8 / 11
やらかしてるらしい
しおりを挟む「……見切り?」
「ええ、だって仕方ないでしょう?」
ええ~…。10年以上婚約してたクソ王太子を捨てるのお姫様?
でもごめん、俺自身も正直言って「俺が我慢すれば……」とかはない。だってもう我慢しないって決めたし。クソ王太子より自分の幸せが大事。クズでごめん。
「わたくし、今日これから、婚約破棄されるそうですわ」
「…………………は???」
こん、やく……破棄!?
「貴方が結婚してから、とある令嬢が殿下に近付きましたの」
「は…?え?ええ!?なに???なんの話!?」
「天真爛漫な下位貴族の令嬢。笑いたい時に笑い、怒り、泣く。出来て当たり前の事は「すごいですねぇ!」、相談事には「私ならそんなことしません!」……まあ、なんというか、わかりやすくて使い古されたハニートラップですわ。わたくしたち令嬢教育を受けた者から見れば吐き気がするほど下品で態とらしい女。けれどその女は、貴方のあけた殿下の心の穴に忍び込んだ」
あああああ……
バカなの!?バカだバカだと思ってたけど、そこまでバカだったのクソ王太子!?っていうか俺のせいにしてる!?違うよね!?俺は捨てられた瞬間から無関係ですぅ~!!
「わたくしとの婚約を一度破棄して、あの娘を王妃にするそうですわ。馬鹿馬鹿しい。夢を見る年頃はとうに過ぎていらっしゃるでしょうに…っ」
吐き捨てるように笑った公爵令嬢。そりゃそうだ。子供の時から王妃教育を受けて、そうあれと望まれて。立場の弱い王太子の後ろ盾として、この細い体で長い間踏ん張ってきて。
それを一瞬で壊されようとしている。
「あの娘を王妃に据えた後でわたくしを第二妃に娶り、公務や外交はわたくしが担うそうですわ」
うわああああああああ…!
だから一度破棄して……か。なんというか…もう、情も意地も矜持も全部吹っ飛ばす計画だ。
「ああ…えーと……その?それをまさか卒業パーティーで…?まさか、ですよね……?」
「わたくしとの婚約の破棄と、あの娘との婚約を発表するそうですわ。陛下の許可は取っておりませんが、広く周知させればなんとでもなるとお思いのようで」
「………はあ。バカなのか、アイツ…」
「愚者を通り越して、もう別次元の生き物だと思うことに致しました」
「王太子の手綱を取れる側近候補はいなかったのか!?なんでそんな……」
「側近候補の皆様もあの男爵令嬢に骨抜きですわ。だから貴方に戻れ、と詰め寄ったのですよ、あの能無しどもは」
「自分たちはそのクソ女と遊びたいから、俺に仕事しろって?……はあ、人をなんだと思ってるんだあのボンクラども…。いや、なんとも思ってないからそんな頭の悪いことをしでかしたのか」
目の奥がズキズキと痛む。これはもうどうしようもないだろう。終わったなクソ王太子。王太子派閥を道連れに。
「よろしいですわ。ウィステリア様はこのまま出国なさいませ。わたくし、泥舟に乗り続けるよりはジョセフ殿下に恩と媚を売ります」
だからジョセフって誰!?あっ、まさかジョゼのお兄さんか誰か?
「通行証も我が公爵家のサインを入れて差し上げます。我が公爵家のサインさえあれば、どのような無知な門番でも二つ返事で通しますわ」
「……何が望みだ?」
ハァ…とジョゼが溜息を吐いた。
「まあ…察しが良くて素晴らしいわ。素敵な旦那様ねウィステリア様」
「えっ…あ、はい。…えへへ……」
「ウィス、女狐相手にニコニコするな」
えー。だってお前を褒められたら嬉しいじゃん?
「わたくし、ジョゼ様のお兄さんの妻になりたいのですわ」
「えっ…」
「…………」
まさかのお願い。えっ。えっ……ええ~…。
「わたくし、ジョージ殿下と結婚できないのも王妃になれないのも、もうどうでも良いのです。ただ、子供らしい遊びもお友達も恋も何もかも諦めて学んだ王妃教育が全て無駄になるのが口惜しいのです。わたくしの10年…いえ、それ以上の……この国のために、家のために捧げた日々が一瞬で無駄になるなど……耐えきれませんわ!」
あっ。クソ王太子のためじゃないんだwww
「わかった、紹介だけはしよう。何番目だかわからないけどな」
「十分でございますわ」
公爵令嬢はにっこり笑った。
「それではウィステリア様、ジョゼ様、ご機嫌よう。また帝国でお会いいたしましょう?」
1,068
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw
ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。
軽く説明
★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。
★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。
初恋を諦めるために惚れ薬を飲んだら寵妃になった僕のお話
トウ子
BL
惚れ薬を持たされて、故国のために皇帝の後宮に嫁いだ。後宮で皇帝ではない人に、初めての恋をしてしまった。初恋を諦めるために惚れ薬を飲んだら、きちんと皇帝を愛することができた。心からの愛を捧げたら皇帝にも愛されて、僕は寵妃になった。それだけの幸せなお話。
2022年の惚れ薬自飲BL企画参加作品。ムーンライトノベルズでも投稿しています。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。
竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。
あれこれめんどくさいです。
学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。
冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。
主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。
全てを知って後悔するのは…。
☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです!
☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。
囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317
【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。
天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。
成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。
まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。
黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。
聖女ではないので、王太子との婚約はお断りします
カシナシ
BL
『聖女様が降臨なされた!』
滝行を終えた水無月綾人が足を一歩踏み出した瞬間、別世界へと変わっていた。
しかし背後の女性が聖女だと連れて行かれ、男である綾人は放置。
甲斐甲斐しく世話をしてくれる全身鎧の男一人だけ。
男同士の恋愛も珍しくない上、子供も授かれると聞いた綾人は早々に王城から離れてイケメンをナンパしに行きたいのだが、聖女が綾人に会いたいらしく……。
※ 全10話完結
(Hotランキング最高15位獲得しました。たくさんの閲覧ありがとうございます。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる