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しおりを挟む「大変申し訳ございません。アイリーンはすでに婚約し、婚約者の住む領地に行っておりまして…」
政界では『狐』と揶揄されるベーレンドルフ公爵が申し訳なさそうに言った。
第一王子から望まぬ復縁を求められたベーレンドルフ公爵家の5女は、幼い頃から慕っていたエーヴェルシュタイン辺境伯の元へ走った。そう ーーー 噂はされていた。
まさか本当のことだったとは…!この私が許してやろうと思ったのに…!?
私は侍従に持たされた花束を床に叩き付けた。
私が再び王太子に戻る条件として陛下に提示されたのは、『渡界人とみられるクリスタリア・エーヴェルシュタインと婚約する』か『ベーレンドルフ公爵家のアイリーン・ベーレンドルフともう一度婚約する』ことだった。
「ベーレンドルフ公爵!貴方は愛娘をあんな田舎者にくれてやると言うのか!?私はアイリーンを正妃にと望んでいるのだぞ!?それを……!!」
「殿下、私には子供が沢山いますが、どの子も分け隔てなく愛しているのですよ。こんなに沢山きょうだいが居るのだから、1人2人くらいは例え乞食に嫁いでも構わない。子供たち全員に自分の幸せは自分で掴みなさいと教え込んでいます。……殿下とアイリーンの婚約は、貴方と陛下、そして王妃様がある条件を元に強く強く望んだ婚約でした。それを一度反故にされたのは殿下、貴方様でしょう?あの子は己の幸せのために旅立ちました。殿下も『真実の愛』を貫かれてください」
「その愛を貫くためにはアイリーンが必要なのだ!」
「私と妻の愛の結晶たちを犠牲にするおつもりか?いやはや…果たして、その愛は美しいものですかな?」
「うっ…うるさい!!」
私とコトハの愛は崇高なものだ!たとえコトハが……誰かに汚されていようとも………。
どうなっているんだ……。
コトハの手紙には『アイリーンはまだ貴方を愛してる』、『クリスタリアは喜んで貴方を受け入れる』と書いていたのに……。
コトハは先読みの聖女なのに……。
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