【７人の魔王 終】白の恋と、黒の愛

新世界にて 1

未完成で作り散らした世界を無に帰すのは案外骨の折れる事だった。あれからどのくらい時間が経ったのだろう。最初の1000年なんか可愛いものだと俺たちは思い知ることになる。だから爺さんたちは俺たちに伴侶を作れと言ったんだ。さすがの俺だって心が死んでくる。

渡り歩いた世界はさまざまだった。俺たちが18年育った科学と文明が発達した世界。それ以上の電子と精神体だけの世界や訳のわかんねえ数字(？)に羅列の世界。人間だけじゃない、動物や植物、生きているか怪しいモノたち。『神』ネットワークか何か知らんが、そういうモノたちが、俺たちが現れた瞬間に牙を剥く。問答無用で襲い掛かってくる奴はいい。厄介なのはこちらの事情を理解した上で話し合おうとしてくるまともな奴。だが今更止められるはずもない。石は坂道を転がり始めた。崩壊の歯車は動き出してしまった。全て壊して《世界おわり》に辿り着くまで止まらない。

殺して、壊して、踏み躙って。

死の匂いが充満する世界で。



千早が死んだ。



迂闊だった。爺さんたちが存在してるんだ。この作り散らかされた偽りの世界のどこかで《ふるきものども》がいるのだと思い至らなかった。

《星辰》は《ふるきものども》から生まれた、いわば未完成の存在だ。いまだ下位互換のいきもの。追い詰められた《神》は大量の《ふるきものども》の封印を解き放つ。泥沼の戦いの始まりだ。

それでも、俺たちは殺して、壊して、生存競争に勝ち進み。あと一歩で『吾』と呼ばれる先遣隊の待つ《世界》に辿り着く直前だった。