【7人の魔王2】してもない婚約を破棄された聖女の兄なのだが、なんだかんだで魔王の嫁になっていた。

とうや

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「金塊など我が国では珍しくもなんともないですわぁ」

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10年前に俺を海から掬い上げてくれた翡翠の瞳の精霊様。魔王領のお方でした。

まあ普通に考えりゃあ『海の魔女』への『贄の儀式』の最中に海に干渉できるって海の魔王軍関連だよな。


「碧海、と言います」


アオイさん、どうやら魔王軍のトップだった。……ってことは………


「えっ!?魔王!?」

「ああ~…ええ、世間一般的にはそう言われてますね」

「も~!お兄ちゃん!あおいちゃんは魔王じゃなくて天使だよ!!」

「てんし…というとあの胸糞悪いアンゲロスのことですのぉ?わたくし、あの鳥頭見てると虫唾が走りますわあ」


アンゲロスとはなんぞや。そして踊り子スタイルの姉ちゃん口わっる


こうやって俺と妹、それから魔王軍の2人は喋りまくってるが、元同僚と元主人、あとギャラリーの一部は動けてない。アオイさん曰く、「ウサギくんに悪意がちょっとでもある人は動けないようにしたよ?王様が来る頃には解けるようにはしてるんだけど…」とのこと。ウサギくんって誰?俺?ウサギは茶色いだろ?え?うーん?まあアオイさんがニコニコ笑ってるからいいか。


「では人の子?この2人は貰っていきますわぁ。…契約違反ですわ。おバカなんですの?金塊など我が国では珍しくもなんともないですわぁ。そこらに苔むして海藻が生えておりますのよ?」


あっ…あれか。あーあーあー……だから言ったのに。


10年に一度、この魔王領に隣接するメンドゥサ王国は『海の魔女』に若くて見目の良い男を生贄にしなくてはならない。数日前の贄の儀式で、陛下から儀式を任された馬鹿殿下は事もあろうに黄金の像を贄代わりに沈めた。今、馬鹿殿下の横に座り込んでガクガク震えてる公爵令嬢の兄が生贄に選ばれていたらしい。

一応は俺は止めた。止めたんだぞ!?それなのに俺の目を盗んで決行したのは馬鹿殿下と俺以外の側近たちだ。

海の魔女に対して不誠実な対応を取れば、それは恐ろしい災害になって帰ってくる。まあせいぜい船が沈むか漁に出れなくなるか……と思いきや、まさか魔王と女幹部が乗り込んで来るなんて。

そうか。俺と妹、生贄か。短い人生だったな…。


「やだお兄ちゃん諦めないで!諦めたらそこで試合終了だってA先生が言ったでしょ!?」


A先生って誰だよ妹よ!?


「あっ、ええと、大丈夫だよ?









…………どういうこと???









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