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モブと実家2
しおりを挟むフェルディナンドの『相談』は実に当たり障りにないものだった。
『オズワルド』が手掛けていた事業である他国との貿易が奮わないとか、鉱山の鉱石が質が悪くなったので閉山するべきかもっと深くまで掘り進めるべきか…とか。
うん、あれだよ。だって『オズワルド』が14の頃から実際この伯爵家の資金繰りしてたの俺だったし。もうそろそろ回らなくなるよね?きっと俺が個人的にお付き合いしてた商人とか切ったんじゃない?そりゃ確かに手数料は高いけど、持ってくるものの質は良かったし、何よりお金をちゃんと払ってる間は絶対に約束を反故にしたりしない人たちだったのにね?
鉱山もね?ちゃんと専門家にお金払って調査に来てもらったのかな?えー…、詐欺師まがいの人が「ここだけの話…」っていうの信じたの?マジで?ほんっと……バッカだねーお前ら。
……っていうツッコミはせずに笑顔で話を聞く。だってほんとに相談したいのそれじゃないだろ?
チラチラと俺の様子を伺ってくるところは変わってないよなフェルディナンド。俺と違ってヴィヴィアン夫人似の綺麗なストロベリーブロンドだし、派手目の美男子だからどこかの高位貴族か大商人の婿に出そうかな…なんて昔 考えてたのは内緒だ。まあその前に毒を盛られたんだけどね。
「あの……兄上、その………ヴィットーリオ殿下と一緒にいらっしゃる、と、いうのは……その…………?」
「ああ、殿下はルクレツィアの結婚式に参列してくださってな。ついでに私の立ち上げた訓練施設の視察にきt……」
その時だ。
バーン!と、まるで映画か小説のように扉が開いて
「このっ……泥棒猫!!あの人を返しなさいよ!!!」
御厨透とオズワルドの生を通して、二度目の『泥棒猫』発言をリアルで聞いた。
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