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王都編
殺しに来たなら殺される覚悟はあるんだろうな?
パカパカ、ポクポク、馬と馬車は進む。ティグレクッションとティグレシートベルトのおかげで旅は多少はマシになり、俺やティグレが「野営でも問題ない」と言ったことで日程が早まった。
「この山を越えれば王都です」
そう護衛騎士たちが嬉しそうに言った。俺も嬉しい。この羞恥の旅から解放される。しかも食事が塩漬けまたは干し肉、固麺麭、木の実。この3種類だ。野菜。野菜が足りない。野菜食べたい。せめてもの抵抗で、プレンダーガスト領から持ち込んだ干しデーツを齧る。……と、鋭い馬の嘶きと共に、ガクン!と馬車が急停止した。馬車の外が騒がしくなった。
「何事ですか」
小窓からティグレが騎士に声をかける。
「て…敵襲です!リオ殿と従者殿は外には出ないでくだ……ギャッ!」
ビシャ!とティグレの顔に赤い液体がぶち撒けられた。……血だ。
「ティグレ、見せろ」
「………ヒッ、ぁ………っ」
あまりのことに固まるティグレを押しのけて外を見る。馬車の外はそりゃもう酷い有様だった。15人は居ただろう護衛騎士が数名しか残っていない。しかも襲撃者は黒装束。ベタすぎる…。さて、俺に恨みがあるのと王兄殿下に恨みがある、どちらだろうか。どちらにせよ、この短時間でこれだけの護衛騎士を倒したのだ。本職の手練であることに間違いはない。
………ふむ。幸いそこかしこに護衛騎士たちのものであろう剣が壊されずに落ちている。まだ動ける護衛がいるうちに片付けるか。
「ティグレ、俺が出たらすぐに鍵をかけろ。いいな?」
「えっ……は…?ええ…!?」
蹴破るように扉を開けて、地面に落ちている剣を拾う。筋力強化。よし、剣を振るうのには問題ない。ただ、この体は身長も腕の長さも全く足りていない。だが ーーー
「 立っ端が足りねえなら足りねえで、やりようはあるんだなァ、これが!」
身を低くして黒装束たちの足元に滑り込む。まずは一閃。二度と歩けないように、数人の足の腱を斬る。その勢いで、股座を潜って下から上に二の太刀。
「護衛ども!生きてるなら殺せ!生きたいなら殺せ!!」
「「「「「………!?!?!?」」」」」
護衛たちより逸早く状況を把握した黒装束はこちらに向かってくるが
「遅えよ、雑魚が!」
腹に刃を突き刺し、横薙ぎ。返す刃で背後の相手を振り向きざまに袈裟斬り。血飛沫が体を汚す。あー、クッソ!やっぱり鈍ってやがる!!返り血をこんなに浴びるなんて!こんな太刀筋、琥太朗叔父さんが見たら、「未熟モンが!」ってぶん殴られるだろう。
「てめぇら!殺しに来たなら殺される覚悟はあるんだろうなァ!!」
どうせ死ぬなら八つ当たりに付き合ってもらうぞ!
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