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『村』の建設と『城下』の雰囲気
しおりを挟む初めてのチュウにドキドキしながらも千早はどんどん進んでいく。嬉しくて恥ずかしくて転げ回りたいのに千早はいつもみたいにキリッとしててずるい。
バベルをどんどん降りて行く。今まで見たことない大鬼の鬼いさんたちが「お出かけですかー?」とか「お土産まってまーす!」とか話しかけてくる。千早も手を上げたりわかったわかった…なんてあしらいながらも優しい。千早が好かれてて嬉しい。くふくふ笑ってると、あんまり可愛いとチューするぞ?なんて言ってくるからも一回してもらった。んはー!こんなに幸せで良いのかなあって思う。
大きな門から外に出ると、大掛かりな工事の真っ最中だった、
「ユキ、ここがギータたちの『村』になル」
千早は俺が育った村を丸ごと庇護下に入れてくれた。元々、先代竜王が死んだ時に殺されそうになった人達の集まりだ。竜王国に未練はないらしい。鬼いさんたちに混じって働くみんなに「行ってきます!お土産買ってくるね!」と手を振った。
それからしばらく森の中を歩いて、ようやく千早の部屋から見えた『城下』に出る。
出た……んだ、けど………。あれえ?
『城下』は俺と千早が姿を現した途端にシーンとした。
え……なに、これ…。
みんな慌てて、露天も何もかもそのままで戸のあるお店とかに入って行ってしまった。
「……え…………えーと…?」
「……まあ、こういうことダ。この『城下』は別に俺ノ街ってもんじゃない。勝手に住み着いて勝手に近付いて来たから……まあ、なンだな…?」
「ああ…」
そっか。千早は魔王様だった。俺を嫁にするまで、それはもう荒れていたんだと紅葉さんに聞いたことがある。だって怖いよね?耳が聞こえないのに家族でもない人から囲まれたりとか…。勝手に千早を崇めて住み着いて、勝手に女の人とかを寄越して大変だったらしい。
話しながら歩く。
色んなとこから感じる視線と、ヒソヒソ声。
「か…感じ悪ーい!!」
俺は頬を膨らませた。
「……っく……ふふ…、そっカ、感じ悪い、か…」
「笑い事なの!?俺ね、俺はなんて言われたって良いけどさあ!千早がこういうことされるのやだ!ムカつく!」
「あぁ…ユキは可愛イなあ。良い嫁もらったなあ」
「ええ…もう、誤魔化さないでよ!」
「良いんダ。ここがこういう場所だと知ってイて欲しかっただけだ。バベルや、今作ってる『村』とは違う。俺は、自分の大切なものしか懐に入れない」
「……うん…」
よくわかんないけど、なんか面白くなくて千早の首にぎゅっと抱きついた。
「さあ、転移でひとっ飛びにアヴァロンにいクか。あそこは眷属や転生者ばかりの都市だから楽しいゾ?」
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