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新世界にて 2
しおりを挟む千早が何をやっても蘇生しない。それを悟った時のユキの悲鳴とも慟哭ともつかない声が忘れられない。
「………嘘、だよ…ね?…い、いやだっ…いや……!!嫌だよ千早!!うそ、だよ…嘘、うそ、うそうそうそ…や…やだ、や…やだ…!!や………あ、あ…ぅぁ…あ……ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
治癒により綺麗になった千早に縋り付き、泣き叫ぶ。誰もこんなことになるなんて予想もしなかった。ズタボロになった千早をユキが蘇生して、「心配かけないで」ってプリプリ怒ったユキに千早が叱られるんだろうと思っていた。
千早の魂魄はぐちゃぐちゃに粉砕されていた。
《星辰》でも魂魄が壊せるんだ。俺たちの上位互換とも言える《ふるきものども》が壊せないはずはない。クソッ!あの野郎、もっと地獄見せて踏み潰すんだった…!!
魂魄の修復。もうそれは旧い旧い時代の《聖龍》だけが成し得たことだ。創造主のシステムを乗っ取った兄貴でさえお手上げの。
「…………《聖龍》を探しましょう」
深紅が言った。
「魂魄を弄る知識は私には教えられませんでした。おそらく意図的に終わらせようとしたのでしょう」
《世界》のバランスを大きく崩す魂魄のコントロール。誰が、何を思ってそう計画したのか。
「でも…」
深紅が笑う。背筋が凍るような微笑みだった。
「可愛い息子と愛する妻がやれといえばやりますよね?………ええ、必ずやらせます」
この世界の最強生物は、《ふるきものども》でも《星辰》でもなく、ましてや《神》なんかじゃない。《人間》なんじゃないだろうか…。
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