【7人の魔王2】してもない婚約を破棄された聖女の兄なのだが、なんだかんだで魔王の嫁になっていた。

「ようこそアトランティスへ」

瞬きをひとつ。その間に景色が変わっていた。


「……は？え？？？」

「うわあ…！キレイ！水族館みたい！」


妹よ。すいぞくかんとはなんだ？まあ…キレイ、は同意だが。


「ようこそアトランティスへ」


アオイさんがふわっと微笑んだ。うわー！めっちゃ天使！あ、いや待て『天使』は魔王領じゃ悪口だって踊り子スタイルの姉ちゃんが言ってたな。んー…じゃあ


「女神？」

「は？？？」


アオイさんが固まった。


「あらぁ？仔ウサギちゃん？『神』なんて下賤な虫に碧海様を例えますのぉ？」


おっふ。失敗した。


「えー…あー……じゃあ美人？」

「ええ！？」

「ああ…あおいちゃん？ごめんねえ？お兄ちゃんテンパってるわ」


てんぱってるってなんだ妹よ。美人は美人だ。黒髪に翡翠の瞳でやや冷たくも見える美貌が、柔らかい声や言葉遣いでホワワンとした癒し系になっている。


「あー、うん…ほんとにキレイな人の前に出ると語彙力死ぬんだな」

「…………っ」

「お兄ちゃん、お兄ちゃん。あおいちゃんが血圧上がって倒れちゃう！」


アオイさんは真っ赤になって顔を両手で覆った。あ、わかったこの人褒められ慣れてないんだな。


「美人なのに…」

「やめて！もうやめて！恥ずかしくて死ぬ！！」




恥ずかしくて死ぬってどう言う状況！？