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「『らっきー』でしたね」
しおりを挟む「ウサギくん…ウサギくん……」
揺り動かされて意識が浮上する。目を開けるとアオイさんが居た。寝起きに美人。素晴らしい。
「えっとね?もう夕方近いんだけど、大丈夫?」
うおやべえ寝過ぎた。
腕の中で涎垂らして寝てたクソ妹を床に転がし、天幕を出て伸びを一つ。よく寝た…!
「起こしてくれてありがとうございます。夕飯作りますけど食べて行きます?」
「あ…う、うん。よかったら…」
「了解です。嫌いなモンとかあります?」
「え?ううん、ウサギくんが作ってくれるならなんでも食べるよ?」
?
可愛らしいけど、ちょっとズレてんのかな、この魔王サマは。
「んにゅう…お兄ちゃん……ごはん…」
涎の跡を拭きながら妹も起きてきた。よし、使おう。
「シャル、あそこにあるバナナの葉っぱと実も取ってこい」
「らじゃー」
「えっと、僕も手伝おうか?」
「えっ?あー…じゃあ一緒に薪でも取りに行きます?」
「うん」
にこにこにこ。
なんだこの人。かっわいい…。
「明日になったらね、僕の兄弟が色々持ってきてくれるらしいよ。家とか」
「は?」
「うん?家とか」
「い…家???」
家って持ち運びできたっけ!?
「あと、ルディ ーーー サイラスの前の生贄の人が商人やってるんだけど、船でここまで行商に来てくれるって。パンとか服とかいるでしょ?」
おお…ありがたい。
そんな話をつらつらしながら薪が集まっていく。
「あっ、アオイさん、あそこの鳥って飼ってます?」
前方にでかい鶏発見。……って思ったら尻尾が蛇だ。コカトリスかよ。
「ううん、記憶にないなあ。まさか海でも渡って来たのかな?」
「じゃあ食べましょう」
「え…?」
一刀で鶏と蛇の頭を落とす。冒険者ギルドでもあれば買い取って貰えるだろうけど、とりあえず食えないから埋めよう。
「コカトリスは美味いですよ。『らっきー』でしたね」
「えー…えー……えええええええええ…」
血抜きのために木に吊るしたコカトリスを見ながらアオイさんは目を白黒させた。えっ?なんで?
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