絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

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しどろもどろ

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「……なんかあったの二人とも」

「何もないよ」

「い、いや何でもないのだが」

 ベステルタに言われてしどろもどろになるプテュエラ。それじゃなんかあったみたいじゃん。確かに繁ったけどさ。いつもと違う繁り方だったけどさ。なんかこう、ラブに溢れてる感じ? 

 プテュエラはあれだ、特有の気恥ずかしさを覚えているのかもな。ベステルタとも最初の方でそうなった気がする。彼女は余裕そうだったけどね。

 あっ、ちょっとベステルタが「ふーん」ってむくれてる?

「なーんか、プテュエラ綺麗になってない? どういうこと?」

「いやこれはだな。温泉がな。くぴっ」

 あっ、プテュエラは余裕なくなるとその鳴き声でちゃうのね。

「ケイ、説明しなさい」

 かくかくしかじかで。まさかあんなことになるとは思わなかった。
 いざ話すとなると難しい内容だな。

「ふぅん。つまり私がシュレア探している間に二人で温泉? ってところでいいことしてたってことね。ふぅん」

 やっば。顔は平静だけど角がバチバチしてる。プテュエラが冷や汗掻いている。

「ベス。これはな、えっと。えっとだな」

「プテュエラは黙ってて」

 これあれか。自分はしっかり働いてたのに、他は遊んでたってことか。しかもそういう関係……。あっこれ、もしかしてやばいんじゃ。ベステルタを蔑ろにしてるって思われてるかも。

 僕はまだいいけど、プテュエラとベステルタの仲が悪くなるのは非常に良くない。見ててつらい。

「ベステルタ!」

 僕は気合いを入れて謝罪することにする。膝を地につけた。これしかねえ。

「な、なによ」

 少し引いてるか? いや、しょうがない。悪いのは僕だ。とにかくみっともなくても謝意を伝えなくては。

「申し訳ありませんでした!」

 土下座。
 土下座ってこれであってるのかな。やったことないから分からない。

「それはなに?」

「これは僕の国に伝わる最大限の謝罪のスタイルです」

「ふぅん」

「弱点を晒しだすことで相手への謝意を表しています」

「……ふうん」

 ほんとにそうかは分からないけども。今はそう思ってます。

「どうされてもいいってわけね」

「仰る通りです」

「何に対して謝ってるかわかってる?」

 うっ、これは大事なやつだ。正解があるのかどうか分からないやつだ。でもどうしようもない。覆水は盆に反らない。思っていることを言わねば。

「ベステルタが一生懸命働いている時にプテュエラと仲良くして、ベステルタを蔑ろにしたことです」

 合ってるよね? 合っててください。ああ、情けないなあ。

「そうね。悲しかったわ」

 悲しげに声を落とす。すみません、僕が世界で一番悪いです。 すみませんすみません。

「ベス、ケイはわざとやったわけじゃ」

「プテュエラはちょっと黙ってて」

「えっ」

 プテュエラがきょとんとしている。違うんだ、援護射撃かもしれないけどそれは悪手なんだ。それをやると余計に僕たちの仲の良さが強調されて、まるでベステルタが悪者みたいに見えてしまうからね。ま、どうすればいいかなんて分からないんだけどね!

「二人は仲が良いわね」

 ジト目。

「あっあっ」

 あー、やっばい。思った通りになってしまった。どうすればいい。どうするのが正解だ。とにかくベステルタに謝意を伝えて、僕の誠意を見せなければ。謝罪……慰安……接待……酒?

 ! 
 これだ!

「ベステルタを慰安温泉旅行に招待します!」

 これしかない。温泉は古来より接待場所として機能していたはず。それを最大限活かすんだ!

「えっと、ケイ。それはどういうもの?」

 戸惑っている様子。そりゃそうだよね。突然地面に頭擦り付けて謝ったかと思ったら、よく分からないこと言い出してるもんね。もはや僕も自分が何言ってるか分からないよ。押し切るしかない。

「温泉でベステルタを精一杯もてなそうと思うんだ」

「ふぅん……、つまりプテュエラと同じことしておけばいいやって思ったのね」

 凍えるような声色。
 
 こええ。まじこええ。人格変わりそう。具体的なプランを考えておいてよかった。転移前の僕、よくいろいろ買い込んだ! 偉いぞ!

