絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

文字の大きさ
4 / 291

犬の散歩

しおりを挟む
「いやー、最高だったわね。亜人の生を感じたわ」

 ……。
 ……はっ!

 ヤバい、意識が朦朧としていた。思い出せるのは、二つの山が……僕の顔を擂り潰そうと跳ね回るのと、壮絶な笑顔と、立ち込める花の匂い。口の中がベステルタの匂いで一杯だ……。あと杭打ちマシンが目の前で終日稼働していた。

 ていうかなんだよ亜人の生って。

 風呂上がりのおじさんみたいにふぃーと息を吐くつやつやしているベステルタ。なんか毛並みめちゃくちゃよくなってない? さっきも十分綺麗だったけど今は更にすごい。まさに王者の貫禄だ。紫の体毛が光輝き、角にはビリビリと見えない力が迸っているように見える。

 うーん、解釈するなら欠乏状態だったところに栄養が行き渡ったからとか? やばいな。

「ベステルタ……」

 一人で満足している彼女を睨み付ける。ビクッとして目を逸らす。一応罪悪感とかあるみたいだ。

「ご、ごめんなさい。ケイの意志を聞かなかったのは謝罪するわ。種さえもらえれば、わたしのことは好きにしてかまわない。亜人の皮は高く売れるらしいから皮を剥いでもいいわ」

 そんな悲壮な覚悟を表明されても。大体僕メンタル5だよ? そんなエグい拷問みたいなことできるわけないじゃないか。僕が言いたいのはそういうことではなくて。

「……今度からコス茶なんて盛らなくていいから。言ってくれればちゃんと受け入れるから」

「えっ」

 むしろ僕も動きたい。あれじゃただの給油機みたいなもんだよ。杭打ちも好きだけど、犬の散歩もしたいんだよ。いや、たまにはいいと思うけど。なんかに目覚めたけど。

「ベステルタ、僕は守備範囲が広いんだよ」

「ふぅん……。なんかよくわからないけど協力してくれるってこと? 事後確認であれだけど、わたしたち亜人よ? いくら異世界から来たといっても全員がそういう訳じゃないでしょ?」

 マジで? って顔で見てくる。

 まあ、確かにニッチな趣味かもしれない。でも全く問題ない。

 それに、協力っていうか僕にとってはただのご褒美なんだけどね。こんな剛毛筋肉スーパーモデル亜人お姉さんとハッスルできるなんて、地球じゃどんなにお金出しても出来ないよ。

「このままじゃ、僕もじり貧だからね。特に代案もないし。宜しくお願いするよ」

「そう……ありがとう。感謝するわ。約束通りあなたはこの『序列無き獣』ベステルタが保護してあげる。契約者ケイ」

 えっと、契約者って言葉は初耳なんだけど。あとそんな二つ名みたいのあったの? ちょっとかっこいいんだけど? うーん、ベステルタってちょっと説明足らないときあるよね。あー、なんか元の世界を思い出すよ。新しい仕事するときに、こっちはぜんぜん業務のこと知らないのに「こんなの当然だろ?」と説明省く人。僕もそれで苦労したな。

……いや止めよう。僕は異世界に来たんだ。前の世界のことなんて考えるのは不毛だ。目の前のことに集中しよう。ベステルタは僕と常識がものすごく異なっているけど、悪いやつじゃないはず。お人好しな考えかな?

 うーん、もしかして契約者ってこの世界前提の知識なのだろうか。そう言われても分からないものは分からないよ。突っ込んだ方がいいかな。ここで言わないと機会を逸する気がする。よし言おう。

「……ごめん、契約者って何?」

「あっ、忘れてたわ」

 うっかりしてたわね、と呟く。

 こんなに悩んでた僕が馬鹿みたいだよ。いや、実際馬鹿か。こっちが気にしていることを相手は意外と何にも思ってないものだよね。

「亜人は種をもらう人を契約者として認めるのよ。そうすると魔力的なパスが繋がって、色々便利なの」

「たとえば?」

『こうやって声に出さずとも話せたり「うわっ!」』

 びっくりした。直接脳内に話しかけてくるなんて。ファミ○キ持ってるときにやってもらおうかな。無理だけど。

「あなたがどこにいるかも分かりやすくなるし、亜人の力が少し契約者に渡るわね。力が強くなったり、足が速くなったり。ちなみに逆も然りよ」

 文字通り紐付きだな。そしてお互いにメリットがあると。なるほど、かつての亜人はこうやって双方にメリットを提示して社会に溶け込んでいたんだな。うん、ステータスの向上はかなり嬉しいな。この状況で生存率が上がるのは頼もしい。

