【7人の魔王2】してもない婚約を破棄された聖女の兄なのだが、なんだかんだで魔王の嫁になっていた。

【王太子視点】おわりのとき

追い出されるようにハルフォード領の関所の外へ出された。

色々な事がありすぎた。


「ね…ねえ、ジェームズ様…？」


私の腕に絡みついてくる手を払い除ける。


「穢らわしい…！」


そう、穢らわしい。エレオノーラは私を騙していたのだ。

リアムに向けてエレオノーラが魅了を放った時、私たちの魅了が解けた。


ああ…なんという事だ！私はこの女に魅了されていたのだ！！


この女に騙され、魅了され、溺れた。婚約者を蔑ろにし、公金を横領してまで貢ぎ、王太子としての品位も地に落ちた。


この女のせいで、 ーーー リアムを手放した。


私はなんということをしてしまったのだろう。

リアムはいつも私のことを思ってくれていた。それを何故疎ましいと思ってしまったのだ。

リアムを取り戻さなくては。





私の『運命』は、この女ではなく、リアムだったのだから。





馬車に乗り込み、策を練る。こんな時、リアムならどうしていた？何を助言してくれていた？教えてくれ、リアム。どうすれば良い？




「リアム…」






そう呟いた時、馬たちの嗎とともに馬車が激しく傾いた。