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「じゃあ、体で返せ」
しおりを挟む商人の攻略対象は友人だった。
しかも、これまた中学生からのネトゲ仲間だ。
奴は根っからの投資家……というよりはギャンブラーだ。転売屋とも陰口を叩かれていたが、金の動きを見るのがとんでもなく上手かった。
奴がネトゲの銀行前で「お金貸してください~」とシャウトしていたのが出会いだ。
「クレクレ乙www」などと罵倒されていたECHI☆GOYAだが、重課金者でネット内通貨をアホのように持っていた俺は気まぐれを起こした。
貸してください、と言ったのだ。
いくらいるんだと訊くと3億ゴールドだという。バカだろお前!?
だがまあいい。面白いことは大好きだ。ここで詐欺られてもネタにできるしね!
あとで利子をつけて返せ、と くれてやるつもりで手形を渡すと、えらく嬉しそうに俺の周りをクルクル回ったのを覚えている。
ネタを追跡するつもりでフレ登録し、数日後に呼び出されたと思ったら倍にして返してきた。
……え?新手の詐欺なの!?こういう詐欺あるよね?
その後も奴は度々「カズくんお金貸して!」と言ってきた。
俺はその度に貸した。律儀に利子をつけて返してくるからだ。
ギルメンからは「カズマ、バカだろお前!」と笑われていたが、奴に金を貸すのは俺の中で既にチキンレースになっていた。
返すのか返さないのか。今度はいくら貸してくれって言ってくるのか。
このスリルがたまらないwww
ある日、俺の全財産の半分を貸した時に「ごめん……全財産スッた…」と、しょげた顔文字と低っいテンションで土下座してきた。
正直、俺は奴が返さなかった時のことは考えてなかった。いつのまにか信頼していたのだろう。しかも奴が今まで払ってきた利子は、とっくに俺の全財産を超えていたんだし。
「……そうか、じゃあ体で返せ」
俺は奴の1次職2次職を聞き出し、戦闘ができる格好をして来いと言って純恋くんを呼び出した。
そして火力壁の俺、広域殲滅を得意とする付与魔法士の純恋くん、錬金術師でプリーストの奴で超難易度クエストを受けた。損失は56回目のクエストでチャラになった。
のちに奴は語る。
「あんなキツイ思いするくらいなら、もう無駄遣いしない…」と。
まあ、その後も懲りずに奴 ーーー えーくんは「カズ金貸して!」と言いにくるんだが。
そのうち面倒臭くて、えーくんを『資産の共有者』に設定した。なんというか、その、あれだ……そのゲームでの『養子縁組』みたいな……
ちなみに純恋くんも俺の『資産の共有者』だ。これは腰の重い俺に代わってギルドやら大会やら なんやらを運営してもらっていたからだ。
ゲーム内では不本意ながら『ぴゅあ♡らゔ(純恋くん)は本妻で、越後屋(えーくん)は愛人なんだろ?』と言われる始末だった。
断じて違う…
違うが、誤解されていた方が都合がいいから黙ってた。説明するのが面倒くさかったし。
で、現在だ。
そのえーくんことアリストは、ニコニコ笑いながらヴィオレッタとお茶を楽しんでいた。
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