76 / 146
明るいおうち計画
しおりを挟む
そんなこんなで新たな亜人が僕の契約者となり数日が経った。このままここで搾取される毎日を過ごしているのも悪くないがそういう訳にもいかない。そろそろデイライトに行く頃合だね。問題なければ明日には準備して飛び立つつもりだ。
向こうにはプテュエラ航空で飛んで行ってもらい、そのまま護衛。リッカリンデン孤児院に到着したらベステルタを召喚しておこう。他の亜人は待機だ。と考えていたのだが。
「デイライトに行くのか! いいな! オレも召喚してくれよ!」
「あ、あたしも可能なら……」
ラミアルカをとサンドリアが意外にも行きたいみたいだ。
「うーん、いいんだけど二人とも気配とか姿とか隠せるの?」
ラミアルカが街中に現れたら絶対パニックになるぞ。それに亜人の気配は目立つみたいだし。
「オレは土に潜るから大丈夫だ」
「き、霧に紛れる……」
ラミアルカはそれ外見えなくない? 百歩譲ったとして地面が盛り上がってばれそう。サンドリアは良さそうだな。なるほど、霧はステルス方面もいけるんだな。
「ラミアルカは目立ちそうだから様子見させて。サンドリアは問題ないよ」
「えーっ! なんでだよ!」
「やたっ」
ぶうぶう文句を言うラミアルカ。試しに地面に潜らせてみたら案の定、深くは潜れず地面がもこもこしていたので却下。デイライト中の道を駄目にするつもりかよ。逆にサンドリアは完全に気配と存在感が消えてビビった。しかもある程度の薄さのものならすり抜けるらしい。やばい。プテュエラの場合は隣に風が吹いているなーって感じがするのだが、サンドリアには全くそういうのが無い。それを褒めたらにこにこ、てれてれして嬉しそうだった。かわゆ。やっぱり霧魔法はポテンシャルあるよな。
「そう言えば今更だけど、人の生活に干渉していいの?」
この前ラミアルカの浄化の際に過去の記憶を垣間見た。その黒い記憶の中で「亜人は人に干渉してはいけない」って言っていたから気になった。あれ、何だったんだろうな。あの時見たΛのマークは。ジオス神のマークだし、やっぱそういうこと? そうだとしたらけっこうやばいのかもしれない。コスモディアの製造早めた方がいいかも。
「ああ、それは契約者がいない場合よ。長いこと契約者不在だったから当たり前になっていたけど、契約者がいれば問題ないの」
あっ、そうなのね。それなら大手を振って街に入れる訳か。まぁ姿は隠さないといけないけど。
「わたしだけ姿と気配が隠せないから、そのために防具が必要なのよ。ケイには苦労かけるけど……」
ベステルタは悔しそうに、そして申し訳無さそうに言った。
「いやいや、これくらいなんてことないよ。普段亜人にはお世話になっているんだ。これくらいさせて」
むしろベステルタは亜人の中で一番人に近いから、気配の問題さえクリアすれば唯一姿を隠さずにいられる。それはメリットだよね。
「ふふ、ありがとう」
「デイライト中の職人にベステルタの防具作らせることも辞さないよ」
マジでそのくらいしたっていい。そもそも僕が好き勝手やれているのは亜人のおかげだからね。
「あはは、期待しているわ。ケイ、わたしとっても期待しているのよ?」
耳元で囁いてぎゅっと抱きしめてくれる。うっ、期待に添うように頑張らないとな。
出発する前にやることを整理しなければ。今度こそ家の見積もりを忘れてはいけない。えっとデイライトでは何をしていたんだっけな。整理しよう。
・鍛冶屋ゴドーさんからベステルタの魔力を隠す防具の受け取り。僕の武器もできていたら受け取る。
・宿屋ブラガさんにラーメンの成果を共有。(シャロンちゃん元気かな)
・カリンとシルビアにコスモディアポーション製造計画の確認。孤児院の増築、奴隷戦力による自衛手段の獲得に関して。
・商業ギルドにフレイムベア素材オークション結果の確認。お金の受け取り。
・冒険者ギルドにてシャールちゃんに頼んでいた魔道具の調査結果の確認。ベステルタの防具が出来ていたなら依頼を受けたり迷宮に潜ってもいいかも。
・家の見積もり(重要!)
