本当に私、踊れないもの」
そうして、くるくると踊り続ける。
踊り慣れない私は彼の足を踏んでしまいそうで、どうしても足元を見てしまう。けれど、私的にはそれが逆に良かった。
こんなに近くに密着していて意識しないなんて、そんな鈍感な方ではないし、むしろどこを見れば良いのか分からないからこそ、今の状況は好都合。彼の顔ばかり見るのも、恥ずかしいし絶対に怪しまれる。
けれど、身体を動かしていると余計なことを考えないーーというのは本当で、いつの間にか彼を意識していたことさえ忘れ、ダンスにのめり込んでいた。
--楽しいーー
頭の中にはそれしかなかった。
ダンスの最後は、お互い息切れしていたけれど、それでも充実感でいっぱい。
「今日は…その、ありがとね」
別荘までの帰り道。
今のうちに言っておこうと思って、感謝の言葉を口にした。
「いきなりどうした?お礼言われるようなことした覚えはないけど」
「もうっ。本当に鈍いんだから。今日、とても楽しかったからお礼が言いたくなっただけ」
「なんだ。そういうことか」
「察しなさいよ」
今日は、楽しいことでいっぱいだ。
気分が高揚しているのか、こんな何気ないやり取りさえ、なんだかとても楽しい。
『明日が楽しみですな。真っ赤な炎が、あの忌々しい村を焼き払うのです。公爵様』
その低い男の声が耳に届いたとき、私は身を縮ませた。
この声は、一体どこから…。
あたりを見回しても、話し込む人影は見えない。だとしたら、どこかの建物?
キョロキョロとあたりを見回す私を不思議に思ったのか、彼が声をかける。
「どうした?」
「何でもない。あなたは先に帰っていて、私用事を思い出したの」
そう、私にとって大事な用事を。
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