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【記憶の断片 4】
しおりを挟む屋敷の下敷きになった俺を助け出したのは軍人さんたちだった。フェリエーラ子爵家のお膝元、ブラウヴァルトの街は一斉攻撃を受けて赤ん坊から老人まで鏖だったらしい。領主館の人間も全員連れて行かれて生皮剥がれて串刺しの凄惨な最後だったそうだ。
犯されそうになったり、幸運の虫扱いされて追いかけ回されたりしたけど、そこまで酷い最期っていうのは哀れだよね。
軍人さんたちは一度奪われた領土の奪還作戦中。俺を安全なとこまで避難させてあげたいけど、包囲されて無理って話だった。
そしてなぜか俺を瓦礫の中から掘り返してくれた男がめちゃくちゃ俺を気に入ってしまったらしい。大きくなったら結婚しようなーって膝に乗せて頬擦りしてくる。俺が女児にでも見えてるんだろうか。イエスロリータノータッチ!だが俺はちんこついてる諦めてくれ。
まあ一緒に行軍してご飯食べさせてくれるから俺も手伝った。主に死体漁り。武器とか食料、魔石。貴金属や貨幣は放っておけって言われた。重いからね。
最初は森の中とか歩いたから、熊とか猪とか食べさせてもらった。狼はあんまり食べるとこがなかった。酷かったのは荒野だ。野生動物とか魔獣は出ない。出るのは敵兵。……わかるかな?うん…食べたよ。仕方ないもん、知らない人だし。腐っていくより俺たちを生かしてね?
俺がもりもり食べると「子供は逞しいねえ」って他の軍人さんたちは泣きながら笑った。
食べれなかったのは、修道女の服を着たお姉さんだった。
「私はこんなことをするために軍に随行したのではない」「殺してくれ」そう言って泣いた。
串に刺して焼いたお肉が冷めていく。あれって冷めるとマジ食べれない。人間って臭いんだ。俺は死体を漁って得た戦利品の中から乾パンを取り出して血のついた部分を齧り、残りを修道女のお姉さんの口に突っ込んだ。
「食べてよ、お姉さん。お姉さんが死ぬと、ここのみんなも死ぬんだよ?」
俺が配給された串焼きを咀嚼して見せると、お姉さんはもっと泣いた。泣き喚いた。泣きながら乾パンを噛み砕き、串焼き肉を平らげた。頭巾を頭から毟り取り、泣きながら笑った。
「…ああ、神よ。私に地獄へ堕ちろと仰るのですね。ええ、ええ、地獄へ堕ちましょうとも!悪魔となりましょう!!神よ!私は、私に試練を与えたことをあなたに後悔させて差し上げる!!これより私は悪魔となり、地獄を作りましょう!すべては私の愛する国と家族のために!!」
それが、『パラストブルグの悪魔』と呼ばれるようになったヴィルヘルミーナだった。
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