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王都編
披露目式 1
しおりを挟む結局、披露目式前日から家に返してもらえなかった。まあ大公邸で披露目式をやってもらうので楽と言えば楽……だと思っていた俺がいましたよ、と…。
ぜんっぜん楽じゃなかった!
何度も風呂に入れられたり。何度も披露目式の衣装を着ては縫い、着ては解きと細かすぎる微調整をされたり。得体の知れないお茶を飲まされたり。丁度いいからと執事の爺さんが貴族の爵位と名前と特徴をずっと部屋の中で朗読してたり。ティグレはめちゃくちゃメモ取ったりして勉強してた。真面目かよ!?護衛のはずのエルマーは姿が見えない。ウワア、あいつに給料払いたくねぇええ!払うの今んとこラドだけど。
結局、朝になっても護衛のポジションに就かないもんだから、放っておいてさっさと会場入りした。お子様リオくんの披露目式は昼間のランチタイムなのだよ。
「……ティグレ、エルマーにちゃんと時間教えた?」
「はい。大公邸の執事のアイザックさんの前で二度ほど復唱させたので伝え忘れはありません」
オーケーオーケー。証人もいるわけね。さすがうちのティグレ。
今日のティグレは大公邸のお仕着せを着ている。深い黒が基調でなかなかにかっこいい。黒い布って染めるのが難しいらしいのに、大公家はその高価な『黒』を使用人に纏わせる。金待ちィ!あー、プレンダーガストもそろそろ制服作っちゃう?誰でも似合う色っていうと紺色?曾祖父様も祖父様も母上も深い紺色の瞳だったらしいし、それで作っちゃう?ちなみに俺の髪も瞳も『プレンダーガストです!』っていう色じゃないけど、曾祖母様にそっくりなので血縁を疑われたことがない。曾祖母様、どんだけ有名人だよ!?
「さて、リオ?来なさい」
「……御意…」
えー…手を引くの?自分で問題なく歩けるってば!…そう言いたいんだが、これは「リオ・プレンダーガストは王兄にして宰相ラドルファスが庇護する存在だ」とアピールするのが目的らしい。いくら(体が)子供といってもエスコートされる側なんて嫌だと俺が渋ったら、メアリーばあちゃんが「抱っこでもよろしいのでは?」とニコニコしながら言ったのでこういう形になった。子供ボディが恨めしい。ティグレなんかめっちゃ育ってんのに。くぬう…!
会場ではすでにたくさんの貴族たちが集まり、グラスを傾け、談笑していた。ちなみにグラスはプレンダーガストガラスらしい。お買い上げありがとうございます!ラドと俺の入場のアナウンスで、会場の人間の目が一斉にこっちを向く。おおう…この緊張感。前世の勲章授与式以来か。
「お集まり頂き感謝する」
ラドのよく通る声が、縁あって俺の後見人になったことや最近のプレンダーガストの発展の目覚ましさ、俺の『贈り人』としての能力などを話していく。うんうんと頷く者もいれば、(顔には出していないが)訝しげにする者、そして敵意や嫌悪丸出しの愚者。……頷きまくってんのは騎士団長と愉快な仲間たち。あと真っ白い服のベールを被った聖女のお嬢さん。
「リオ、挨拶を」
……さて、どう出るべきか。12歳の子供全開で庇護欲を誘う?それとも舐められないように傲慢さを出すべきか?あー、面倒くせえ。当たり障りのない感じでいいか。
「ご紹介に賜りましたリオ・プレンダーガストです。若輩者ではございますが、ラドルファス殿下の元で学ばせていただき、一日でも早く祖国のために働き、戦って参る所存です」
にっこり笑っておく。大半は好意的に目尻を下げ、残りはさらに目尻をキリキリと吊り上げた。なんでぇ…?
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