「いや、前の世界の酒やおつまみを飲み食いしながら温泉で楽しんで貰おうと思ってね」

 ここが着地点だ。ウイスキーや日本酒を使っておもてなし。これ以上は思い付かない。

「え、いいわよ。さすがに悪いわ。それは数少ないケイの前の世界との繋がりじゃない。わたしは二人にもう少し考えて欲しかっただけなの」

 申し訳なさそうな表情。いや、ここで変に向こうの意見を反映するのは良くない。「あ、そう? ならいっか。これからもよろしくね」なんてクズ過ぎるよ、さすがに。

「いいんだ。ストックはまだあるし、ベステルタには僕の故郷の味を楽しんでほしいんだ。そういえば、お酒飲める?」

 これが少しずつ普段っぽい会話にシフトさせていく高等テクニック。情けないなあ。

「あんまり飲んだことないけど大丈夫よ? でもほんとにいいの?」

「いいのいいの。気にしないで」

「それなら私が送っていこう」

 タクシーを申し出るプテュエラ。今回はタイミングばっちりです。

 そういえば重量制限とか問題ないのかな。面だって訊くのは失礼だし。あっ、契約者チャンネル使ってみよう。

『プテュエラ、重量的に大丈夫?』

 少し驚いたプテュエラだけど、頷いて言ってくれた。

「ベステルタやケイが何人いても速度や魔力に問題はない。風の繭で包めばいいだけだからな。それに私にも何かさせてくれ。すまない、ベステルタ。もう少し配慮すべきだった」

 そう言って項垂れるプテュエラ。あぁ……そんな顔しないで……。

「いいのよ。もう怒ってないわ。恥ずかしいけど、あなた達が仲良さそうで嫉妬して悲しくなっちゃったの。私もごめんなさいね」

「うっ、うっ。ベスー」

 二人の人外っ娘が抱き合い慰め合う。なんて神々しいのだろう。永遠に網膜に刻んでおきたい。

「それじゃ準備して向かおうか」

「ええ、楽しみね」

「ああ」

 一件落着した。よ、良かった。今度から何か新しいことするときは皆一緒にするか、せめて話通してからにしよう。今後に活かさねば。



 温泉地にとんぼ返りすることに。
 相変わらず僕はプテュエラの背中にのっているが、ベステルタが薄い空気の膜に包まれ空中に浮いているのはちょっとシュールだ。

「こうやってプテュエラと一緒に飛ぶのは久しぶりね」

「そうだな。何十年振りだ?」

 ほのぼの昔話が始まってる。久しぶりに友達とドライブって感覚なのかな。

「最後に行ったのは……ああ、ラミイと三人でデイライトで暴れてたフレイムベアを見物しに行った以来じゃないかしら」

「はは、あれか。懐かしくも、ほろ苦い思い出だ。ラミイが我慢できなくてフレイムベアを穴だらけにしたんだよな」

「あと二体いたからわたしとプテュエラで仕留めたのよね。あの頃は少し力の制御うまくなかったから街の城壁壊しちゃったけど。あれは申し訳なかったわ」

「それを言うなら私も風魔法がおかしなとこに飛んで辺りの地形変えたしな。お互い若かった」

「帰ったらシュレアに呆れられたもんね」

「あの顔は傑作だった」
 
 ぜんぜんほのぼのじゃない。スケールがおかしい。怪獣大決戦じゃん。それ人間目線ならフレイムベアとあんまり変わらないんじゃない?

「あの子は本当に優しかったもの。亜人と人は不干渉だって言われてたのにね」

「そうだな……。確か好みの少女を助けようとして、突っ走ったんだよな。あの頃は、私たちも亜人の掟に従おうと頑なだったところがあったよ。
 今頃どうしているだろうか。今ならもう少し、うまく言葉にできる気がする」

「ほんとにね。私も亜人のルールにガチガチに縛られたし。……謝りたいわね」

「そうだな。また四人で散策したいよ」

「シュレアはついてくるかしら?」

「無理にでも引っ張ってくればいいさ。最近思うんだが、あいつはたぶん内心嫌がってないと思うな」

「分かるわそれ。あの子輪にうまく入れなくてひねくれただけよね」

「ははは」

「ふふ」

 何この哀愁漂う談笑。なんも言えないよ。

 ラミイって人は友達だったのかな。話しぶりからするに、人を助けようとして、結果喧嘩別れしてしまったようだ。

 僕もちょっとした一言で仲の良かった友達と疎遠になってしまったことがある。あいつがウイスキーとか日本酒の良さを教えてくれたんだ。結局、仲直りする前にこっちに転移しちゃったけどね。ベステルタたちにはちゃんと仲直りしてほしいな。

「あっ、見えてきた。あそこが温泉だよ」

「そうなのね。ふふ、楽しみだわ」

 物憂げに笑うベステルタの表情がなんだかもどかしかった。
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