【7人の魔王 終】白の恋と、黒の愛

とうや

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アキの嫁は嫁っつーか旦那っつーかカーチャン

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『アキの嫁を見に行こうツアー』は父さんが引率してくれることになった。なんでもアキの嫁の娘がんだと。この1000年で俺たち《星辰》はそれぞれのパートナーを見つけたけれど、ちゃっかり父さんや爺さんたちもそれに近いものを見つけている。まあ爺さん曰く、兄貴と親父殿と《吾》っていう三柱の関係が拗れに拗れているらしいけど。

そんなこんなでモールドレ!ギョウザだっていうからビールを持参した。銀色の350ml缶だ。500もあるけど個人的には350が一番美味いと思う。500を一本飲むより350を二本飲みたい。

アキの嫁は、嫁っつーか旦那だった。めちゃくちゃイケメンだ。なんていうかこう、もう今までの嫁たちとは空気が違う。金髪に水色の瞳の、キラキラしい王子様系だった。なんだよ。アキが「オッサン」とか言ってたからもっと歳がいってるのかと思ったのに全然若いじゃん!

アキの旦那 ーーー ユスは突然押し掛けた俺たちに驚いてはいたが、すぐにギョウザの材料を増やしてくれた。数が少ないなら一口食べれればいいかなあとか思ってたのに、この対応力はもはや神。いやカーチャン。普通の母親カーチャンって俺たちは知らないけど、まあ多分こんな感じ。

兄弟みんなでワイワイ言いながらギョウザを包む。柔らかい小麦の生地に中身が溢れないように。父さんも2~3個包んでいたがすぐに飽きたらしく、「焼き上がったら呼んでくれ給えよ」とか言って転移しにげた。クソ親父め。包んだものからユスがどんどん焼いてくれる。油と小麦の香ばしい匂いと、肉とネギの香り。ニラは最初のタネだけに入ってるそうだ。父さんの次に戦線離脱したのは陽咲だった。目の前の焼き立てギョウザに我慢ができなかったらしい。「美味い美味い」言いながら頬張ってるから銀色のアイツを渡しておいた。


「もー!椿はひーちゃんに甘すぎ!」


凛がプウッと頬を膨らませる。やめろ可愛いから。

アキのとこの料理人たちがゾロゾロやってきて、「後は我らがお手伝いいたします」とか言ってくれたからバトンタッチ。俺たちは宴会が始まったのに、ユスは黙々と焼いてくれている。うん、カーチャンだな。アキはニコニコしながらユスを見ている。多分、料理をしているユスを見るのが好きなんだろうなあ。

ユスに銀色のアイツを渡すと、良い飲みっぷりで瞬く間に消えた。おお、なんか仲良くなれそうだぞ。ユスは博識で頭の回転が早くてすげえ話が合う!アキの旦那じゃなかったらアヴァロンにスカウトしてた。つーか出張でアヴァロン来ねえ?って聞いたらアキと凛から怒られた。なんだよ…もう……浮気とかじゃねーだろ?めくじら立てるなy………あ、ごめんなさいごめんなさい嘘ですもう言いません俺が悪かったです。


ああ、幸せだなあ。


そっか。『幸せ』なんだ。


公園で転げ回って遊んだあの頃みたいに。みんながいて、あの頃のまま大きくなって、みんな笑ってる。みんな怪我してないし、死にそうな顔もしてないし、血塗れでもない。じわりと滲んだ涙を袖口で拭う。


「……ふふ、椿ったら。そんな可愛い顔してたら食べちゃうよ?」

「ばーか、やめろ。帰ってからにしろ」

「……!!うん!帰ってからね!帰ってから!!」


凛の鼻息が荒い。ちょっとだけ失敗した感が……ちょっとじゃねえな、うん。









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