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【王太子視点】「リアムは、私のものだ」
しおりを挟む王宮の庭に魔王が現れた。
魔王だぞ!?結界は!?衛士はどうしたんだ!?
そしてその魔王はリアムと聖女シャーロットと親しそうにしている。なんということだ!あいつら人類の敵の魔王と通じていたのか!?
魔王の気に当てられて体が動かない。エレオノーラは吐瀉物に塗れて倒れ伏している。
ああ、なぜこんなことになったのだ?少し脅せばリアムは私の言いなりになった筈だったのに。
リアムが気に入らなかった。
平民出身のくせに父上も母上もリアムリアムと頼りにする。事実、リアムは口が悪いことと平民出身という以外は誰よりも優秀だった。父上がリアムを自分の側近に取り立てると聞いた時は全力でお断りした。
リアムが大嫌いだ。
実力のある魔導士部隊の隊長や辺境伯である叔父上は、事あるごとにリアムを養子に欲しがった。国外の来賓のある夜会でリアムを知った者たちも、自国へ大使として来ないか、などと半ば本気で誘っていた。
駄目だ。リアムが居ないと。
リアムは王宮の使用人たちにも人気があった。私の優秀な側近たちより、粗野な言動の抜けないリアムは余程好かれていた。私の食事も毎日の服装も、スケジュールも全てリアムの采配だった。
リアムは、私のものだ。そう、モノなのだ。平民出身の騎士などになぜ私が左右されねばならない。
王国にリアムを繋ぎ止めるために、私はシャーロットを婚約者にされた。
ーーー それなのに。
「では頂いていきますわぁ。1年後はちゃあんと用意なさいね、お馬鹿たち?」
魔王の姿と共に、リアムは煙のように消えていった。
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