「あと、契約者は離れていても契約した亜人を呼び出せるわ」

 それはやばいな。戦力持ち込み放題じゃないか。召喚獣だな。サモナーとテイマー合わせた感じか。

「あら、召喚獣が分かるのね。なら話は早いわ。人の世界でも召喚術はあるんだけど、それは亜人の技術を応用したものなのよ?」

 すごいでしょ? と胸を張る。ドヤ胸だ。でも実際すごいよな。もし、人の町に行くことがあったら心強い存在になりそうだし、とりあえず言い訳も立ちそうだ。

「ちなみに契約の条件って?」

「種をもらった時よ」

 文字通り『契り』ってことか。それならベステルタを裏切らないようにしないとな。

「そっか。ならベステルタ一筋だね。種をあげられるように頑張るよ」

「? 勘違いしているようだけど、契約は複数可能よ」

「えっ、そ、そうなの? でもいいのかな。貞操観念的に」

「貞操守って絶滅してたら世話ないわ」

 正論だ。ぐうの音も出ない。

「あなたの貞操観念を変えてしまうのは申し訳無いんだけど、こっちも種族の絶滅がかかってて必死なの。嫌かもしれないけど我慢してちょうだい」

 嫌だとは言ってない。ていうか、そんなに都合良くていいんですかー!と叫びたい。海に向かって山に向かって叫びたい。

「どうしたのいきなり拳を掲げて。気持ち悪いわよ」

「気にしないでくれベステルタ。僕は今喜びを噛み締めているんだ。ちなみに叫んでもいい?」

「うーん、魔獣が寄ってくるから止めてほしいわね」

 冷静に返すベステルタさん。うう、このテンションの差がつらい。ていうかそりゃそうだ。ごめんなさい。

「とにかくケイは亜人たちに種を撒けるだけ撒いて? あと、わたしたち授かりにくいから数こなして欲しいわ。大変だろうけどそれだけやってくれたら、他はわたしたちでなんとかするし、あなたを守るから」

 やだイケメン。凛々しいベステルタさんの横顔に惚れそう。一応、男の矜持として女の子は守らなきゃ、という気持ちもあるけど、ここじゃ通用しなさそうだ。それ、絶死の森で言えんの? って感じだ。僕がベステルタを守るより、逆の方が遥かに効率が良い。

「ありがとうベステルタ。ちなみに、守ってくれるのは本当に嬉しいんだけど、ベステルタってどのくらい強いのかな」

 そう言えば確認して無かったな。人間よりずっと強いって言ってたから、まあ強いんだろう。うーん、理性のある猛獣ってとこか? 昔熊が戦う動画を見てたんだけど、あいつらめちゃくちゃ速いからね。時速60キロで走るし、マイクロバスに轢かれても簡単に跳ね退けて脱出するみたいだし。あれが理性持ってさらに強いとなるとめちゃくちゃすごいな。ふふ、男として強いことには興味ある。

「それもそうね。少し待ってて。……ちょっと小さいけどあそこに岩山が見えるわね?」

 ……小さい岩山は見えない。五階建てのビルくらいの岩山ならあるけど。彼女には僕に見えないものが見えているのだろうか。

「あれくらいなら、造作もなく消し炭にできるわ」

 えっ、嘘だよね?

「ついでだから見せてあげるわ。ふんっ」

 意外と可愛らしい掛け声と共に、目の前にあった岩ビルの三分の二が音も立てず……消えた。唖然とする僕の顔にパラパラと細かい砂がかかる。どうやら岩は砂にジョブチェンジしたらしい。

「ど、どうやったの?」

「拳を振り抜いたのよ」

 ぷらぷらと拳を振る。

 獣のとかそんなチャチなもんじゃない。戦車とか、そういうレベルだ。恐怖の片鱗を味わったよ。

「ちなみに今は魔力がほとんど籠って無い素振りみたいなものだけど、あなたがたくさん種を撒いて強くなってくれたら本来の力を取り戻せるわ」

 どうやらチートは僕じゃなく、ベステルタのようだった。えっ、ていうかそんな亜人が百人いるの? えっ、人類大丈夫なの? っていうか人類馬鹿なんじゃないか。なんで共生の道歩めなかったんだよ。その無神経さ怖すぎるよ。

「いやー、久しぶりに力を出したからちょっと制御甘かったわねー」

 つらいわー、寝れてないからつらいわー、という大学生みたいな言い分を極大スケールでのたまう。あかん、怒らせないようにしよう。

「ん……? どうしたのさっきあんなにしたのにまだ足りないの?」

 おうふ、生命の危機を覚えて反応してしまったようだ。途端にベステルタに抱きすくめられがっちりホールドされる。あわわわわ。

「どうする? ここで繁殖しちゃう?」

 ちろり、と赤い舌を出して笑う。ズギューン。

 宜しくお願いしまーーーーーす!

 
 次は犬の散歩もさせてもらった。後ろからベステルタの散歩風景を眺めるのは最高でした。ここが桃源郷か……。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

処理中です...