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「やめろ碧海滅ぼすならメンドゥサだけにしろ!!」
しおりを挟む一瞬だけ甘ったるい匂いが漂った。碧海のフワンとした感じの良い匂いじゃなくって、なんというかその……プーンと臭う感じだ。くっせえ。
「さあリアム様、わたくしのもとにいらして?貴方を愛して差し上げますわ!」
《魅了》か…。そこまでして戦力が欲しいのか。メンドゥサ終わってんな。
「スタンスフィールド嬢、あんたの魅了は効かない。残念だったな?……さて碧海、帰ろ………っひう!!??」
碧海の顔を見るとめちゃくちゃ笑ってた。ただし、目が全く笑ってねえ。まずいやばいこれはやばい。
「……ねえ?他人の妻に色目使うって異世界じゃあ普通なの…?」
「やっ…あー、ああー…どっ、どう、だろうなあ!?さあ帰ろう!な!パスタ麺もらって帰ろう!サイラス!シャルを回収してすぐ戻ってこい!俺たちは先に帰る!!」
「ラジャーでござる師匠!」
「…ああ…やっぱり地上なんかに帰すんじゃなかっただってそうだよねリアムはこんなにかっこいいのにモテないはずがないんだよそうだよダメだダメだああもうダメだ他人の目にリアムを触れさせるなんて絶対ダメだったんだそうだもう島に監禁しようああ島じゃなくて家でいいかそうだよね監禁して終末までずっとずっと一緒にいれば良いんだよどうしてそうしなかったんだろ僕そうだそうしようねえリアムずうっと一緒にいようね愛してるよ愛してるよ愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛して……」
ウワア怖い!!なんかやばいことブツブツ言ってる!!
「もう終末なんか待たない。全部滅ぼしてやる…」
「やめろ碧海滅ぼすならメンドゥサだけにしろ!」
「「「「「「それもどうかと思う!!??」」」」」」
「ああもう!お前らもう帰れ!死ぬぞ!?」
「………っ!」
俺が言うと、呆けていた王太子一行と勇者パーティーは慌てて席を立つ。まだ何か言いたげな元師匠と元主人とクソ売女は引き摺られるようにして出て行った。
「……おっちゃん、悪いけどあいつら全員メンドゥサに放り出したら国境封鎖して。間者は自力でメンドゥサ以外に退避。サイラスはシャルにハルフォードだけ結界を張るように言ってくれ。……多分、荒れる…」
ああもう……恨むなよクソ売女?先に碧海の横っ面張ったのはお前だからな!?
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