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モブとテオドール1

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ギャアアアアともガアアアアアともつかない叫び声が第一王妃の口から放たれる。その声に呼応するように教会に雪崩れ込んでいる魔獣たちが、一斉に吼えた。

うっわ、うるせえ。

そう思うが耳を塞ぐほどではない。

カリーナ様から押し付けられ……いや、頂いた《代行者の証》で俺の体はびっくりするほど頑丈になっている。魔力もテオから頻繁に貰っているので常に満タン状態だ。

だから隊員たちが耳を塞ぐ《威嚇》も問題ない。



さて、どうするか。



カムイも《影》もルクレツィアに付けた。朱座は外で大量の骨の集合体みたいな巨大怪獣(?)と交戦中。遼と遥も密集した場所で無限湧きする魔獣に手こずってるみたいだし、カズマは隊員たちをしながら必要以上に手は出さない。そしてオーロは「ボク、平和主義なんだよね?」と使えない。くっそ。あいつ、戦闘が終わったらこき使ってやる!

え、俺?…俺は「さー、こーい!」って待ち構えてるのに魔獣たちに避けられてる。めっちゃ避けられてる。手が空いてる。ぶっちゃけ暇。

あれだ。さっき《逸霊いそら》とかいう名前を思い出したときに、俺の中の神様がほんのちょっとだけ顔を見せた。あれで怯えられた。うわやばめっちゃ怖っ!って顔された。魔獣のくせに。解せぬ。



じゃあ、俺が第一王妃をしかない。



ああ、嫌だなあ。もうすでに血塗れなのに、まだ俺はこの手が汚れることを嫌がっている。そんな自分も嫌だ。

拳を握りしめる。ギチィっと音がしたけど無視。

姿魔獣に向き合い、せめて痛みも感じないように…と笑ってみせる。




「弓部隊、撃て!」




テオの鋭い号令が響いた。

ドドドドッと巨大な蜘蛛の下半身に矢が突き刺さる。




 ーーー …え?




「魔術師部隊、拘束しろ!」




キィンと甲高い音がして、文字の…呪文の帯のような光が第一王妃に絡みつく。

後ろを振り返ると、サヴァレーゼ王宮騎士隊の鎧を纏った男たち。




それから、テオが人間にあるまじき跳躍力で床を蹴った。














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