こんなところかな。よくまぁ短期間にいろいろやり始めたな。いろいろやることあるな。ま、ぼちぼちやっていこうか。何か忘れているような気もするが。うーん、仕方ないか……?
あっ! 家の見積もりって言っているけど、どんな家にするか決めてないじゃん……。致命的だ。そこまで頭が回っていなかった。ていうか亜人たちはそこら辺どう思っているんだ? 普通のおうちでいいのか? ラミアルカとか通常体型だと一番大きくて人から離れているし一般的な家だと難しい気がする。
「はい、亜人さん集まってくださいー」
パンパンと手を叩いて急遽召集をかける。
「なんだなんだ」
「どうしたの?」
わらわらと亜人たちが集まってくる。急にすまんね。
「今度こそみんなの住む家の見積もりしたいんだけど、その前にどういう家にするか決めなくてはなりません。あっ、ラミアルカとサンドリアはそれでも大丈夫?」
「何その口調」
ジト目のベステルタ。いいんだよ。細かいことは気にするなよ。
「オレたちは問題ないぜ、一緒に住むなんて楽しそうだ!」
「う、うん。ちゃんとした家に住めるなんて、す、すごいな……」
二人は問題無しか。よかった。これで「お前と住むとか死んでも嫌」って反対されていたら心折れていたところだ。
「まあ、でもそこまで悩むことは無いんじゃない? 基本的に人と同じように作ればさっさと決まるわよ」「ああ、それと一本大きめの止まり木があればいい」「樹木は一本ではなくたくさん欲しいのですが?」「は? 土が無いと落ち着かないだろ?」「で、できたら個室が欲しいな」
「「「「「……」」」」」
沈黙。あーあ、もっと早めに話し合っておけばよかったな。こりゃ荒れそうだ。
その後、予想通り議論は白熱した。
みんなそれぞれ個性があるからね。身体的特徴も違うし、そりゃ嗜好も違うと推し測るべきだった。大部屋派と個室派。家の中に土と森が欲しい。高い木が欲しい。明るく開放的な方が良い。暗くひんやりしていた方が良い。いつでも肉が食べたい。無茶言うな。家の中に自然保護区を作るつもりかよ。どれだけでかくなるんだよ。
でも、全員まったく妥協しないので、とにかくすべての意見を肯定した妥協点を纏めると。
・一般的な人の家をベースに、大きめに作ってもらう。
・一人一人の要望を叶えるには大部屋は厳しい。個室で対応。
・その代わり寝室(繁り部屋)を大きく作る。
ということになった。もうこれ以上は無理。個室のデザインについてはそれぞれに任せよう……。
「でも、土とか樹木とか家に持ち込んだら汚れるんだけど」
「浄化すればいいじゃない」
僕はル○バでもダ○ソンでも無いんだが?
「オレは気にならないが?」「シュレアも気になりません」「私も」
そりゃそうでしょ。君たちの脚とか拭いているの僕だからね。君ら全然気にしてないけど。日本人としては土足には抵抗ある。これでは形勢不利だ。
「ベステルタは?」
「んー、わたしはどっちでもいいわ」
くっ、中立か。ゆっくりと眼力をこめてサンドリアを見る。
「……サンドリアは?」
「あ、あたしは普通の綺麗なお部屋で暮らしてみたいな」
「ヨシッ! よく自分の意見を言えたね。偉いよサンドリア」
「う、こ、子ども扱いしないで……」
頭を撫でたらちょっと嫌がられた。なぜだ。つらい。
「でもこれじゃ埒が明かないわ」
ちょっと疲れた表情のベステルタ。そうなんだよな。そろそろ具体的なアイデアで解決したいものだが……。
「ふむ、思い付きレベルですが、一つ解決案があります」
僕のプレゼントしたマグカップでコス茶を飲むシュレア。あ、ラミアルカとサンドリアにもプレゼント買わないとな。それにしてもさすがシュレア、頼りになるぜ。
「先生ありがとうございます。意見を聞かせてくださいますか?」
「シュレアは先生ではありません。気持ち悪いので止めてください」
ルッキング汚物なシュレア。真正面から真顔で言われるとやや凹む。
「それで案って?」
「ええ、絶死の森の樹木で家を作ったらどうでしょう?」
