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【聖女視点】
しおりを挟む「ダリアとアマルテイア殿下が帰って来てない…ですって…!?」
報告を受けたわたくしは悲鳴を上げた。女神を降ろす依代と、《豊穣》を宿したままの《金毛羊》が両方消えたのだ。特にダリアはわたくしが赤子の時から育てた生贄だ。美しく、真綿に包むように育てた。優しい感情しか知らぬ生贄。清らかなまま女神を降ろし、死んでいく依代。死体だけでもよかった。それなのに……。
「ベルゼブブ配下の魔物から届けられた遺体にはなかったそうです。最も84人分の遺体は誰がどれだかわからないほど引き裂かれ、箱の中にみっしりと詰め込まれていたそうですが…」
「……84人…?」
「はい。おそらくですがイアソン殿下もないかと…」
「………っ…」
なんということ!魔力の強い、女神を降ろしても耐え得る依代だけを持っていかれた!これが魔王の策略だとしたら……。
「……………詰んだわ、この国…」
「……は?」
「……いいえ、なんでもないわ。戻って陛下に伝えて頂けるかしら?千年祭の期日を延ばすことを聖女は提案いたします、と」
「は。承りました」
「それからわたくしは10日後より国境付近の結界を修復に参ります」
「……は?あの…結界は……まだ………」
「行くのです。貴方も行きたいのであれば準備なさい」
「……………っ!……は、お供…致します……」
冗談じゃないわ。泥舟に乗り続けて死ぬのは御免よ。
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