公爵令嬢は奪われる2 〜悪役にならなかった元公爵令嬢が辺境伯に嫁いでからのアレコレ〜

とうや

文字の大きさ
19 / 30

元公爵令嬢と魔力切れ

しおりを挟む


結婚式の準備はどんどん進んでいく。



デザインは眼鏡騎士ことルークが一晩で書き上げた。100枚近くの原案から、騎士3人組とグレンとチョロ兄がああでもないこうでもないと長時間会議。

その間に私はタケノコノサト商会から来たお針子さんに採寸され、「腕がなります!!」とハアハアされた。

お針子さん、なんでも前世はコスプレイヤー?とかいう、趣味でファンタジー系の洋服を作ったり着たりお披露目したりする方だったらしい。

会社を転生者の社員で固めたとはチョロ兄に聞いていたが、転生者多すぎじゃない!?

決定したウェディングドレスは首元や手の甲まで白いレースで覆ったスッキリしたシルエットのものだった。

………脚とか胸とか背中とか お腹が出てなくて良かった。

やりそうだもんチョロ兄たち!

実際その案が最終稿まで残ったが、グレンが断固拒否してくれたのだそうだ。



「だってマリの肌は誰にも見せたくないし」



もー!大丈夫だからねグレン!旦那様にだけ見せるからね!!///

今日も彼氏が可愛すぎる可愛い可愛い!大事なことだからもう一回言うよ!

私の!彼氏!!めっちゃ可愛い!!!



あと、カムデンズでは節目節目に『神降ろし』とかいう儀式をするらしい。

日本でいう七五三? ……え?違うの?

自分を守護してくれる神様にお祈りするそうだ。運が良ければ出てくる。捧げる魔力が多くなるほど降りてくる確率高い!たまに偽物ハズレが降りてくる!

それってなんてガチャ?

例えば、グレンなら『武と英雄の守護神』さま。

王都ではそういう習わしなかったから新鮮だよね!

で。

私の守護神さま、実はわからないらしい。

チートレベルの高位判定スキルを持ってるジャックでさえ「え、なにこれ怖い。そこの部分だけ塗りつぶされてる…」と震えた。

やだなにそれこわい。

塗りつぶされてるってことは、無加護ではないと思いたいけど…。

本来なら教会から司祭さんを呼ぶそうだけど、幸い私とグレンに光属性が有り、なおかつ有り余る魔力があるので、本人たちでやっちゃえよYouってことになった。

それでいいのか伝統…。

100%の本人降臨神降ろしができる桜さんにやり方を習ったが、

「神経集中して目え瞑って来い来い来いって念じて、ぐわー!として出てきたらガッと捕まえて…」

というよく訳のわからない教えだった。

それでいいのか神降ろし…。

とりあえずちょっとやってみよう!ということで、全力で降ろしてみたがなにも起こらない。

「うーん…おかしいですね?ちょっとあたしがやってみましょう」

結果、桜さんのパワー神降ろしに『血と狂乱の守護神』さまは引き摺り降ろされて、用事がないと知るとブツブツ言いながら帰っていった。



だがその物騒な名前の神さま、何故か私の顔を見てゲッて顔したんだけど!?



私は神降ろしを何十回と繰り返したがなにも起こらない。

そのうち魔力が尽きた。

初めて魔力が尽きた。

吐きそう何これすごい頭痛い!!!

 ーーー 寝込んだ。熱まで出た。

普通は司祭でも魔力満タンで1回が限界なのに……嫁さまはすごい!と桜さんは興奮していたがそれどころじゃない。

しかも降ろせてないからノーカンだし!クッソ!

ちなみに帝国の聖女さまなら1日3回は降ろせるらしい。

……くっ、まだまだ修行が足りないなローズマリー!

いいもん!本番は我がスパダリ グレンにやってもらうもん!!

私の神さまが出て来てくれなくても、グレンの神さまがいるもん!!

「うう…アシさんや……私の、守護神さまって………(オェップ…)」

吐き気と戦いながらアシさんに聞くと、



『《エラー》お答えできません。管理者権限でアクセスしてください』



ときた。



ちょっとだけ不貞腐れた。

うそ。めっちゃ不貞腐れた。








寝込んだ私に、グレンがアイスをアーンしてくれたから許す! (なにをだ)













しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

天才すぎて追放された薬師令嬢は、番のお薬を作っちゃったようです――運命、上書きしちゃいましょ!

灯息めてら
恋愛
令嬢ミーニェの趣味は魔法薬調合。しかし、その才能に嫉妬した妹に魔法薬が危険だと摘発され、国外追放されてしまう。行き場を失ったミーニェは隣国騎士団長シュレツと出会う。妹の運命の番になることを拒否したいと言う彼に、ミーニェは告げる。――『番』上書きのお薬ですか? 作れますよ? 天才薬師ミーニェは、騎士団長シュレツと番になる薬を用意し、妹との運命を上書きする。シュレツは彼女の才能に惚れ込み、薬師かつ番として、彼女を連れ帰るのだが――待っていたのは波乱万丈、破天荒な日々!?

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~

咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」 卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。 しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。 ​「これで好きな料理が作れる!」 ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。 冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!? ​レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。 「君の料理なしでは生きられない」 「一生そばにいてくれ」 と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……? ​一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです! ​美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!

編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?

灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。 しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?

転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?

朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!  「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」 王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。 不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。 もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた? 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)

処理中です...