お? 斜め上の意見だな。つまり素材提供して作ってもらうってことか。でもそれがどうやって解決案になるんだろう。
向こうにはプテュエラ航空で飛んで行ってもらい、そのまま護衛。リッカリンデン孤児院に到着したらベステルタを召喚しておこう。他の亜人は待機だ。と考えていたのだが。
「デイライトに行くのか! いいな! オレも召喚してくれよ!」
「あ、あたしも可能なら……」
ラミアルカをとサンドリアが意外にも行きたいみたいだ。
「うーん、いいんだけど二人とも気配とか姿とか隠せるの?」
ラミアルカが街中に現れたら絶対パニックになるぞ。それに亜人の気配は目立つみたいだし。
「オレは土に潜るから大丈夫だ」
「き、霧に紛れる……」
ラミアルカはそれ外見えなくない? 百歩譲ったとして地面が盛り上がってばれそう。サンドリアは良さそうだな。なるほど、霧はステルス方面もいけるんだな。
「ラミアルカは目立ちそうだから様子見させて。サンドリアは問題ないよ」
「えーっ! なんでだよ!」
「やたっ」
ぶうぶう文句を言うラミアルカ。試しに地面に潜らせてみたら案の定、深くは潜れず地面がもこもこしていたので却下。デイライト中の道を駄目にするつもりかよ。逆にサンドリアは完全に気配と存在感が消えてビビった。しかもある程度の薄さのものならすり抜けるらしい。やばい。プテュエラの場合は隣に風が吹いているなーって感じがするのだが、サンドリアには全くそういうのが無い。それを褒めたらにこにこ、てれてれして嬉しそうだった。かわゆ。やっぱり霧魔法はポテンシャルあるよな。
「そう言えば今更だけど、人の生活に干渉していいの?」
この前ラミアルカの浄化の際に過去の記憶を垣間見た。その黒い記憶の中で「亜人は人に干渉してはいけない」って言っていたから気になった。あれ、何だったんだろうな。あの時見たΛのマークは。ジオス神のマークだし、やっぱそういうこと? そうだとしたらけっこうやばいのかもしれない。コスモディアの製造早めた方がいいかも。
「ああ、それは契約者がいない場合よ。長いこと契約者不在だったから当たり前になっていたけど、契約者がいれば問題ないの」
あっ、そうなのね。それなら大手を振って街に入れる訳か。まぁ姿は隠さないといけないけど。
「わたしだけ姿と気配が隠せないから、そのために防具が必要なのよ。ケイには苦労かけるけど……」
ベステルタは悔しそうに、そして申し訳無さそうに言った。
「いやいや、これくらいなんてことないよ。普段亜人にはお世話になっているんだ。これくらいさせて」
むしろベステルタは亜人の中で一番人に近いから、気配の問題さえクリアすれば唯一姿を隠さずにいられる。それはメリットだよね。
「ふふ、ありがとう」
「デイライト中の職人にベステルタの防具作らせることも辞さないよ」
マジでそのくらいしたっていい。そもそも僕が好き勝手やれているのは亜人のおかげだからね。
「あはは、期待しているわ。ケイ、わたしとっても期待しているのよ?」
耳元で囁いてぎゅっと抱きしめてくれる。うっ、期待に添うように頑張らないとな。
出発する前にやることを整理しなければ。今度こそ家の見積もりを忘れてはいけない。えっとデイライトでは何をしていたんだっけな。整理しよう。
・鍛冶屋ゴドーさんからベステルタの魔力を隠す防具の受け取り。僕の武器もできていたら受け取る。
・宿屋ブラガさんにラーメンの成果を共有。(シャロンちゃん元気かな)
・カリンとシルビアにコスモディアポーション製造計画の確認。孤児院の増築、奴隷戦力による自衛手段の獲得に関して。
・商業ギルドにフレイムベア素材オークション結果の確認。お金の受け取り。
・冒険者ギルドにてシャールちゃんに頼んでいた魔道具の調査結果の確認。ベステルタの防具が出来ていたなら依頼を受けたり迷宮に潜ってもいいかも。
・家の見積もり(重要!)
こんなところかな。よくまぁ短期間にいろいろやり始めたな。いろいろやることあるな。ま、ぼちぼちやっていこうか。何か忘れているような気もするが。うーん、仕方ないか……?
あっ! 家の見積もりって言っているけど、どんな家にするか決めてないじゃん……。致命的だ。そこまで頭が回っていなかった。ていうか亜人たちはそこら辺どう思っているんだ? 普通のおうちでいいのか? ラミアルカとか通常体型だと一番大きくて人から離れているし一般的な家だと難しい気がする。
「はい、亜人さん集まってくださいー」
パンパンと手を叩いて急遽召集をかける。
「なんだなんだ」
「どうしたの?」
わらわらと亜人たちが集まってくる。急にすまんね。
「今度こそみんなの住む家の見積もりしたいんだけど、その前にどういう家にするか決めなくてはなりません。あっ、ラミアルカとサンドリアはそれでも大丈夫?」
「何その口調」
ジト目のベステルタ。いいんだよ。細かいことは気にするなよ。
「オレたちは問題ないぜ、一緒に住むなんて楽しそうだ!」
「う、うん。ちゃんとした家に住めるなんて、す、すごいな……」
二人は問題無しか。よかった。これで「お前と住むとか死んでも嫌」って反対されていたら心折れていたところだ。
「まあ、でもそこまで悩むことは無いんじゃない? 基本的に人と同じように作ればさっさと決まるわよ」「ああ、それと一本大きめの止まり木があればいい」「樹木は一本ではなくたくさん欲しいのですが?」「は? 土が無いと落ち着かないだろ?」「で、できたら個室が欲しいな」
「「「「「……」」」」」
沈黙。あーあ、もっと早めに話し合っておけばよかったな。こりゃ荒れそうだ。
その後、予想通り議論は白熱した。
みんなそれぞれ個性があるからね。身体的特徴も違うし、そりゃ嗜好も違うと推し測るべきだった。大部屋派と個室派。家の中に土と森が欲しい。高い木が欲しい。明るく開放的な方が良い。暗くひんやりしていた方が良い。いつでも肉が食べたい。無茶言うな。家の中に自然保護区を作るつもりかよ。どれだけでかくなるんだよ。
でも、全員まったく妥協しないので、とにかくすべての意見を肯定した妥協点を纏めると。
・一般的な人の家をベースに、大きめに作ってもらう。
・一人一人の要望を叶えるには大部屋は厳しい。個室で対応。
・その代わり寝室(繁り部屋)を大きく作る。
ということになった。もうこれ以上は無理。個室のデザインについてはそれぞれに任せよう……。
「でも、土とか樹木とか家に持ち込んだら汚れるんだけど」
「浄化すればいいじゃない」
僕はル○バでもダ○ソンでも無いんだが?
「オレは気にならないが?」「シュレアも気になりません」「私も」
そりゃそうでしょ。君たちの脚とか拭いているの僕だからね。君ら全然気にしてないけど。日本人としては土足には抵抗ある。これでは形勢不利だ。
「ベステルタは?」
「んー、わたしはどっちでもいいわ」
くっ、中立か。ゆっくりと眼力をこめてサンドリアを見る。
「……サンドリアは?」
「あ、あたしは普通の綺麗なお部屋で暮らしてみたいな」
「ヨシッ! よく自分の意見を言えたね。偉いよサンドリア」
「う、こ、子ども扱いしないで……」
頭を撫でたらちょっと嫌がられた。なぜだ。つらい。
「でもこれじゃ埒が明かないわ」
ちょっと疲れた表情のベステルタ。そうなんだよな。そろそろ具体的なアイデアで解決したいものだが……。
「ふむ、思い付きレベルですが、一つ解決案があります」
僕のプレゼントしたマグカップでコス茶を飲むシュレア。あ、ラミアルカとサンドリアにもプレゼント買わないとな。それにしてもさすがシュレア、頼りになるぜ。
「先生ありがとうございます。意見を聞かせてくださいますか?」
「シュレアは先生ではありません。気持ち悪いので止めてください」
ルッキング汚物なシュレア。真正面から真顔で言われるとやや凹む。
「それで案って?」
「ええ、絶死の森の樹木で家を作ったらどうでしょう?」
お? 斜め上の意見だな。つまり素材提供して作ってもらうってことか。でもそれがどうやって解決案になるんだろう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,405
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる